看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委



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 2018年度診療報酬改定が入院医療に与えた影響に関する調査(2018年度調査)の結果速報では、急性期一般病棟入院基本料(急性期一般病棟入院料1-7)を届け出る病棟の「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準値を満たす患者割合)が、従前からの評価票を用いた「看護必要度I」と、DPCデータ(EF統合ファイル)を用いた「看護必要度II」とで大きな乖離がある。この要因について詳しく分析する必要がある。また、重症患者割合については平均値など以外にも、個別病院の状況が分かるようなデータを示す必要がある―。
 
 6月12日に開催された中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会(以下、基本小委)では、多くの委員からこういった要望が出されました。

入院医療に関する技術的課題を検討する診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)でも、同様の指摘が出ており、2020年度の次期診療報酬改定でも、「看護必要度の見直し」などが最重要論点の1つになりそうです。

6月12日に開催された、「第195回 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会」
6月12日に開催された、「第195回 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会」
 

急性期一般1では看護必要度IとIIとで、重症患者割合に8.5ポイントの乖離

入院医療に関する診療報酬改定論議は、まず「入院医療分科会で技術的課題などを整理する」、次いで「中医協で具体的な改定内容を検討する」という2段構えで行われます。

6月7日の入院医療分科会には2018年度改定の影響調査結果が報告され、例えば急性期入院医療に関しては、次のような点が明らかになりました(関連記事はこちらこちら)。

▽95.6%の7対1病棟は、「医療需要がある」「施設基準を満たしており、転換の必要性はない」「経営が安定する」などの理由で【急性期一般1】を届け出ており、【急性期一般2】への移行は2.6%、【急性期一般3】への移行は0.5%にとどまった
入院医療分科会(1)1 190607

入院医療分科会(1)2 190607
 
▽看護必要度I(従前どおりの評価票を利用)と看護必要度II(DPCのEF統合ファイルを利用)の選択状況を見ると、【急性期一般1】では▼79.6%が看護必要度I▼19.3%が看護必要度II―となっている
入院医療分科会(1)4 190607
 
▽看護必要度Iを選択(維持)した病院と、看護必要度IIを選択した病院とでは、重症患者割合に大きな差が出ている(【急性期一般1】では▼看護必要度I病院では35.2%(基準値は30%以上)▼看護必要度II病院では26.7%(基準値は25%以上))
入院医療分科会(1)5 190607
 
 
 同じ内容が6月12日の基本小委にも同じ調査結果が報告され、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「2020年度の次期診療報酬改定では、『急性期一般1の重症患者割合の基準値「30%以上」などが妥当であったのか』を議論していくべきことが明確になった」と強調しました。旧7対1から【急性期一般2】【急性期一般3】への移行が進んでおらず、その背景には「多くの病院が施設基準を満たし、移行の必要性を感じていない」などという点を重視したコメントと言えます。

 
また、幸野委員は「看護必要度IとIIとで、重症患者割合に大きな乖離が出ている」点について、「重症患者割合の基準値設定に誤りがあったのではないか」とも指摘しています。前述のように、看護必要度Iは「従前どおりの看護必要度評価票を利用」し、看護必要度IIは「DPCのEF統合ファイルを利用」していることから、両者では必然的に重症患者割合に差が出てきます(「看護必要度I」>「看護必要度II」となる)。このため、例えば【急性期一般1】については、施設基準上「5ポイントの差」(看護必要度Iでは30%以上、看護必要度IIでは25%以上)が設けられているのです。

しかし、今回の調査では「8.5ポイントの差」(看護必要度I病院の平均は35.2%、看護必要度II病院の平均は26.7%)が生じており、「この差の要因・背景を詳しく分析する必要がある」と幸野委員は要望しています。

 この点、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)や島弘志委員(日本病院会副会長)も「乖離の要因を詳しく見る必要がある。調査時点では医療機関の動きも固まっておらず、さらに詳しく調査分析する必要がある」旨を述べ、幸野委員の要望に賛同しています。今後の入院医療分科会に示されるデータ、そこでの議論に注目が集まりそうです。とくに、「看護必要度Iの測定データと、看護必要度IIの測定データとを合わせて提出している」病院もあり、そうした病院での比較分析には一層注目すべきでしょう。

 
 また幸野委員は、▼重症患者割合に関する個別病院の状況が分かるデータ(例えば病院ごとの重症患者割合をプロットした分布図など)▼重症患者が「A2点以上・B3点以上」「『診療・療養上の指示が通じる』『危険行動』に該当する患者で、A1点以上・B3点以上」「A3点以上」「C1点以上」のいずれのパターンに該当しているのかが分かるデータ―も入院医療分科会や中医協に示すよう要望しています。

 同様の指摘は6月7日の入院医療分科会でも多数の委員からなされており、2020年度の次期診療報酬改定でも、2018年度改定に引き続き「看護必要度」(内容、重症患者割合の基準値など)が急性期入院医療における最重要項目の1つとなりそうです。

旧「療養病棟2」、機能強化し「療養病棟1」などへ移行することは問題か

 なお、幸野委員は、従前の【療養病棟入院基本料2】(25対1看護配置)について、▼21.0%が【療養病棟1】(20対1看護配置)へ▼15.0%が【地域包括ケア病棟】へ―移行している点について、「2018年度改定の趣旨と逆行しているのではないか」と指摘し、介護医療院などへの移行状況も詳しく調べるよう求めています。
中医協・基本小委 190612の図表
 
 この点、2018年度改定や、介護医療院創設論議を振り返えると、▼療養病棟であっても、可能な限り重症な患者(医療区分2・3の患者)を受け入れ、そのためには「手厚い看護配置は必要である」として、新たな【療養病棟入院料2】では「20対1以上の看護配置」「医療区分2・3患者が5割以上」などの施設基準を設ける▼25対1医療療養や介護療養などの転換先の1つとして、住まい・医療・介護の3機能を併せ持つ介護医療院を創設する―というもので、「従前の療養病棟2(25対1看護)は機能強化せず、介護医療院へ移行すべき」との議論などがなされたとは思えません。

 「重症な長期入院患者に、適切な医療を提供し在宅復帰などを目指す」という地域のニーズは少なくなく、そのニーズに応えるために機能を強化してより診療報酬の高い入院料を届け出ることそのものには問題ありません。幸野委員の「2018年度改定の趣旨と逆行しているのではないか」との指摘に、慢性期入院医療の現場は違和感を覚えるかもしれません。

 

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