通所介護と総合事業の通所サービスを一体的に行う場合の詳細を整理―厚労省



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 市町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業の「緩和された基準による通所サービス」(通所型サービスA)と、介護保険の「通所介護」、および「従前の介護予防通所介護に相当するサービス」を一体的に行う場合、事業所全体で定員超過がなくても、個々のサービスごとに定員超過となれば減算の対象となる―。厚生労働省は19日に発出した「『介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン』についてのQ&A」【平成27年8月19日版】で、こうした点を明らかにしました。

中重度ケア体制加算など、通所型サービスAの人員も含めて考える

 2014年6月に成立した医療介護総合確保推進法では、介護保険制度について大きな見直しを行っており、特に「要支援者に対する訪問介護・通所介護を、市町村の実施する総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)に移行する」ことが盛り込まれました。

 これは、要支援者に対する訪問・通所介護を、地域の実情に応じたより柔軟な仕組みとすることが狙いです。例えば「現行の訪問介護・通所介護相当のサービス」のほか、「緩和した基準によるサービス(生活援助やミニデイサービスなど)」「住民主体の支援サービス(体操などの自主的な通いの場など)」「短期集中予防を目指すサービス(保健師などによる居宅での相談指導など)」といった多様なサービス類型を用意することが期待されています。

総合事業の全体像、住民主体のサービスを拡充することで費用の効率化を狙うとともに、要支援者未満の高齢者の自立を促進する
総合事業の全体像、住民主体のサービスを拡充することで費用の効率化を狙うとともに、要支援者未満の高齢者の自立を促進する
総合事業で用意されるサービスの全体像(市町村が独自の判断でさらにさまざまなサービスを準備できる)
総合事業で用意されるサービスの全体像(市町村が独自の判断でさらにさまざまなサービスを準備できる)
総合事業を利用するに当たっての流れ
総合事業を利用するに当たっての流れ

 通所介護については、大きく「現行の通所介護相当(従前の介護予防通所介護に相当するサービス)」と「多様なサービス」に分けられます。後者には、「サービスA(ミニデイサービス、運動・レクリエーションなど)」「サービスB(体操、運動など、自主的な通いの場)」「サービスC(生活機能を改善するための運動器の機能向上や栄養改善等のプログラム)」が用意され、各市町村が、地域のサービス資源(介護職、保健・医療専門職、ボランティアなど)を把握し、実情に合った柔軟なサービス提供体制を敷くことが可能になります。

総合事業における通所サービスの全体像、現在の介護予防サービスに相当するサービスのほか、多様なサービスを市町村の判断に基づいて実施できる
総合事業における通所サービスの全体像、現在の介護予防サービスに相当するサービスのほか、多様なサービスを市町村の判断に基づいて実施できる

 このように総合事業は多様な主体(介護保険の適用を受けていない事業者も含めて)が提供することになりますが、引き続き介護サービス事業者が、要支援者などと要介護者とに一体的にサービスを提供する(給付と一体的に実施する)ことも可能です。

 では「給付と一体的に実施する」場合、専従要件や加配職員を求めている加算の算定要件をどのように考えればよいのでしょうか。この点について今般のQ&Aは、次のような考え方を提示しました。

▽専従の職員配置を求めている「中重度ケア体制加算」、「個別機能訓練加算(I)・(II)」、「認知症加算」については、通所介護の職員が、通所介護と一体的に提供される「通所型サービスA」や「従前の介護予防通所介護相当のサービス」に従事しても、当該職員は専従要件を通所介護で満たしていると取り扱う

▽個別機能訓練加算(I)では、「常勤の機能訓練指導員がサービス提供時間帯を通じて専従する」ことが要件であるが、常勤要件についても、それぞれのサービス提供に支障がない範囲で同様の取り扱いとする

▽算定要件として職員の加配を求めている「中重度ケア体制加算」と「認知症加算」については、「通所型サービスA」の職員としての勤務時間は、加配職員として常勤換算員数を算出する際の勤務時間数に含めることはできない

▽サービス提供体制強化加算の算定に当たっては、常勤換算方法により介護福祉士が 50%以上配置されていることなどが要件であり、「通所介護」と「通所型サービスA」および「従前の介護予防通所介護に相当するサービス」を一体的に行う場合、「通所型サービスA」の職員は含めず、「従前の介護予防通所介護に相当するサービス」の職員は含めて職員の割合を算出し、「通所介護」と「従前の介護予防通所介護に相当するサービス」の双方でサービス提供体制強化加算を算定できる

通所介護、通所型サービスAのそれぞれで定員を設定

 また通所介護などを実施する場合に、利用者定員を超過することはサービスの質の低下につながるため介護報酬が減額されます。Q&Aは、「給付と一体的に実施する」場合の定員超過の考え方を次のように示しました。

(1)「通所介護」と「従前の介護予防通所介護に相当するサービス」について、それぞれの利用者を合算して利用定員を定める

(2)「通所型サービスA」について、当該サービスの利用者で定員を定める

(3)(1)あるいは(2)のいずれかで定員超過となれば、全体で定員超過がなくても減算の対象となる

食堂と機能訓練室、「全体の定員×3平米」が必要

 さらに、「給付と一体的に実施する」場合の、食堂・機能訓練室の合計した面積についてはどのように確保すればよいのでしょうか。

 厚労省は、介護保険の通所介護を行う事業所では「食堂と機能訓練室の合計面積を利用者定員×3平方メートル以上」が必要というガイドラインを示しており、各自治体の条例で同様の取り扱いとなっています。

 この点についてQ&Aは、次のような考え方を明確にしました。

▽「通所介護」と「従前の介護予防通所介護に相当するサービス」については、利用定員×3平方メートル以上が必要

▽「通所型サービスA」については、サービスを提供するために必要な場所を確保することが必要

▽「通所介護」「従前の介護予防通所介護に相当するサービス」「通所型サービスA」を一体的に行う場合、それぞれの利用者の処遇に支障がないようにする必要があるため、食堂と機能訓練室の合計面積は、「事業所全体の利用定員×3平方メートル以上」を確保する必要がある

 このほかQ&Aでは、「給付と一体的に実施する」場合の留意事項として次のような点も示されました。

▽人員基準欠如の扱い:一体的に運営している以上、それぞれのサービスの提供や利用者の処遇に支障が出るため、それぞれの事業所が人員基準欠如となるので、「通所介護」と「従前の介護予防通所介護に相当するサービス」の部分は減算対象となり、「通所型サービスA」の部分は、市町村の定める減算などの取扱いによる

▽地域密着型通所介護への移行対象となる利用定員:「通所型サービスA」の利用定員にかかわらず、「通所介護」と「従前の介護予防通所介護に相当するサービス」の合計定員が 18 名以下の場合には地域密着型通所介護への移行対象となる

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