機能強化型訪問看護ST、常勤看護師が増加、小児利用者へのサービス提供も充実―14年度改定結果検証調査



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 2014年度の診療報酬改定で新設された「機能強化型の訪問看護ステーション」について、▽常勤の看護職員が増加している▽利用者数も増加している▽小児の利用者に訪問看護を提供する事業所が多い▽収支がプラスになった事業所が多い―ことなどが厚生労働省の調査から分かりました。

 一方、機能強化型になっていない訪問看護ステーションでは、▽看護職員が確保できない▽看取り件数が少ない―ために機能強化型の届け出が難しい状況も明らかになっています。

機能強化型には「看護師確保」や「看取り」のハードル

 これは、14年度の報酬改定の結果を検証した調査(機能強化型訪問看護ステーションの実態と訪問看護の実施状況調査)で分かったもので、22日の中央社会保険医療協議会・診療報酬改定結果検証部会と総会に報告されました。

 機能強化型訪問看護ステーションは、▽24時間対応▽重症度の高い患者の受け入れ▽積極的なターミナルケアの実施―など、質の高い訪問看護を提供する事業所を評価するものです。14年度の報酬改定に伴って新設されました。

2014年度改定で新設された「機能強化型訪問看護ステーション」の概要(1)
2014年度改定で新設された「機能強化型訪問看護ステーション」の概要(1)
2014年度改定で新設された「機能強化型訪問看護ステーション」の概要(2)
2014年度改定で新設された「機能強化型訪問看護ステーション」の概要(2)

 医療保険の訪問看護ステーションは次の3つに分類できます。

(1)常勤看護師7人以上などより厳しい基準を満たす「機能強化型1」(月の初日訪問では1万2400円の療養費を算定できる)

(2)常勤看護師5人以上などの基準を満たす「機能強化型2」(同9400円)

(3)通常型(同7400円)

 機能強化型ではこのように「人員配置を手厚くする」ことが不可欠で、結果として「事業所が大型化し、経営が安定する」とも期待されました。この点について、機能強化型1の47.3%、機能強化型2の64.2%は「機能強化型の創設が事業所の大型化に寄与しているとは言えない」と答えています。改定の意図と異なる考えが多いようにも思えますが、厚労省保険局医療課の担当者は「改定前から大型であった事業所が機能強化型になったケースもある。一概に悪い結果とは言えないのではないか」とコメントしています。

機能強化型訪問看護ステーションの創設が、事業所の大型化に寄与したとは言えないとする意見が事業所側には多い
機能強化型訪問看護ステーションの創設が、事業所の大型化に寄与したとは言えないとする意見が事業所側には多い

 ただし、常勤看護職員の平均人数を見ると、機能強化型1では13年9月の9.4人から14年9月には11.0人に、機能強化型2では同じく6.5人から7.0人に増加し、さらに6割の機能強化型1では実人員が増加しており、一定程度、規模拡大の効果が出ているようです。

機能強化型を中心に、常勤看護職員の実人数は2013年9月から14年9月にかけて増加している
機能強化型を中心に、常勤看護職員の実人数は2013年9月から14年9月にかけて増加している

 また1か月当たりの平均利用者数(医療保険と介護保険の合計)も、機能強化型1では13年9月の172.7人から14年9月には181.9人に、機能強化型2では同じく114.3人から118.7人に増加しています。

機能強化型を中心に、訪問看護ステーションの利用者数が増加している
機能強化型を中心に、訪問看護ステーションの利用者数が増加している

 利用者に「0-15歳未満の小児」がいる事業所の割合に着目すると、通常型では27.7%にとどまりますが、機能強化1では74.5%、機能強化2でも67.9%となっており、小児の在宅療養患者に対して、機能強化型訪問看護ステーションが積極的にサービス提供していることがうかがえます。

0-15歳の小児の在宅療養患者に対して、機能強化型では積極的に訪問看護を提供していることがうかがえる
0-15歳の小児の在宅療養患者に対して、機能強化型では積極的に訪問看護を提供していることがうかがえる

 さらに、事業所の収支が14年度改定の前後でどう変化したかを見ると、「プラスになった」事業所は、機能強化型1では47.3%、機能強化型2では39.6%で、通常型の24.5%よりも多くなっています。

