18年度の介護報酬・診療報酬同時改定に向け、検討スケジュール案や調査項目を決定―介護給付費分科会



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 介護報酬について議論する社会保障審議会の介護給付費分科会は23日、早くも2018年度に予定される介護報酬・診療報酬の同時改定に向けた検討スケジュールを固めました。今回の15年度介護報酬改定で「課題がある」と指摘された(1)地域区分(2)介護職員処遇改善加算(3)介護事業経営実態調査の在り方―の3点については、実態調査や具体的な検討が年度内に開始されます。

4月23日に開催された、「第121回 社会保障審議会・介護給付費分科会」
4月23日に開催された、「第121回 社会保障審議会・介護給付費分科会」

17年度の消費増税対応は、医療保険の動きも睨んで

 15年度の介護報酬改定をめぐる議論が終わり、新たな単位数や報酬体系に基づくサービス提供が始まったばかりですが、介護給付費分科会では18年度に予定される次の報酬改定に向けた検討スケジュール案が厚生労働省から示され、これを了承しています。

 18年度には、3年に一度の介護報酬改定と、2年に一度の診療報酬改定が重なる「同時改定」となる見込みです。同年度からは第7次医療計画と第7期介護保険事業計画と支援計画がスタートすることとなっており、医療・介護にとって極めて重要な報酬改定となります。

2018(平成30)年度は、介護報酬・診療報酬の同時改定のみならず、第7次医療計画・第7期介護保険事業(支援)計画のスタート時期でもある
2018(平成30)年度は、介護報酬・診療報酬の同時改定のみならず、第7次医療計画・第7期介護保険事業(支援)計画のスタート時期でもある

 もちろん具体的な改定方針や改定内容などは、今後の議論に委ねられ、現時点では明確になっていませんが、次のようなスケジュールで改定議論が進むことが明確になりました。

▽15、16、17各年度に15年度改定の効果を検証し、併せて調査研究を行い、その結果を18年度改定に反映させる

▽17年度の初め(同年4月ごろ)から「18年度介護報酬改定に向けた課題整理・具体的な検討」を開始する

▽17年月末に「18年度介護報酬改定審議報告」を分科会で取りまとめ、18年度予算案を踏まえて、18年1月に「介護報酬改定の諮問・答申」を行う

▽17年度に予定されている「消費税率10%への引き上げ」に対応するため、医療保険における議論の動向(診療報酬で上乗せするのかなど)も踏まえながら、18年末をめどに検討を進める

 ただ、審査支払いを行っている亀井利克委員(三重県国民健康保険団体連合会理事長、名張市長)は「今回の15年度改定でもぎりぎりだった。18年度は同時改定で、事務量はより多くなる。十分な準備・周知期間が必要だ」と述べ、可能な限りのスケジュールの前倒しを求めました。

 厚労省老健局の三浦公嗣局長は「単位数は、財源である国の予算案が決まった後ではなければ設定できない。予算案決定後、どこまで詰められるか努力したい」と理解を求めています。

リハビリや医療提供のあり方について実態調査

 15年度改定の効果を検証するための調査は、次の4項目に沿って行うことも決まりました。この4項目を、15、16、17各年度に具体的な調査項目にブレークダウンし、「介護報酬改定検証・研究委員会」で調査設計・実施・分析を行います。

▽定期巡回・随時対応や小規模多機能型などの地域密着型サービスについて、「市町村ごとの整備状況」や「要介護度や認知症自立度など、利用者とサービス内容の関係」などの実態を調べる

▽通所系サービスなどでの地域のリハビリテーションの在り方について、「具体的な取り組み」や「個別機能訓練加算などの算定状況」「職種別の訓練の実施方法や内容、効果」などの実態を調べる

▽介護保険施設などでの「医療ニーズの高い入所者」に対する適切な医療サービス提供の在り方について調査し、検討する

▽ケアマネ事業所やケアマネジャーの業務実態などを調べる

 また「介護報酬改定検証・研究委員会」で、▽認知症高齢者へのサービス提供状況(介護保険サービス横断調査)▽介護サービスの質の評価の在り方―に関する調査研究も行うことが決まりました。「質の評価」の研究は、今回の改定前から継続して行われているものです。

地域区分や処遇改善、15年度から議論開始

 15年度改定に向けた議論の中では、「介護職員の処遇改善は事業所が自ら行うもので、介護報酬という形で行政が介入すべきではない」などの強い指摘がありましたが、結論は持ち越されました。このような「持ち越し」課題である(1)地域区分(2)介護職員処遇改善加算(3)介護事業経営実態調査の在り方―の3点については、ほか別個に早めに議論していきます。

 厚労省老健局老人保健課の迫井正深課長は「例えば(1)の地域区分については、自治体のコンセンサスも必要であり、早めに議論していくことが必要」との追加で説明しまし。

 23日の分科会では、(1)の地域区分について、「地方では介護サービス利用者が散在しており、移動のコストが大きく、1日に提供可能なサービス量が少なくなる。それにもかかわらず地方では低い単価が設定されており、矛盾が生じている。『地方で単価を高くし、都市部で低くする』という具合に、地域区分の考え方を大きく転換すべきではないか」(武久洋三委員・日本慢性期医療協会会長)といった意見や、「地域区分によって、隣接する市町村間で単価が異なるケースが生じ、介護現場に混乱が起こっている。しかも区分は改定のたびに変更される。『地域区分』という考え方が良いのか、そもそもの議論が必要だ」(河村文夫委員・全国町村会政務調査会行政委員会委員、東京都奥多摩町長)といった意見が出されており、今後、根本的な議論が行われる見込みです。

 また(3)の実態調査に関連して、迫井課長は「改定の翌年には通年調査となる『概況調査』を行い、その翌年に単月調査である『実態調査』を行っているが、さまざまな指摘を受けている」と説明。今後、調査の体系や内容について、大きな見直しが行われる可能性もあります。

国保連の努力で、介護報酬の審査支払いは通常通り

 14年末の衆議院の解散・総選挙を受け、15年度予算案の編成が遅れ、介護報酬改定の議論も後ろ倒しとなりました。このため厚労省は「介護保険審査システムの改修も遅れるため、15年4、5月サービス分のレセプトについては、当初は形式審査、11月以降に詳細な審査の2段階とする」との方針を示していました。

 しかし、改定後に国民健康保険中央会などが集中的なシステム改修を行い、15年4、5月サービス分のレセプトも、5月から詳細な審査を行い、「通常通りの審査支払い」が行えるようになったことが報告されています。

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