遠隔診療、「離島」「在宅酸素療法」などはあくまで例示、場合によっては初診でも可能―厚労省



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 遠隔診療を行える場合として「離島、へき地の患者」が明示されているが、これはあくまで「例示」に過ぎず、また、必ずしも直接の対面診療を行った上でなければ遠隔診療を行えないわけではない―このような考え方を厚生労働省が明確にしました。医師の判断によっては「初診の遠隔診療」というケースも出てきそうです。

原則は「直接の対面診療」、遠隔診療は例外

 診療は、医師・歯科医師が患者と対面して行うことが原則です。例えば患者の顔色や挙動、匂いなどを直接対面しないで正確に把握することは極めて困難だからです。

 この点は、医師法第20条に「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。」と規定されています。

 しかし、例えば医師が常駐していない離島に住む患者に対して、必ず「直接の対面診療」を求めることは現実的でない場合もあります。このため厚労省は、「直接の対面診療が原則」というスタンスは維持したまま、テレビ電話などの情報通信機器を用いることで、直接の対面診療と同等はいかないまでも「代替しうる」程度に、患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、これを認めることとしています(いわゆる遠隔診療)。

 厚生省健康政策局長(現在で言えば、厚労省医政局長当)が1997年(平成9年)12月に発出した通知「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」では、遠隔診療が行える場合として「離島やへき地の患者など」や「直近まで相当期間にわたって診療を継続してきた慢性疾患患者」を例示。さらに2003年(平成15年)の改正通知では、「慢性疾患患者」の具体例として▽在宅酸素療法を行っている患者▽在宅難病患者▽在宅糖尿病患者―などを挙げています。

 この点について規制改革会議は通知内容が曖昧であるとし、今年(2015年)6月16日の第3次答申の中で「疾病に対して一応の診断を下し得る程度のものであれば、患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、『対面診療と適切に組み合わせて行われるときは医師の判断で遠隔診療を行える』という取扱いを明確化する」よう安倍晋三首相に要請していました。

今年(平成27年、2015年)6月16日の規制改革会議第3次答申では「遠隔診療の取扱い」を明確化するよう要請された
今年(平成27年、2015年)6月16日の規制改革会議第3次答申では「遠隔診療の取扱い」を明確化するよう要請された

 厚労省医政局長は、これを受け10日付で遠隔診療通知の内容について解釈の明確化を行っています。通知内容そのものに改正はありません。

対面診療を行った上でなくとも遠隔診療は可能

 まず改正通知では、遠隔診療を行える場合として掲げた「離島、へき地の患者」は、あくまで「例示」であることを強調しています。

 また、「直近まで相当期間にわたって診療を継続してきた慢性期疾患の患者」に関する次の具体例についても、あくまで「例示」であることを明確にしました。

▽在宅酸素療法を行っている患者

▽在宅難病患者

▽在宅糖尿病患者

▽在宅喘息患者

▽在宅高血圧患者

▽在宅アトピー性皮膚炎患者

▽褥瘡のある在宅療養患者

▽在宅脳血管障害療養患者(2011年の通知改正で追加)

▽在宅がん患者(同)

 さらにこの通知では、遠隔診療を行える条件として、「患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に考慮した上で、直接の対面診療と適切に組み合わせて行われる」ことを掲げています。この点について厚労省は、「直接の対面診療を行った上で、遠隔診療を行わなければならないものではない」との解釈も明確にしています。したがって医師の判断によっては、初診の遠隔診療が可能なケースも出てきそうです。

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