高度急性期は13万、急性期は40万、回復期は37.5万床―社会保障制度改革推進本部



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 2025年時点で高度急性期病床は13万床、急性期は40.1万床、回復期は37.5万床、慢性期は24.2万-28.5万床程度が必要となり、全体では現在より20万床程度少ない115-119万床程度が必要になる―。このような推計結果が、15日に開かれた社会保障制度改革推進本部の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」に報告されました。

現在のベッド数、病床機能報告の結果、2025年の必要病床数を比較。全体としてベッドが過剰だが、回復期が圧倒的に不足している状況がうかがえる
現在のベッド数、病床機能報告の結果、2025年の必要病床数を比較。全体としてベッドが過剰だが、回復期が圧倒的に不足している状況がうかがえる

 調査会では、病床機能分化を進展・深化させるために、▽施設基準などの構造面を患者の状態像に合ったものに見直す▽その病床に求められる医療が提供されているのかの評価を進める―ことを求めています。そこでは、診療報酬体系の見直しのみならず、アウトカム評価を含めた診療プロセスなどの分析・評価や臨床指標の策定などが課題となります。

病床機能報告の結果と比べ、回復期は27.5万床不足

 推計は、「1日当たりの医療資源投入量が3000点以上を高度急性期とする」など地域医療構想策定ガイドラインに沿って行われました。

 それによると、現在134.7万床ある一般病床・療養病床の機能分化を進め、25年には115万-119万床程度が必要になると見込んでいます。機能ごとの必要病床数は次の通りです。

▽高度急性期:13万床程度

▽急性期:40.1万床程度

▽回復期:37.5万床程度

▽慢性期:24.2万-28.5万床程度

 また、介護施設や高齢者住宅を含めると、「在宅医療」などで対応する患者数は29.7万-33.7万床程度と見込んでいます。

 昨年7月時点で「自院の機能をどう考えるか」の報告を求めた「病床機能報告制度」の結果では、全体が123.4万床で、機能別には▽高度急性期19.1万床▽急性期58.1万床▽回復期11.0万床▽慢性期35.2万床―となっており、今回の推計と比べると、▽高度急性期は6.1万床過剰▽急性期は18万床過剰▽回復期は27.5万床不足▽慢性期は6.7-11万床過剰―という状況です。

都道府県別の病床機能報告制度(2014年7月時点の機能)の結果
都道府県別の病床機能報告制度(2014年7月時点の機能)の結果

 ところで、機能分化を進めるだけでは総ベッド数は変化しません。今回の推計ではベッド数がかなり減少していますが、この背景には▽人口の減少▽入院受療率の格差是正―の2点があるものと思われます。前者については、高齢者数が増加するため、医療需要そのものは増加すると見込まれます。しかし、その中身は「急性期需要が減少、回復期や慢性期の需要が増加」というものです。ここで、後者の「入院受療率の格差」、つまり在宅医療・介護への移行によって、総ベッド数が減少する推計がなされたものと思われます。

 来年度の診療報酬改定に向けて、「在宅への移行」誘導策がさらに強化されそうです。

北海道、東北、四国、九州などでは大幅な病床過剰に

 専門調査会には「都道府県別の必要病床数」も報告されました。それによると、まず▽東京▽神奈川▽埼玉▽千葉▽大阪▽沖縄―では、25年に向けて病床が不足していますが、▽北海道▽東北▽甲信越▽山陰▽四国▽九州―では、病床が大幅に過剰となることも分かりました。

都道府県別に、現在のベッド数と2025年の必要病床数を比較すると、地域によって病床不足な所と過剰な所があることが分かる
都道府県別に、現在のベッド数と2025年の必要病床数を比較すると、地域によって病床不足な所と過剰な所があることが分かる
病床機能報告制度の結果(2014年7月時点)と2025年の必要病床数の比較
病床機能報告制度の結果(2014年7月時点)と2025年の必要病床数の比較

 例えば東京では、一般・療養の合計で現在、108.3万床がありますが、25年には113.9万床が必要になるので、5万床以上の整備が必要となります。25年に必要な病床数の機能別の内訳は、▽高度急性期1万5900床▽急性期4万2300床▽回復期3万4700床▽慢性期1万9000-2万1100床―となっています。

 一方、福岡では現在、一般・療養の合計で7万4000床ありますが、25年には6万5400床で十分だと推計されました。8600床が過剰になる計算です。25年に必要な病床数の機能別の内訳は、▽高度急性期7300床▽急性期2万1300床▽回復期2万1100床▽慢性期1万1900-1万5700床―となっています。

都道府県別の必要病床数の推計結果(患者の流出入が現在と変わらないと仮定した場合)(1)
都道府県別の必要病床数の推計結果(患者の流出入が現在と変わらないと仮定した場合)(1)
都道府県別の必要病床数の推計結果(患者の流出入が現在と変わらないと仮定した場合)(2)
都道府県別の必要病床数の推計結果(患者の流出入が現在と変わらないと仮定した場合)(2)

診療報酬の見直しや、臨床指標策定などが課題

 こうした推計結果を受け、専門調査会では「医療提供体制に大きな地域差があり、これを追認してはいけない」「解消しきれない地域差は、都道府県に説明責任を求め、更なる是正が図れないかチェックする枠組みの構築が必要である」などと指摘。その上で、次のような提言を行っています。

▽病床機能報告制度の「定量基準」の検討を進め、今回の推計結果に収れんしていくような取り組みを進める

▽介護施設や高齢者住宅を含め、急性期・回復期の受け皿としての医療・介護の在り方などを早急に検討

▽18年度(平成30年度)をめどに、新人口推計も取り入れて必要病床数の見直しを行う

▽地域連携パスの構築や医療費適正化対策の取り組みなどを病床数の見直しなどに反映させる

▽施設基準などの構造面を患者の状態像に合ったものに見直し、その病床に求められる医療が提供されているのかの評価を進める

▽診療報酬体系の見直しのみならず、アウトカム評価を含めた診療プロセスなどの分析・評価や臨床指標の策定などを行う

▽患者の状態像に応じて人員配置を傾斜させて平均在院日数の短縮を後押しするなど、より質が高く効率的な医療提供体制を検討

▽在宅復帰率向上など、医療の質の向上につながる仕組みを検討

病床転換は「自主的な取り組み」重視と厚労省

 一方、厚生労働省は地域医療構想の実現に向けて、(1)回復期の充実(急性期からの病床転換)(2)医療従事者の需給見通し、養成数の検討(3)慢性期の医療ニーズに対応する医療・介護サービスの確保―を重点的に進めるとしています。

 このうち(1)の病床転換に関しては、あくまで「医療機関の自主的な取り組み」を重視するとして、これを「地域医療介護総合確保基金」や「適切な診療報酬」でサポートしていくとするにとどめています。

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