我が国の平均寿命は男性81.25年、女性87.32年、死因では「老衰」が増加傾向―2018年簡易生命表



Pocket

 2018年の我が国の平均寿命は、男性が前年より0.16年延びて81.25年に、女性が同じく0.05年延びて87.32年となりいずれも過去最長を更新した。また死因については、「老衰」による死亡増が目立ち、男性では第5位、女性では第3位。悪性新生物・心疾患・肺炎・脳血管疾患の死亡率が減少傾向にあることに鑑みると、「老衰」が近い将来、より上位の死因に浮上する可能性が高い―。

 このような状況が、厚生労働省が7月30日に発表した2018年の「簡易生命表」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(前年の状況はこちら、前々年の状況はこちら)。

前年に比べて男性は0.16年、女性は0.05年、平均寿命が延伸

 簡易生命表は、「ある年の1年間(今回であれば2018年)の死亡状況が今後とも変化しない」と仮定した場合に、▼各年齢の人が1年以内に死亡する確率▼平均してあと何年生きられるかという期待値―などを死亡率や平均余命などの指標(生命関数)で表したものです。医療費と最も相関の高い要素は「年齢」であることが分かっており(戦争や大災害を除く)、また介護費も「年齢」から大きな影響を受けています。このため医療保険制度・医療提供体制等の在り方を考える上で生命表は極めて重要な基礎資料となります(もちろん年金制度ではまさにダイレクトに関連する)。

 2018年の平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)を見てみると、男性は81.25年で、前年に比べて0.16年延伸。女性は87.32年で、同じく0.05年延伸しています。ゼロ歳から90歳まで、5歳刻みに平均余命を前年と比較すると、男女とも年齢区分階級で前年から延伸しています。
2018年簡易生命表1 190730
  
 平均寿命が延びた原因について、厚労省は、男女ともに悪性新生物・心疾患(高血圧性を除く、以下同じ)・脳血管疾患・肺炎などの死亡率が低下していることが影響していると分析。平均寿命の男女差は6.06年で、前年より0.11年縮小しました。

 また厚労省の調べでは、我が国は男性では香港(82.17年)・スイス(81.4年)に次いで第3位、女性は香港(87.56年)に次いで第2位の長寿国であることが分かりました(男女とも前年と同じ)。ただし、国によって平均寿命の作成方法などが異なるため、厳密な比較はできません。
2018年簡易生命表2 190730
 

「老衰」による死亡、男性死因では第5位、女性死因では第3位

 次に死因について見てみましょう。2018年の死亡確率(ゼロ歳時)上位は次のようになっています。男性で心疾患による死亡率が増加しているほか、男女とも主要死因による死亡率が減少傾向にある一方で、「老衰」による死亡率が前年よりも大きく増加している点が目を引きます。男性では5.78%で、前年に比べて0.35ポイント増となりましたが、女性では15.29%(前年比0.59ポイント増)で、実は「死因第3位」であることを再確認できます。医療の進展により、疾患による死亡が減少する中で、「老衰」による死亡がより上位に浮上してくると予想されます(関連記事はこちら)。

【男性】
第1位:悪性新生物 28.23%(前年比0.49ポイント減)
第2位:心疾患 14.42%(同0.09ポイント増)
第3位:肺炎 8.44%(同0.37ポイント減)
第4位:脳血管疾患 7.41%(同0.23ポイント減)
第5位:老衰 5.78%(同0.35ポイント増)

【女性】
第1位:悪性新生物 20.01%(同0.02ポイント減)
第2位:心疾患 17.15%(同0.07ポイント減)
第3位:老衰 15.29%(同0.59ポイント増)
第4位:脳血管疾患 8.36%(同0.35ポイント減)
第5位:肺炎 6.88(同0.39ポイント減)
2018年簡易生命表3 190730

2018年簡易生命表4 190730
 
 ▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患を合計した死亡確率(ゼロ歳児)は、男性では50.06%(同0.65ポイント減)、女性では45.52%(同0.44ポイント減)となりました。
 
 また死因第1位を独走する悪性新生物についても、男女ともに死亡確率が下がっています。この背景には▼検診受診率の向上(早期発見)▼医学・医療の進歩(画期的な新薬等の開発)▼国民の生活習慣の改善―などが総合的に関係していると考えられますが、長期的な傾向であるのか注視していくことが重要です。

 
 また、これらの死因を克服することが出来た場合、理論的には平均余命が長くなると考えられます。厚労省は、疾患克服で2018年のゼロ歳時における平均余命(平均寿命)が、次のように延伸すると推計しています。

【悪性新生物】 男性3.54年、女性2.84年
【心疾患】 男性1.41年、女性1.31年
【脳血管疾患】 男性0.73年、女性0.69年
【肺炎】 男性0.57年、女性0.43年

▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患すべてを克服すると、男性で6.70年、女性で5.55年、平均寿命が長くなり、男性では87.95歳、女性では92.87歳になる計算です。
2018年簡易生命表5 190730

   
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

我が国の平均寿命、女性87.26年で世界2位、男性81.09年で世界3位―2017年簡易生命表
男女ともに長野県で死亡率低く、がんや心疾患などの疾病対策が寿命延伸に効果大―2015年都道府県生命表
我が国の平均寿命、女性87.14年・男性80.98年でいずれも世界2位―2016年簡易生命表
日本の平均寿命は世界トップクラス、男性80.75年、女性86.99年―2015年完全生命表
我が国の平均寿命、女性87.05年で世界2位に転落、男性80.79年で世界4位―2015年簡易生命表
わが国の平均寿命が過去最高更新、女性86.83年で世界1、男性80.50年で世界3位―14年簡易生命表

日本の人口27万人減で1億2589万人に、65歳以上が26.6%―総務省2016年調査
65歳以上の高齢者、ついに総人口の4分の1を超える―総務省
人口の自然増減、過去最大マイナス28万人、女性の出産率は改善1.46へ―2015年人口動態統計月報年報
2015年の1年間で日本の人口は29万4000人の自然減、人口減のペース加速―厚労省
80歳以上の高齢者数がついに1000万人を突破―総務省
団塊ジュニアが65歳となる35年を見据え、「医療の価値」を高める―厚労省、保健医療2035
75歳以上の世帯主が25年間で大幅増、東京近郊-日本の世帯数の将来推計、社人研

生涯の医療費は2566万円、70歳までに50%、70歳以降に50%を消費―厚労省が2013年度の状況を推計

2017年に日本人口は39万超の減少、近く「老衰」が死因第3位となる可能性―厚労省
人生の最終段階の医療・ケア方針、決定後も「繰り返し話し合う」ことが重要―厚労省

市区町村別の平均寿命、男性では9.8年、女性では4.6年と大きな格差—厚労省

 
2018年、日本人口は44万超の減少、「老衰」が死因第3位に浮上―厚労省

Pocket