肝臓がん・胃がんで死亡率減少も子宮頸がんは増加―がん対策推進協議会



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 がん対策推進協議会は10日、第2期「がん対策推進基本計画」の中間評価報告書の取りまとめに向けた最終討議を行いました。厚生労働省から提示された報告書案に基づいて議論し、委員から出された意見を、門田守人会長(がん研究会有明病院院長)が修正の上、正式に取りまとめます。報告書は近く厚労省のホームページ上で公開されます。

 また、この日はがんの部位別の死亡率が若尾文彦参考人(国立がん研究センターがん対策情報センター長)から報告され、胃がんや肝臓がんが死亡率の減少が顕著である一方、子宮頸がんの死亡率は増加していることなどが明らかになっています。

6月10日に開催された、「第51回 がん対策推進協議会」
6月10日に開催された、「第51回 がん対策推進協議会」

部位別のがん対策の重要性が浮き彫りに

 5月20日の前回会合では、若尾参考人から「がん対策推進基本計画に掲げられた『2015年までに、75歳未満のがんの年齢調整死亡率を20%減少させる』という目標の達成は困難である」ことが報告されました。

 この日は、がんの部位別に見た死亡率の動向が報告されています。それによると、部位によって死亡率の変動状況がかなり異なることが分かりました。

 まず肝臓がんは、1995年から2005年にかけて死亡率は32.0%減少し、05年から15年までにさらに47.9%減少しており、死亡率の減少スピードが上がっています。これは、C型肝炎ウイルスの感染率が高い「1930年代生まれの世代」において、がん死亡のピークが過ぎたためと若尾参考人は分析しています。

 次に胃がんは、95年から05年にかけて死亡率は31.1%減少し、05年から15年までにさらに30.8%減少しています。若尾参考人は「死亡率の数字そのものはやや減少しているが、減少スピードは落ちていない」と説明しました。

 また、大腸がん、肺がんでは、死亡率の減少スピードが次のように鈍化しています。ただしスピードが落ちているものの、死亡率は減少を続けています。

▽大腸がんの死亡率は、1995-2005年の10年間で10.2%減少、05-15年の10年間で9.1%減少

▽肺がん(男女計)の死亡率は、1995-2005年の10年間で9.4%減少、05-15年の10年間で7.5%減少

▽肺がん(男性)の死亡率は、1995-2005年の10年間で12.9%減少、05-15年の10年間で9.0%減少

▽肺がん(女性)の死亡率は、1995-2005年の10年間で7.8%減少、05-15年の10年間で4.8%減少

 一方、乳がん(女性)に目を移すと、1995-2005年の10年間で死亡率は13.7%増加しましたが、05-15年の10年間では0.1%減少しており、若尾参考人は「増加が止まった」と表現しています。年齢別に見ると、54歳までの乳がん死亡率は減少傾向にありますが、55歳以上では死亡率は増加を続けています。

 また、子宮頸がんに関しては、95-05年の10年間で死亡率が3.4%増加しており、05-15年には5.9%増加という具合に、死亡率の増加が加速していることも分かりました。ほかのがんで死亡率が減少する中、子宮頸がんのみ死亡率が増加している状況です。

 こうした状況を踏まえ中川恵一委員(東京大学医学部附属病院放射線科准教授)は、「感染性のがんである肝臓がんや胃がんでは死亡率が減少しているが、同じ感染性の子宮頸がんは増加している」と指摘し、今後の部位別のがん対策の重要性を強調しました。

 若尾参考人は「臨床現場の意見も踏まえ、対策を練っていく必要がある」との考えを述べています。

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