7対1の重症患者割合、2016年度の次期改定では20%とすべき―全自病の邉見会長



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 7対1入院基本料の施設基準である重症患者割合の基準値は、現在の15%からいきなり25%に上げるのは乱暴である。次期改定では20%とし、その次の改定(2018年度)で25%とするのであれば理解できる―。このような見解を、全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長が7日の記者会見で表明しました。

1月7日に記者会見に臨んだ、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長
1月7日に記者会見に臨んだ、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長

全自病の調査では、3分の1程度の病院しか25%をクリアできず

 全自病では、14の会員病院を対象に「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の見直し(案)に基づく緊急調査を行いました。これは、一定の期間(1-10日間、病院によって異なる)における入院患者について、看護必要度の見直し案(A、B項目の見直し、M項目の新設、重症患者の定義見直し)に沿って重症か否かを見た場合に、各病棟で重症患者の割合がどうなるかを試算したものです。病棟ごとの患者構成の変更などは加味されていません。

 その結果、看護必要度の見直し後に、重症患者割合25%をクリアできる病院は3分の1程度に過ぎず、調査対象病院の平均でも25%はクリアできないことが分かりました。さらに、1病院当たりで見ると、半数程度の病棟でしか25%をクリアできていないことも明らかになりました。7対1入院基本料を算定できなくなる病院が相当程度現れる可能性も伺わせる調査結果です。

 こうした結果を受け、邉見会長は「小泉内閣の際に第1次の地域医療崩壊が生じ、現在も、その状況は改善していない。今やっと、どうにかぎりぎりのところで病院経営をしている状況である。それが今回の見直しで第2次の地域医療崩壊となる可能性がある」と強調しました。

 その上で邉見会長は、「現在の15%からいきなり25%に上げるのは乱暴で、激変緩和措置が必要である。次期改定では20%とし、その次の改定(2018年度)で25%とするのであれば理解できる」との見解も示しています。

「病院単位の入院基本料は厚労省のオウンゴール」と邉見会長

 厚生労働省は、看護必要度や重症患者割合の見直しと合わせて「病棟群単位の入院基本料」も中医協に提案しています。

 この点について邉見会長は、「私はもともと7対1入院基本料導入の際に『病棟単位の入院基本料』を提唱した。入院初期の状態が不安定な時点では手厚い看護が必要だが、状態が比較的安定してくれば、相応の看護で十分となるのは当然だからである」と指摘。「病院単位での入院基本料届け出は、厚労省のオウンゴール(自殺点)と考えている」と強く批判しています。

 ここから邉見会長は「恒久的な病棟群(あるいは病棟)単位の入院基本料」が好ましいと考えていることが伺えます(関連記事はこちら)。厚労省が中医協に提案しているのは、「7対1から10対1へ移行する際のワンクッション」、つまり一時的な措置であり、邉見会長の意見とは異なっており、今後、中医協などでどのような議論が展開されるのか注目されます。

新専門医制度は「第3次医療崩壊の引き金」になる可能性も

 さらに7日の記者会見で邉見会長は、「新専門医制度」にも言及しています。

 新専門医制度では、基幹施設(研修プログラムを作成し、専攻医を統括する病院)と連携施設(臨床科のローテート病院)とが協力して専攻医のスキル向上を図ります。

 しかし全自病の調査・分析によれば、「連携施設が存在しない二次医療圏が、多くの診療科、多くの地域に存在する」ことが分かりました。邉見会長は「研修施設(連携施設)がなければ、若い医師はその地域の病院に赴任しない。将来的にも同様の状況が続くであろう。これでは地域の住民が専門的な医療を受けることができなくなってしまう」と述べ、「第3次の地域医療崩壊の引き金になりかねない」と危惧しています。

 この点については日病協全体でも危機感を募らせており(関連記事はこちら)、今後の動向に注目する必要があります。

全国自治体病院協議会の執行部、左から小熊豊副会長(砂川市病院事業管理者)、中島豊爾副会長(岡山精神科医療センター理事長兼名誉院長)、邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)、中川正久副会長(島根県病院事業管理者)、原義人副会長(青梅市病院事業管理者兼青梅市立総合病院長)
全国自治体病院協議会の執行部、左から小熊豊副会長(砂川市病院事業管理者)、中島豊爾副会長(岡山精神科医療センター理事長兼名誉院長)、邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)、中川正久副会長(島根県病院事業管理者)、原義人副会長(青梅市病院事業管理者兼青梅市立総合病院長)

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