ICUやHCUが慢性期機能と報告した場合など、厚労省から「修正」依頼も―地域医療構想策定GL検討会



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 2015年度(本年度)の病床機能報告制度では、報告漏れや間違った報告を防ぐため「明らかな報告間違いと思われる事例について、厚生労働省から医療機関に修正を求める」「システムを改修し単純なミスを防止する」など、報告の精度を向上させるための見直しを行うことが固まりました。

 厚労省は8月中を目途に病床機能報告マニュアルを改正し、10月1から始まる15年度報告制度に備える考えです。

 また16年度(来年度)以降の報告制度見直しに向けて、10月から本格的な議論も始まります。

8月27日に開催された、「第11回 地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」
8月27日に開催された、「第11回 地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」

14 年度の報告状況踏まえ、報告マニュアルなどを一部修正

 病床機能報告制度は、一般病床と療養病床をもつすべての病院と診療所が、自院の病棟がそれぞれどのような機能を持っているのかを報告するものです(医療法上の義務)。

 具体的には、▽毎年7月1日時点の各病棟の機能▽6年後の各病棟の機能―を(1)高度急性期(2)急性期(3)回復期(4)慢性期の中から自院の判断で選択して報告します。あわせて人員配置や診療報酬の算定状況なども報告します(レセプト情報などを活用)。

 14年度(昨年度)から報告制度がスタートしましたが、「未報告の医療機関がある」「ICUを持つ病棟が回復期を選択するなど明らかな誤りもある」「稼働病床数が許可病床数を超えるなどの入力ミスも目立つ」といった課題が浮かび上がました。このため、27日に開かれた地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会では、次のような対応をとることが決まりました。

▽未報告の医療機関に対して都道府県がまず督促を行い、その上で報告がなされない場合には医療法第30条の13や第75条の3などに基づいて「医療機関名の公表」「30万円以下の過料」「地域医療支援病院や特定機能病院の承認取り消し」などの対応をとる

▽救命救急入院料算定病棟やIUC・HCUを算定する病棟が回復期や慢性期を選択するなど、「明らかな選択間違い」と考えられる場合には、医療機関に修正を求める(強制はしない)

▽回復期機能には、「急性期後の患者への在宅復帰に向けた医療を行い、リハビリを提供していない場合」も含まれることをマニュアルに明記する

▽特定機能病院では、すべて高度急性期と報告した事例が多いが、「一律に高度急性期を選択するのではなく、個々の病棟の役割や入院患者の状態に照らして、医療機能を適切に選択」すべきことをマニュアルに明記する

▽高度急性期の機能について、「救命救急病棟、ICU、HCU、NICU、GCU、PICU、総合周産期集中治療室で、急性期患者に対し診療密度が特に高い医療を提供する病棟」などが該当することをマニュアルに例示する

病院が選択する4つの病棟機能、高度急性期について「例示」が付記される
病院が選択する4つの病棟機能、高度急性期について「例示」が付記される

▽システムを改修し、「届出病床数が許可病床数より多い」「許可病床数がゼロである」「施設全体の職員数と、内訳の合計が一致しない」などの場合には、修正しなければ報告できないようにする

 厚労省医政局医師確保等地域医療対策室の佐々木昌弘室長は、「確実かつ正しい報告をしてほしい」と医療機関に訴えています。

 このほか、中川俊男委員(日本医師会副会長)らから出された「地域包括ケア病棟では、どの機能を選択すればよいのか混乱しているケースも少なくない」との指摘を受け、14年度には地域包括ケア病棟1の27.1%が急性期、70.2%が回復期、2.7%が慢性期を選択している状況などもマニュアルに盛り込めないか検討することになっています。

 さらに中川委員は「大学病院本院では『全病棟を高度急性期と報告する』との申し合わせがあるとの噂がある」と指摘。相澤孝夫委員(日本病院協会副会長)は「大学病院だけでなく、一部の都道府県県でも『全病棟を高度急性期で報告せよ』との指示があるとの噂もある」ことを紹介し、医療機能を適切に判断して報告することの必要性をマニュアルの中で強調するよう強く求めました。

 厚労省は早急にマニュアルの修正を行い、8月中を目途にホームページで公開する考えです。14年度の第1回報告では、締切が11月14日まで延ばされましたが、第2回となる15年度報告では10月1-30日が報告期間となるので留意が必要です。

2015年度(平成27年度)の病床機能報告スケジュール、病院は10月中に機能を選択して報告しなければならない(医療法第30条の13)
2015年度(平成27年度)の病床機能報告スケジュール、病院は10月中に機能を選択して報告しなければならない(医療法第30条の13)

10月から、16年度以降の報告制度に向けた検討開始

 この日の検討会では、16年度以降の報告制度見直しに向けた意見交換も行われ、次のような意見が出されました。

▽病床の機能分化が進められる中では『連携』が重要となる。医療内容の報告項目の中に、『連携』に関連する診療報酬項目を加えてはどうか

▽国民に分かりやすく情報を公開する必要があるが、都道府県によっては報告内容をそのままホームページに掲載しているケースもある。分かりやすい情報公開に努めるべきである(8月26日時点で38都道府県が公表済)

病床機能報告の公表状況、8月26日時点で38都道府県が公表済である
病床機能報告の公表状況、8月26日時点で38都道府県が公表済である

 このほか報告内容に「医師数」を含めるべきか否かについて、ほかの制度(医療機能情報提供制度など)との整理を行いながら検討することになっています。

 16年度以降の見直し内容については10月以降、検討会で本格的な検討が行われます。

 なお、16年度の診療報酬改定に合わせて、レセプトに病棟コード記載欄が付記される予定です。これにより「病棟ごとの医療内容」が明らかになりますが、DPCデータなどと紐付けて、具体的な病棟機能の議論(たとえば定量的基準の設定)ができるようになるのはもう少し先のことになりそうです。

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