熊本地震被災者の受け入れで重症患者割合などが下がっても、従前の入院基本料算定を認める―厚労省



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 平成28年熊本地震で被災した患者を積極的に受け入れ、「平均在院日数」や「重症度、医療・看護必要度」「在宅復帰率」「医療区分2・3の患者割合」などについて入院基本料の施設基準を満たさなくなっても、被災前に施設基準を満たしていれば、当面の間、施設基準の変更届け出をする必要はない(つまり従前の入院基本料の算定が可能である)。また被災地以外でこうした患者を受け入れた場合には、その患者を除外して平均在院日数などを計算することを認める―。

 厚生労働省は26日に、このような取り扱いとすることを明確にしました。

被災地以外の医療機関、重症患者割などの計算で被災者を除外してもよい

 入院基本料や特定入院料を算定するためには、さまざまな施設基準を満たし、それを地方厚生局などに届け出で受理される必要があります(基本診療料の施設基準はこちらこちら、特掲診療料の施設基準はこちらこちら)。

 例えば7対1入院基本料については、▽看護配置7対1以上▽平均在院日数18日以内▽一般病棟用の重症度、医療・看護度の基準を満たす重症患者の割合が25%以上(200床未満では23%以上)▽在宅復帰率が80%以上▽データ提出―などが必要です。

 また療養病棟入院基本料1については、▽看護配置20対1以上▽医療区分2・3の患者割合が80%以上▽褥瘡発生割合の評価―などが必要となっています。

 しかし、今般の熊本地震により傷病者が多数発生し、また多くの病院も被災を受け、入院患者を別の病院で受け入れることなどが行われています。この場合、上記の施設基準を厳格に運用すれば、例えば「7対1の点数を算定できなくなってしまうので、比較的状態の安定した患者は受け入れられません」という事態が生じかねません。

 このため厚労省は、当面、特別の取り扱いを行っています(関連記事はこちらこちら)(厚労省の熊本地震関連サイトはこちら)。

 26日の事務連絡では、次のような取り扱いを行うことが明確にされました。

【被災地の医療機関】

(1)被災前に入院基本料などの施設基準を満たしていた医療機関が、災害などのやむを得ない事情により患者を入院させたことにより、「平均在院日数」「重症度、医療・看護必要度(ICU、HCUは除く)」「在宅復帰率」「医療区分2・3の患者割合」を満たさなくなった場合については、当面の間、直ちに施設基準の変更の届出を行う必要はない(関連記事はこちら

(2)ICU、HCUに、やむを得ず本来当該治療室への入院を要さない患者を入院させた場合については、当該保険医療機関の入院基本料を算定した上で、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の算出から除外する

(3)入院時食事療養(I)または入院時生活療養(I)の届出を行っている被災地の保険医療機関において、災害などのやむを得ない事情により、入院時食事療養・入院時生活療養の食事の療養たる提供を適時に、かつ適温で行うことが困難となった場合でも、当面の間、従前の入院時食事療養費又は入院時生活療養費を算定できる(できる限り適時・適温の食事提供に努めることは必要)

【被災地以外の医療機関】

(4)被災地の保険医療機関が災害などの事情により診療の継続が困難となり、当該被災地の保険医療機関から転院の受け入れを行った場合には、「平均在院日数」「重症度、医療・看護必要度」「在宅復帰率」「医療区分2・3の患者割合」について、当面の間、被災地から受け入れた転院患者を除いて算出することができる

(5)ICU、HCUに、被災地の保険医療機関から転院の受け入れにより、やむを得ず当該治療室への入院を要さない患者を入院させた場合については、当該保険医療機関の入院基本料を算定した上で、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の算出から除外する

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