平均在院日数が延びたにもかかわらず、病床利用率も低下―病院報告、15年8月分



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 2015年8月には、一般病床を始めとした病院病床の平均在院日数が前月に比べて延びると同時に、病床の利用率も低下してしまった―。こうした状況が、10日に厚生労働省が発表した2015年8月分の病院報告から明らかになりました。

 平均在院日数が延びれば、一般に病床利用率は向上します(逆に短縮すれば利用率も下がる)。15年8月の病院報告では、この原則から外れる「平均在院日数が延びながら、利用率が低下する」事態となっており、集患が厳しくなっていることが伺えます。今後の状況を注視する必要がありそうです。

単月の状況も重要だが、長期的なスパンで考えることが必要

 厚労省は、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を毎月集計し「病院報告」として公表しています。15年8月の状況を見てみましょう。

 (1)の1日平均患者数は、病院全体では入院125万6264人(前月比3042人、0.2%増)、外来132万872人(同8万9416人、6.3%減)で、入院は微増、外来は大幅減少となりました。外来の大幅減少が気になりますが、例年の傾向と言えます。患者数は季節や稼働日数の影響を大きく受けるため、長期的なスパンで増減を考える必要があります。

 診療所の療養病床については、入院6480人(同57人、0.9%減)となっています。

 病院の一般病床に焦点を合わせると、入院患者数は66万9447人で、前月に比べて2286人・0.3%増加しました。また、病院の療養病床では、入院患者数は29万1879人で、前月に比べて369人・0.1%増加しています。

2015年8月、病院では入院患者数は微増、外来患者数は大幅減となった。ただし、8月に外来患者数が大きく落ち込むのは例年の傾向である
2015年8月、病院では入院患者数は微増、外来患者数は大幅減となった。ただし、8月に外来患者数が大きく落ち込むのは例年の傾向である
 

 (2)の平均在院日数については、病院全体では28.7日で、前月から0.5日延びています。病床種別に見ると、▽一般病床16.2日(前月比0.3日増)▽療養病床164.1日(同5.2日増)▽介護療養病床340.5日(同22.3日増)▽精神病床277.3日(同14.6日増)▽結核病床71.1日(同2.9日増)―とすべてで延びています。有床診療所の療養病床は105.3日で、やはり前月に比べて3.0日延びています。

 在院日数の延伸は、医療費の増加、院内感染リスクの高まり、ADLの低下などの弊害があるため、政府は「平均在院日数の短縮」を重要政策の1つに位置付けています。前々月(15年6月)には、全体で2.9日、一般病床で1.6日、療養病床で12.7日と大幅な短縮が見られました(詳細はこちら)。その反動か、前月(15年7月)には全体で0.1日、一般病床で0.1日、療養病床で2.7日の延伸が生じ(詳細はこちら)、その後も延伸が続いている状況です。

2015年8月の平均在院日数、一般病床では前月から0.3日延び、16.2日となった
2015年8月の平均在院日数、一般病床では前月から0.3日延び、16.2日となった
  

 ところで平均在院日数の短縮は、延べ患者数の減少、つまり病床利用率の低下、減収に繋がります。逆に「利用率を維持するために、平均在院日数を延ばす」という現象も一部に生じます。

 しかし、前述のとおり平均在院日数の延伸は医療にとって好ましいものではないため、「平均在院日数を短縮しながら、病床利用率を上げていく」ことが重要です。具体的には、地域の医療機関との連携を強化したり、救急患者の受け入れを進めるなどの集患対策や、場合によっては病床規模の縮小や機能転換などの多角的な対策が求められます(関連記事はこちら)。

 この点、(3)の月末病床利用率に目を移すと、病院全体では78.8%で、前月に比べて0.7ポイント減少しました。

 病院の病床種別に見ると、▽一般病床72.8%(前月から1.0ポイント低下)▽療養病床88.3%(同0.3ポイント低下)▽介護療養病床91.8%(同0.2ポイント低下)▽精神病床86.4%(同0.3ポイント低下)▽結核病床37.0%(同増減なし)―となっており、すべての種別で低下していることが分かります。

 (2)の結果と合わせると、「平均在院日数が延びたにもかかわらず、病床利用率が低下した」状況です。通常、平均在院日数が延びれば、延べ患者数が増え、病床の利用率は上がります。にもかかわらず利用率が下がっていることは、単純に「集患が難しくなっている」ことが伺えます。

2015年8月の月末病床利用率は低下。平均在院日数が延びたにもかかわらず、利用率が低下したことから、集患が厳しくなっている状況が伺える
2015年8月の月末病床利用率は低下。平均在院日数が延びたにもかかわらず、利用率が低下したことから、集患が厳しくなっている状況が伺える

 もちろん、単月の動きから確定的な結論を導くことはできませんので、長期間の動向を注視していく必要があります。

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