プレミアム付商品券は医療・介護の一部負担支払いに利用可能、ただし「お釣り」を出せない点に留意を―厚労省



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 今年(2019年)10月の消費税率引き上げに伴い、低所得者・子育て世帯ではプレミアム付商品券の購入が可能となる。商品券は医療・介護の一部負担金の支払いに用いることが可能だが、「お釣り」を出せないので、過剰な金額受領とならないよう医療機関等で留意することが必要である―。

 厚生労働省は6月17日に事務連絡「プレミアム付商品券事業について」を、翌18日に事務連絡「保険医療機関等がプレミアム付商品券の取扱事業者となる上での留意点について」を発出し、こうした点に関する注意喚起を行いました。

900円の一部負担金で「500円商品券×2枚」を受領すると療養担当規則違反

 今年(2019年)10月に消費税率が、現在の8%から10%に引き上げられる予定です(これにともなって医療機関や介護事業所・施設の控除対象外消費税負担(いわゆる損税)が増加するため、特別の診療報酬・介護報酬プラス改定が行われます、関連記事はこちらこちら)。

 消費税率が増加した場合、当然、国民の支出も増えることになります。このため政府は、▼低所得者(2019年度の住民税非課税者)▼子育て世帯(学齢3歳未満の子(2016年4月2日から2019年9月30日の間に生まれた子)が属する世帯の世帯主)―を対象に、消費に与える影響を緩和することなどを目的とした「プレミアム付商品券」の販売を行うことを決めています(市区町村が販売し、必要経費を全額、国が補助する)。

具体的には、「2万5000円」を上限とする商品券を、上記対象者では最大5000円引き(つまり20%引き)で購入でき、今年(2019年)10月から来年(2020年)3月までの期間(具体的には市町村が定める)、消費に充てることが可能となります。
プレミアム付商品券(1)
プレミアム付商品券(2)
 
 このプレミアム付商品券は券面に記載された事業所でのみ使用できますが、厚労省は17日の事務連絡で「原則、医療や介護の自己負担の支払いに充てることが可能」な旨を明らかにしました(医療機関側が取扱事業所となる場合(任意)には、自ら市区町村に申し込むことが必要)。なお、事務連絡発出等の前に開設された自治体のホームページでは「医療保険の一部負担支払いには利用できない」と記載されているケースもあるようで、今後、修正が行われると見込まれます。

 つまり、低所得者や子育て世帯が医療機関を受診した際、その医療機関がプレミアム付商品券の取り扱い事業所であれば、自己負担を商品券で支払うことが可能になるのです。商品券で支払いを受けた医療機関は、市町村を通じて換金(現金化)することになります。

 
 
 ただし、「プレミアム付商品券には『お釣り』を出せない」こと、および「医療機関は定められた計算方法に則った額(年齢・所得に応じて医療費の1-3割)を超える一部負担金を受け取ってはならない」こと(療担(保険医療機関及び保険医療養担当規則)第5条など)に留意が必要です。

例えば、一部負担金が900円であった場合に、患者が1000円分の商品券(500円の商品券×2)を提示すると、医療機関としては「お釣りは出せない。しかし、900円を超える額の受領もできない」ことになってしまいます。6月18日の事務連絡では、この場合には「500 円の商品券2枚」ではなく、「500円の商品券1枚+と現金400円」を受け取ることになると例示しています。

仮に500円分の商品券2枚を受け取った場合、「お釣りを出せば、プレミアム付商品券のルール違反」となり、「お釣りを出さなければ、療養担当規則違反」となってしまいます。

 プレミアム付商品券の利用頻度がどの程度になるのかは定かではありませんが、医療機関での一部負担金支払いに用いられるケースはそう高頻度になるとは考えられません。このため、窓口で上記のような誤った取り扱い(一部負担金額を超過する商品券を受け取ってしまうなど)がなされる可能性もあり、留意が必要です。

 

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