複合ビルの複数階フロアでのクリニック開設、医療安全など確保されれば「専用階段」は不要―厚労省



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 患者の往来頻度や衛生面・保安面などで医療の安全性が確保されていると認められれば、ビルの複数階に入居する医療機関において「施設内部の専用階段」は必要ない―。厚生労働省は7日に発出した通知「医療機関における施設の一体性について」で、こうした点を明確にしました(厚労省のサイトはこちら)。

医療機関の一体性、衛生面・保安面での「医療安全」確保という視点で判断

 「医療機関としての一体性」はどう判断すればよいのでしょう。ある医療機関が2つの施設を持ち(A施設とB施設)、A施設とB施設の間に公道があるようなケースで問題が生じます。仮に「公道を挟んだA施設とB施設は一体ではない」と判断されると、A施設、B施設でそれぞれ医療法に定められた構造設備などを遵守しなければいけません。

 この点について厚労省は、2005年の通知「公道等を隔てた医療機関における施設の一体性について」の中で、次のような場合には「一体である」と認められることを明らかにしました。

▽両施設の位置する敷地間の距離が同一の管理者による管理および患者等の往来に支障をきたさない程度である【具体的には、施設間を隔てる公道などに両施設の敷地が面していることが原則】

▽公道などを隔てて位置する両施設の機能を十分考慮した上で、施設間の患者の往来の頻度や利用する患者の病態などを勘案し、衛生面や保安面などで医療の安全性が十分に確保されていると認められる【具体的には、施設を隔てる公道などには、特に狭い場合や自動車の通行が禁止されている場合を除き、「横断歩道がある」または「医療機関の職員による介助がある」など、安全性への配慮が十分になされている必要がある】

▽手術を終えた患者や病状が不安定な急性期の患者が公道などを通って手術部門や検査部門などから病棟部門に移動するような場合は、医療の安全性が十分に確保されているとは認められない

 

 ところで、都市部などで複合ビルの中にクリニックを開設するケースも増えています。その際、複数のフロアにまたがる場合には、上記と同じような問題が生じます。厚労省は今般、通知「医療機関における施設の一体性について」で、次のような点を明確にしました。

▽個別の事案に応じて判断する必要があるものの、フロア間で同一の管理者による管理および患者などの往来に支障をきたさないこと、ならびにフロア間の機能を十分考慮した上で、利用する患者の往来の頻度や病態などを勘案し、衛生面や保安面などで医療の安全性が十分に確保されていることが認められれば、複数階に入居する医療機関に「施設内部の専用階段」の設置を求める必要はない

 

 なお、厚労省は、2階以上の階に病室を有する医療機関などでは、次のような構造設備を確保することに留意するよう求めています。

▽第2階以上の階に病室を有する場合、患者の使用する屋内の直通階段を2以上設けること。ただし、患者の使用するエレベーターが設置されている、第2階以上の各階における病室の床面積の合計がそれぞれ50平方メートル以下の場合は、直通階段は1でよい(第16条第1項第8号)

▽直通階段の構造は、「幅は内法1.2メートル以上」「蹴上0.2メートル以下、踏面は0.24メートル以上」「適当な手すりの設置」が必要(同項第9号)

▽第3階以上の階に病室を有する場合、避難階段を2以上設けること。ただし、第8号に規定する直通階段のうちの1または2を避難階段としての構造とする場合は、その直通階段の数を避難階段の数に算入できる。(同項第10号)

▽第2階以上の階に入所室を有する場合、母子が使用する屋内の直通階段を設ける(助産所についての規定、第17条第1項第3号)

▽第3階以上の階に入所室を有する場合、避難階段を2以上設けること。ただし、直通階段を避難階段としての構造とする場合は、その直通階段の数を避難階段の数に算入できる(助産所についての規定、同項第4号)

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