25対1医療療養や介護療養、18年4月以降の転換先について提案相次ぐ―療養病床検討会



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 医療療養病床の25対1と介護療養病床は、2018年4月以降、どのような類型の施設に転換すべきなのか―。このテーマに関する議論が活発さを増してきました。

 23日に開かれた「療養病床の在り方等に関する検討会」では、松本隆利院(社会医療法人財団新和会理事長)や土屋繁之委員(医療法人慈繁会理事長)から具体的な制度設計に向けた提案が行われたほか、厚生労働省から「選択肢を検討するに当たっての視点」が提示されました。

 厚労省は11月末開催予定の次回会合に、新たな施設類型の骨子を示したい考えです。

10月23日に開催された、「第4回 療養病床の在り方等に関する検討会」
10月23日に開催された、「第4回 療養病床の在り方等に関する検討会」

日慢協の提唱する院内SNW、日本病院会も高く評価

 医療法では、療養病床の看護配置を4対1以上と定めており、これは診療報酬上の20対1看護に相当します。18年3月までは「6対1看護でもよい」との経過措置がありますが、18年4月以降、25対1医療療養病床は、病院全体で20対1の看護配置を確保することなどが必要です。

 また、介護療養病床については18年3月で廃止することになっており、医療療養や老健施設への転換が進められています。

 こうした状況を受け、厚労省は「25対1医療療養や介護療養が、18年4月以降にどうすべきなのか、『新たな施設類型』も含めた選択肢を示す必要がある」と考え、療養病床検討会を設置したのです。

 23日の会合で松本委員は、現在の医療療養と介護療養を再整理し、次の4つの類型に組み替えるべきではないかと提案しました。

(1)医療療養病床(医療保険適用)

(2)介護中心の長期療養病床(介護保険適用)

(3)在宅復帰を目指しリハビリや栄養管理に力を入れる中間移行型施設(介護保険適用)

(4)院内SNW(Skilled Nursing Ward)(介護保険適用)

 現在、医療療養に入院患者は、医療区分(I-III)やADL区分に応じて診療報酬が設定されていますが、松本委員は「医療区分の考え方も見直す必要がある」と指摘しています。

 このうち(4)の院内SNWは日本慢性期医療協会が提唱しているもので(関連記事はこちら)、松本委員が所属する日本病院会でも「優れた提案である」と高く評価されています(関連記事はこちら)。

日本病院会は、現在の医療療養と介護療養について、施設類型を大きく組み替えてはどうかと提案(その1)
日本病院会は、現在の医療療養と介護療養について、施設類型を大きく組み替えてはどうかと提案(その1)
日本病院会は、現在の医療療養と介護療養について、施設類型を大きく組み替えてはどうかと提案(その2)
日本病院会は、現在の医療療養と介護療養について、施設類型を大きく組み替えてはどうかと提案(その2)
日本病院会は、現在の医療療養と介護療養について、施設類型を大きく組み替えてはどうかと提案(その3)
日本病院会は、現在の医療療養と介護療養について、施設類型を大きく組み替えてはどうかと提案(その3)

全日病調査では、「転換は容易でない」との意見も

 土屋委員は、療養病床を持つ全日本病院協会の会員病院を対象にアンケート調査を行ったところ、次のような状況が明らかになったと報告しました。

▽25対1医療療養・介護療養の多くは20対1医療療養への転換を考えているが、回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟への転換を考えている施設もある

▽転換に当たっては「土地」「建物」「人材確保」の費用が重く、実際には容易ではない

 こうした結果を踏まえて土屋委員は、「在宅での慢性期医療提供体制が不十分な状況の中で病床再編を行うには問題がある」と指摘。「在宅医療の充実と体制づくりを並行して行う必要がある」と訴えています。

全日本病院協会の調査では、25対1医療療養の多くは20対1医療療養への転換を考えているが、一部には回復期リハや地域包括ケアへの移行を考えているところもある
全日本病院協会の調査では、25対1医療療養の多くは20対1医療療養への転換を考えているが、一部には回復期リハや地域包括ケアへの移行を考えているところもある
全日本病院協会の調査では、介護療養の多くは20対1医療療養への転換を考えているが、一部には回復期リハや地域包括ケアへの移行を考えているところもある
全日本病院協会の調査では、介護療養の多くは20対1医療療養への転換を考えているが、一部には回復期リハや地域包括ケアへの移行を考えているところもある

 また鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「病院・施設側がコストをかけずに、既存の施設をベースに選択肢を考えなければいけない」と強調。具体案として「医療版の多床室特別養護老人ホーム」を考えるべきと提案。

 井上由起子委員(日本社会事業大学専門職大学院教授)は、「看護・介護を24時間提供し、外部医師が積極的に訪問できるような施設」を新類型として考える必要があると述べました。

11月末の次回会合に、新施設類型の骨子

 このように委員から具体的な提案が相次ぐなど、検討会の議論が活発さを増す中で、厚労省は「選択肢を検討するに当たっての視点」として、(1)利用者の視点(2)実現可能性の視点―という2点の重要性を強調しています。後者は、鈴木委員が「医療・介護の現場感覚にマッチしなければ、どのような選択肢を示しても進まない」と強く主張している点を考慮したもので、具体的には▽地域のマンパワーで賄える▽既存施設の有効活用が図られるような形態である▽経営者・職員にとっても魅力があり、やりがいが感じられる―ことなどが掲げられました。

 さらに、9日に開かれた前回会合では、「医療」「介護」「住まい」の3つの機能を組み合わせて新類型を考える必要があるとの方向が示されましたが(関連記事はこちら)、こうした機能の組み合わせを考えるに当たっての留意点として次のような事項を掲げています。

▽日常的な医学的管理を継続して必要とし、かつ、一定程度の介護を必要とする方が中心となるサービス提供の在り方について、例えば「医療」と「住まい」の機能を同じ場所で提供するような類型が考えられる

▽現在、療養病床に入院されている方々の中には、上記のような状態に加え、さらに、容体が急変するリスクを抱えている方々も一定程度いると考えられ、このような方々に対応するサービス提供の在り方について、例えば、夜間や休日における当直体制または当直体制を補完できるような医療機能を備えた類型が必要である

▽「住まい」については、各居住者のプライバシーが尊重され、自律した日常生活を送ることができる環境が確保される必要がある

▽医療や介護の人員配置等の基準については、必要なところには適切な要件を設ける必要がある一方で、併設施設の人員の活用も含め、現行よりも柔軟な基準にすることが考えられる

▽在宅療養(ほとんど自宅・ときどき入院)の充実も推進していく

 委員の意見はまちまちのようにも思えますが、新施設類型のイメージに大きな差異はなさそうです。このため遠藤久夫座長(学習院大学経済学部教授)は、厚労省に対し「次回会合(11月27日予定)に新施設類型の骨子・骨格を示してほしい」と指示しました。

 この点について厚労省保険局医療介護連携政策課の城克文課長は、「人員配置や報酬など細かい部分は別の審議会などで議論する事項だ」と述べており、新施設類型の骨子は「大きな考え方」の整理に止まる見込みです。

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