2016年度診療報酬改定、実は「小児医療の見直し」が大きなポイント―中医協総会



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 入院基本料の重症患者割合を25%に引き上げるとともに、病棟群単位の入院基本料届け出を一時的に認め、機能分化を進める―。中央社会保険医療協議会・総会は10日、こういった点を重要な柱に据えた2016年度診療報酬改定に関する答申を塩崎恭久厚生労働大臣に宛てて行いました(答申書の受け取りは竹内譲厚生労働副大臣)。

2月10日に開催された「第328回 中央社会保険医療協議会・総会」で、田辺国昭会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)から竹内譲厚生労働副大臣に対し、2016年度診療報酬改定に向けた答申書が手渡された
2月10日に開催された「第328回 中央社会保険医療協議会・総会」で、田辺国昭会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)から竹内譲厚生労働副大臣に対し、2016年度診療報酬改定に向けた答申書が手渡された

 答申を受け、厚生労働省は関連法令(診療報酬点数表、施設基準、薬価基準、材料価格基準など)の準備を進め、3月上旬(4日見込み)に告示・通知発出を行う予定です。

 2016年度改定では、7対1入院基本料の施設基準(重症患者割合など)や地域包括ケア病棟の手術・麻酔の取り扱いなどが注目されますが(関連記事はこちらこちら)、実は「小児医療」について非常に多くの見直し項目が含まれています。「小児医療の重点評価」が今回改定の大きな柱の1つと言えそうです。

NICUやPICU、算定日数上限を延長する疾患を拡大

 まず入院について見てみると、次のような項目が挙げられています(関連記事はこちら)。

(1)小児入院医療管理料の包括範囲から「在宅療養指導管理料」「在宅の薬剤料・特定保険医療材料料」を除外する。これにより、在宅医療の導入に関する診療報酬(在宅人工呼吸指導管理料や人工呼吸器加算など)を退院月にも算定することができ、重症小児の在宅移行が進むと期待できる。

(2)小児入院医療管理料の3、4、5について、重症児の受け入れ実績を評価する「重症児受入体制加算」(1日につき200点)を新設する(速報2でお伝え済)。

(3)小児慢性特定疾患患者について、小児入院医療管理料を20未満まで算定できる(現在は15歳未満まで)こととし、15歳を超えて小児慢性特定疾患と闘う患者へのサポートを強化する。

(4)新生児特定集中治療室(NICU)管理料について、先天性心疾患(カテーテル手術・開胸手術・人工呼吸器管理・一酸化窒素吸入療法・プロスタグランジンE1持続注入を実施したもの)の児については、先天性水頭症などと同じく、算定日数を35日まで延長する。

(5)小児特定集中治療室(PICU)管理料について、▽腹膜透析でない急性血液浄化が必要な状態▽心臓手術ハイリスク群▽左心低形成症候群▽急性呼吸窮迫症候群▽心筋炎・心筋症―では21日、体外式心肺補助(ECOM)が必要な状態では35日まで、算定日数上限を延長する

(6)新生児特定集中治療室退院調整加算を、「退院支援加算3」(退院時に1回、1200点)に組み替える。

3歳未満の小児について外来医療を包括的に評価する新点数を設定

 小児の外来については、継続的に受診している3歳未満の小児に包括的な外来医療を提供する医療機関を評価する「小児かかりつけ診療料」が新設されます。▽初診療▽再診料とその加算▽地域連携小児夜間・休日診療料▽院内トリアージ実施料▽夜間休日救急搬送医学管理料▽診療情報提供料のI・II▽往診料とその加算―以外は、次の点数に包括されています(関連記事はこちら)。

▽処方せんを交付する場合:(イ)初診時602点、(ロ)再診時413点

▽処方せんを交付しない場合:(イ)初診時712点、(ロ)再診時523点

 この点数を算定する場合、「電話などの問い合わせに原則として常時対応する」「急性疾患発症時の対応方法やアトピーなどの慢性疾患の管理方法などを指導し、診療する」「健診結果を把握し、保護者からの相談に応じる」「予防接種歴を把握し、予防接種のスケジュール管理などに関する助言などを行う」「必要に応じて専門医療機関を紹介する」ことが必要です。

 また、本点数を算定するための施設基準として、▽小児科外来診療料の届け出▽時間外対応加算1または2を届け出▽小児科または小児外科の専任常勤医師の配置―が設置されたほか、「初期小児救急への参加」「小児在宅医療の提供」「幼稚園の園医への就任」などのいずれか3つ以上を満たすことなども規定されています。

 

 さらに小児科療養指導料(270点、現在は脳性麻痺や先天性心疾患などの小児が対象)の対象に、小児慢性特定疾患患者も含めることになりました。

 一方、在宅については速報2でお伝えしたとおり、機能強化型の在宅療養支援診療所などの「看取り実績」に、「超重症児・準超重症児の診療実績」も含めて考えることができるようになります。例えば、単独型の機能強化型在支診では、現在「1年間の看取り実績4件以上」となっているところが、「1年間に、看取り実績4件以上または、15歳未満の超・準超重症児に対する総合的な医学管理4件以上」と見直されます。

 このほか小児医療に関連して、次のような充実が図られています。

▽生体検査料や画像診断などの新生児加算を80%上乗せに、乳幼児加算を50%上乗せに引き上げ、幼児加算(30%上乗せ)を新設する

▽救急搬送診療料の新生児加算を1500点に、乳幼児加算を700点に引き上げる

▽小児がん拠点病院について加算(750点)の新設などを行う(関連記事はこちら

▽児童・思春期の精神疾患患者に対する専門的な外来診療を確保するため、児童思春期精神科専門管理加算1(1回につき500点)、同加算2(初診から3か月以内に1回、1200点)を新設する

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