機能強化型では、通常型に比べて2014年度診療報酬改定後に「収支がプラスになった」事業所が多い
機能強化型では、通常型に比べて2014年度診療報酬改定後に「収支がプラスになった」事業所が多い

 「プラスになった」理由について、機能強化型では「診療報酬改定の影響」を挙げる事業所が多いようです。

収支がプラスになった理由について、機能強化型では「改定の影響」を挙げる事業所が多い
収支がプラスになった理由について、機能強化型では「改定の影響」を挙げる事業所が多い

 一方、通常型の事業所に「機能強化型を届け出ない」理由を聞いたところ、▽看護職員数が少ない▽看取りの件数が少ない―などが多くなりました。

通常型は、機能強化型に対して「看護職員の確保」や「看取りの件数」でハードルが高いと感じている
通常型は、機能強化型に対して「看護職員の確保」や「看取りの件数」でハードルが高いと感じている

 こうした結果を踏まえ、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「機能強化型の要件のうち、看取り(件数)のハードルが高いようだ」と述べ、次回の改定に向けた検討を要請しています。また鈴木委員は「地方部では、在宅患者が分散しており、1つの事業所が大型化しても非効率なサービス提供となってしまいかねない。訪問看護ステーションの連携を評価する視点も重要ではないか」とも訴えました。

月夜勤72時間のみ満たせない特例、7割以上が利用せず

 中医協には、入院基本料の算定要件のうち、「夜間の看護要因配置の評価や月平均夜勤時間72時間要件を満たさない場合の緩和措置による影響、およびチーム医療の推進等を含む医療従事者の負担軽減措置の実施状況調査」結果も報告されました。

 そこでは、13対1と15対1にも拡大された「月72時間要件のみを満たせない場合の入院基本料減額の特例」について、7割以上の病院が「14年4-10月までに利用はない」と答えており、利用した病院はなく、無回答が2割強を占めたことが報告されています。

13対1・15対1でも、月夜勤72時間の要件のみを満たせない場合の特例(救済措置)が設けられている
13対1・15対1でも、月夜勤72時間の要件のみを満たせない場合の特例(救済措置)が設けられている
月平均夜勤72時間要件の特例について、7割超の病院が「利用していない」と答えている
月平均夜勤72時間要件の特例について、7割超の病院が「利用していない」と答えている

 この点、鈴木委員や同じ診療側の長瀬輝詮委員(日本精神科病院協会副会長)は「調査対象では、大規模な国公立病院の比率が多い。人員配置が充実している病院が多いために、特例の利用回答が出てきていないのではないか」と指摘。厚労省は「より実態を把握する方法がないか検討する」と答えています。

夜勤状況などの調査対象を見ると、国公立など大規模な病院の割合が多い
夜勤状況などの調査対象を見ると、国公立など大規模な病院の割合が多い

 このほか、▽歯科医師との連携は大病院ほど進んでいる▽勤務医の負担軽減には、医師事務作業補助体制加算や精神科リエゾンチーム加算、病棟薬剤師業務実施加算などが効果的▽看護補助者との業務分担や薬剤師との業務分担は、看護師の負担軽減にとって極めて効果的▽勤務医は「主治医意見書の作成」や「オーダリングシステム入力」などに負担を感じている―ことなども明らかになっています。

歯科医師と連携している病院は、大規模になるほど多くなり、院外の歯科医師との連携も1-2割にのぼる
歯科医師と連携している病院は、大規模になるほど多くなり、院外の歯科医師との連携も1-2割にのぼる
勤務医の負担軽減にとって、「医師事務作業補助体制加算」などが効果的である
勤務医の負担軽減にとって、「医師事務作業補助体制加算」などが効果的である
看護職員の負担軽減には、「看護補助者や薬剤との業務分担」などが極めて効果的である
看護職員の負担軽減には、「看護補助者や薬剤との業務分担」などが極めて効果的である
勤務医は「主治医意見書」や「オーダリングシステムへの入力」などに負担を感じている
勤務医は「主治医意見書」や「オーダリングシステムへの入力」などに負担を感じている

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