2019年度立入検査、「検体検査の精度管理」基準を満たしているかなど重点的に確認―厚労省



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 2019年度に実施する医療機関への立入検査では、改正医療法(2017年)に盛り込まれた「検体検査の精度管理」がなされているか(院内で検査を実施する場合の基準を満たしているか、外部機関に委託する場合には適切な契約内容になっているか)なども重点的に確認してほしい—。

 厚生労働省は7月18日に、通知「令和元年度(2019年度)の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」を発出し、こういった点を都道府県知事らに要請しました(関連記事はこちら)。

立入検査の重点項目の内容を踏まえ、医療機関も業務の自己点検を

 医療法第25条第1項では、▼都道府県知事▼保健所設置市の市長▼特別区の区長―に対し「必要に応じて医療機関に立入検査(人員、清潔保持、構造設備、診療録、助産録、帳簿書類など)を行う」権限を与えています。今般の通知は、2019年度の立入検査における重点事項を示すものです。裏から見れば、各医療機関において「示された重点事項について、適切な管理がなされているのかを事前に自己点検しておく」ことが求められていると言えます。

 厚労省が2019年度立入検査の柱に据えたのは、(1)安全管理体制の確保(2)院内感染防止対策(3)最近の医療機関における事件などに関連する事項(4)立入検査後の対応その他―の4本。例年と同じもので、その内容についても「例年の項目」を踏襲する部分が多くなっています(医療機関が遵守すべき医療安全等の内容・課題は毎年のように変わるものではないため)。

 例えば(1)の安全管理体制に関しては、▼安全管理体制の確保に関する指導▼日本医療機能評価機構への適切な医療事故・ヒヤリハット事例報告が行われているのかの確認・指導▼医療事故調査制度(予期せぬ死亡事故の報告)に関する院内体制が確保されているのかの確認・指導▼医療事故防止対策の取り組み強化に向けた指導▼ドクターヘリに関する安全確保がなされているかの確認・指導▼アスベスト対策に関する指導・命令―を行うよう要請(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。さらに2019年度には「サイバーセキュリティ」対策の状況も確認するよう求めています。インターネットの不正アクセスなどを受けた際にも、患者の個人情報などが漏洩しないような対策が図られていることが必要です。

 
 また(2)の院内感染防止対策については、MRSAやVRSAなど「耐性菌」への感染防止徹底に向け、▼院内感染対策マニュアルの作成・見直しなどが適切に行われているか▼個人用防護具(手袋、マスクなど)の適正使用、処置前の手指消毒の励行などの標準的予防策が、職員に徹底されているか—などを確認し、必要な指導を実施するよう求めています。

 
さらに(3)の最近の事件などに関連する事項としては、▼集団食中毒▼無資格者による医療行為▼臨床研修修了者の医籍などへの登録▼非営利性の確認▼定員超過入院▼診療用放射線の安全管理対策▼診療用放射線の防護▼職員の健康管理▼電子カルテの不具合による薬剤誤投与▼防火対策▼個人情報の適切な取り扱い▼インフォームド・コンセント▼無痛分娩提供体制(2018年度立入検査より)▼避難確保計画の策定(同)▼災害拠点病院における業務継続計画(いわゆるBCP)の策定(同)▼非常用電源に関する保安検査(同)―といった項目を掲げ、重点的な確認・指導を行うよう求めています。

 
また(4)の立入検査後の対応やその他に関しては、「立入検査後に改善状況を逐次把握する」よう求めているほか、▼系列病院・同系列とみなせる医療機関へは同一日に立入検査を行えるよう都道府県間で連携する▼広告などに関して医療法などを遵守していない場合には適切な対応を講じる▼診療などに著しい影響を与える業務(検体検査、医療機器などの滅菌消毒、食事提供、患者などの搬送、医療機器の保守点検、医療ガスの供給設備の保守点検、寝具類の洗濯、施設の清掃)の委託先が、医療法施行規則で定める基準に適合しているかを確認する▼医師などの包括的指示の下で一定の医療行為を実施できる「特定行為研修を修了した看護師」が必要な研修を修了しているか、手順書(プロトコル)が作成されているか、特定行為研修の修了者であることが患者・家族・医療関係者などに分かるよう配慮されているかを確認し、適切な指導を行う—ことを要請。

改正医療法を踏まえた「検体検査の精度管理」がなされているか確認を

ここで、2019年度立入検査においては、(4)に関連して、新たに「検体検査業務の精度管理」が適切に行われているかの確認に関する事項が盛り込まれています。

遺伝子情報を用いた、いわゆる「ゲノム医療」の実用化等に向けて、「遺伝子関連・染色体検査をはじめとした検体検査の精度確保」が重要課題の1つとなる中、2017年の改正医療法等では▼病院、診療所、助産所における検体検査の精度確保基準の創設(従前は基準がなかった)▼病院、診療所、助産所が検体検査業務を委託する場合の精度確保基準の見直し―などが行われています(関連記事はこちらこちら)。

前者では、病院、診療所、助産所において検体検査を実施する場合に、▼精度確保責任者の配置▼標準作業書の常備▼作業日誌の作成▼台帳の作成―を求めています。

さらに院内で遺伝子関連・染色体検査を実施する場合には、精度管理や情報管理などに特別の配慮が必要となるため、上記に加えて▼遺伝子関連・染色体検査の精度確保責任者の配置(上記の精度確保責任者との兼任可)▼内部精度管理の実施(いわば院内の自己点検)▼遺伝子関連・染色体検査の業務従事者に対する研修の実施―も求められます。

厚労省は2019年度の立入検査において、こうした点について院内で適切な運用が図られているか確認するとともに、検体検査業務を外部機関に委託している場合には、その契約書類、業務案内書等を確認することなどを求めています。いずれも「検体検査の精度管理」が十分になされているかという点に関連するもので、医療の質を確保するために徹底した遵守が必要となります。

   
 

 

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