「4月」分データ、2015年以降、平均在院日数の短縮に新規患者獲得が追い付かず―病院報告、2019年4月分



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 「4月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では2012年以降、大きな流れとして「平均在院日数の短縮」が進んでいる。一方で病床利用率は2015年までは向上したものの、その後、大幅に低下しており、「新規患者獲得が追い付いていない」状況が浮き彫りとなっている―。

 こうした状況が、厚生労働省が8月8日に公表した今年(2019年)4月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

2019年3月から4月にかけて平均在院日数が減少したが、病床利用率も低下

 厚労省は毎月、日本全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を把握し、「病院報告」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前月末の状況はこちら)。

 今年(2019年)4月における(1)の「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:123万6059人(前月と比べて1万2687人・1.0%減)▼外来:134万7327人(同3万2714人・2.5%増)―となりました。

 医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:68万680人(前月比8678人・1.3%減)▼療養病床:27万2973人(同3196人・1.2%減)▼精神病床:28万864人(同783人・0.3%減)▼結核病床:1476人(同27人・1.8%増)―などという状況です。
病院報告(2019年4月)1 190808
 
 また(2)の「平均在院日数」に目を移すと、病院全体では26.9日で、前月から1.0日短縮しました。病床種別に見てみると、▼一般病床:15.8日(前月から0.6日短縮)▼療養病床:131.9日(同5.4日短縮)▼介護療養病床:285.3日(同13.9日延伸)▼精神病床:259.1日(同4.4日短縮)▼結核病床:60.4日(同4.3日短縮)―となりました。介護療養を除き、病院病床においては、前月よりも在院日数が短縮しています。
病院報告(2019年4月)3 190808
 
 さらに(3)の「月末病床利用率」を見てみると、病院全体では76.3%で、前月から1.1ポイント低下してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床:69.5%(前月比2.2ポイント低下)▼療養病床:87.2%(同0.3ポイント上昇)▼介護療養病床:90.2%(同0.7ポイント上昇)▼精神病床:85.5%(同0.4ポイント上昇)▼結核病床:33.1%(同2.0ポイント上昇)―という状況です。病床種別で動き方は異なります。
病院報告(2019年4月)2 190808
 

4月分のデータ、平均在院日数の短縮に新規患者獲得が追い付かず

 ここで、「暦月の変動」を除外するために、一般病床における「4月分」の平均在院日数の動向を見てみましょう。2012年から16年にかけて大きく短縮し、その後、2017・18年と足踏みをしたものの、2018年から19年にかけて短縮が実現できました。

▼2012年:17.9日(厚労省のサイトはこちら

(0.8日短縮)

▼2013年:17.1日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2014年:16.8日(厚労省のサイトはこちら

(0.4日短縮)

▼2015年:16.4日(厚労省のサイトはこちら

(0.2日短縮)

▼2016年:16.2日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日延伸)

▼2017年:16.5日(厚労省のサイトはこちら

(0.1日短縮)

▼2018年:16.4日(厚労省のサイトはこちら

(0.6日短縮)

▼2019年:15.8日(厚労省のサイトはこちら

 
 
 一方、月末病床利用率は、次のような状況です。2012年から15年にかけて上昇傾向にありましたが、2016年にかけて大きく低下。その後、向上・低下を繰り返しています。少なくとも「上昇傾向にある」とは言えない状況です。

▼2012年:71.0%(厚労省のサイトはこちら

(1.7ポイント向上)

▼2013年:72.7%(厚労省のサイトはこちら

(0.3ポイント低下)

▼2014年:72.4%(厚労省のサイトはこちら

(0.8ポイント向上)

▼2015年:73.2%(厚労省のサイトはこちら

(4.6ポイント低下)

▼2016年:68.6%(厚労省のサイトはこちら

(2.7ポイント向上)

▼2017年:71.3%(厚労省のサイトはこちら

(0.8ポイント低下)

▼2018年:70.5%(厚労省のサイトはこちら

(1.0ポイント上昇)

▼2019年:69.5%(厚労省のサイトはこちら

 
 このように「4月分」データからも、「平均在院日数の短縮は実現できているが、病床利用率の上昇は実現できていない」ことが分かります(関連記事はこちらこちら)。

 
 何度もお伝えしていますが、平均在院日数の短縮は、▼急性期一般病棟(旧7対1・10対1一般病棟)等における「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった経営の質・診療の質の向上に直結する要素と言えます。

 もっとも、単に「在院日数の短縮」を進めれば、「空床」を発生・増加させ、つまり病床利用率の低下をもたらし、病院経営を悪化させることになります(出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため)。

そこで、「在院日数の短縮」によって医療の質を向上させるとともに、「病床利用率を向上」させ、病院経営を安定させる必要があります。例えば、▼かかりつけ医等と連携した重症な紹介患者の確保▼救急搬送患者の積極的な受け入れ―といった「重症の」新規入院患者の獲得策を同時に採らなければならないのです。しかし「4月分」の状況を見れば、「平均在院日数の短縮に、病床利用率が追い付いていない。つまり新規患者獲得などに病院が相当苦労している」と見ることができます。
 
 地域によってはすでに人口減少によって「患者数そのもの」が減少し始め、また近い将来、都市部でも人口減少(=患者数減少)が始まることから、多くの病院では新規患者の獲得がこれまで以上に難しく(病院間で患者の奪い合いが激化する)なってきます。新規患者獲得の努力が実を結んでいない病院におかれては、「新規患者獲得に向けた新たな手立て」を講じることももちろん重要ですが、客観的に▼地域の医療ニーズ▼競合病院の状況▼自院の機能やリソース―を分析し、機能転換(急性期から回復期・慢性期)や、場合によっては「ダウンサイジング」(病床の削減)、共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども検討していく必要があるでしょう(関連記事はこちらこちらこちら)。

 
 

 

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