社会保障費の伸び「年0.5兆円」は“目安”に後退―骨太2015を閣議決定



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 政府は30日午後の臨時閣議で「骨太方針2015」を決定しました。消費増税に伴う充実分を除く社会保障関係費の伸びを、高齢化による0.5兆円程度(年間)に抑制させる目標については、「目安」として取り扱うと、素案の段階から書きぶりを後退させました。初年度となる16年度には診療報酬改定が控えていて、同年度予算編成に向けた基本的な考え方として、「診療報酬改定を含め、適正な給付と負担の在り方について検討する」としています。

 骨太方針2015は、16年度から18年度までの財政運営の指針という位置付けで、「経済・財政再生計画」(財政健全化計画)も盛り込まれました。この計画は、基礎的財政収支(PB)を20年度までに黒字化する政府目標の達成を実現するためのもので、社会保障を「歳出改革の重点分野」に位置付けています。20年度までの対象期間のうち18年度までの3年間を「集中改革期間」とし、この期間に歳出・歳入改革を集中的に進めます。

 この3年間には診療報酬の改定が少なくとも2回実施される見通しで、最終年度の18年度には介護報酬との同時改定が控えています。医療や介護分野の歳出をどのように圧縮していくのかが大きな焦点になります。

 医療や介護関連の改革メニューは、▽医療・介護提供体制の適正化▽後発医薬品の使用促進などのインセンティブ改革▽公的サービスの産業化▽能力に応じた公平な負担、給付の適正化▽医薬品関連の改革―などです。慢性期医療や介護の提供体制について、「医療の内容に応じた制度上の見直しを速やかに検討する」「医療・介護を通じて、居住に伴う費用負担の公平性を検討する」といった方向性を掲げています。

 財政健全化計画に盛り込まれた改革を着実に実行するため、政府は「経済・財政一体改革推進委員会」を設置します。推進委員会では、主だった歳出分野ごとに成果目標(KPI)を設定し、改革の工程表を早期にまとめます。

臨時閣議後の記者会見に臨む甘利担当相(30日、内閣府)
臨時閣議後の記者会見に臨む甘利担当相(30日、内閣府)
 社会保障費の伸びをめぐっては、高齢化に伴う年0.5兆円程度(消費税率引き上げによる充実分は除く)に抑制させる方針が打ち出され、日本医師会などが反発していました。最終的には「目安」とすることで決着し、甘利明・経済財政担当相は30日、臨時閣議後の記者会見で、経済成長と歳出改革の進展を見据えながら柔軟に対応する考えを示しました。

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