1中核市のみで事業展開する介護事業所・施設、「指定」「立ち入り調査」などを一括して中核市が行う―厚労省



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 1つの中核市のみで事業を展開する公的介護サービス事業所・施設について、実効性のある指導等を実現するために、「指定権限」だけでなく、「業務管理体制に関する届け出・立ち入り検査等に係る事務・権限」も中核市に付与する―。

 厚生労働省は6月14日に通知「『地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律』に規定する介護保険法の一部改正について」を発出し、こうした点を明らかにしました。2021年4月1日からの適用となります。

「指定権限」と「立ち入り調査等権限」との分断を解消、指導の実効性高める

 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第9次分権一括法)が5月31日に成立し、6月7日に公布されました。

一括法には介護保険法も含まれており、2021年4月1日から介護保険制度において、「公的介護サービス事業所・施設の所在地が1つの中核市の区域内にある介護事業者」に係る業務管理体制の整備に関する事務・権限が、都道府県から中核市に移譲されることとなりました。

現在、A介護サービス事業者が介護事業所や施設をX中核市のみで実施している場合、▼事業所の「指定」に関する事務・権限はX中核市が担う▼業務管理体制に関する届け出・立ち入り検査等に係る事務・権限は都道府県が担う―という分断が生じています。

このため、例えばA介護サービス事業者が不適切な業務を行っていたとして、都道府県が調査を行い「公的介護保険の担い手として不適格である」と判断しても、都道府県には保険指定を取り消す権限がない(X中核市にある)ことから、指導に決定打(「是正しなければ保険指定を取り消しますよ」という伝家の宝刀)がないと指摘されていました。

また、X中核市側には、「地域住民や利用者から『A介護サービス事業所が不適切な業務を行っている』との声が寄せられても、自身には立ち入り調査などを行う権限がなく。都道府県に委ねざるを得ない」という忸怩たる思いもありました。

こうした不合理を是正するために、今般の一括法では、「指定に関する事務・権限」「業務管理体制に関する届け出・立ち入り調査等に係る事務・権限」をすべて「中核市」に持たせる(業務管理体制に関する届け出・立ち入り検査等に係る事務・権限を都道府県から中核市に移譲する)こととしたものです。
分権一括法施行について 190614の図表
 
これにより、不適切な業務等の疑いのある事業所等には、直接、中核市が立ち入り調査を行い、是正に向けた指導を行うとともに、悪質な場合には保険指定の取り消しまでを実施でき、「実効性のある指導」が行われると期待されます。

 

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