アクテムラ点滴静注、指定難病の「成人スチル病」治療に使用可能―厚労省



Pocket

 関節リウマチ等の治療に用いる「アクテムラ点滴静注用80mg、同200mg、同400mg」(一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え))について、指定難病の1つである「成人スチル病」の治療に使用することを保険診療上認める―。

 厚生労働省は5月22日に通知「アクテムラ点滴静注用80mg、同200mg及び同400mg の医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正について」を発出し、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

副腎皮質ステロイド投与で効果不十分な「成人スチル病」患者が投与対象

 アクテムラ点滴静注用は、これまでに、既存治療で効果不十分な▼関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)▼多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎▼全身型若年性特発性関節炎▼腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群―への効能・効果が認められています。

さらに今般、既存治療で効果不十分な「成人スチル病」への効能・効果追加が認められました。

「成人スチル病」は、▼リウマチ因子陰性(血清反応陰性)の慢性関節炎(多数の関節が痛み、腫れて熱感を持つ)▼かゆみを伴わない移動性の淡い桃色の皮疹(発熱とともに出現し、解熱により消失する)▼午前中は平熱だが、夕方から夜にかけて40度に達する高熱(弛張熱)▼のどの痛み▼リンパ節腫脹▼肝臓・脾臓の肥大▼医薬品へのアレルギー―などを特異的な症状とする膠原病の一種です。細菌やウイルスへの感染により発症・増悪することがあり、また命に係わる重篤な合併症も生じることがあり、日常生活において「感染症に罹患しない」ような注意が必要となります。

治療法がなく(炎症を抑える対症療法として、通常は副腎皮質ホルモン投与が行われる)、希少疾患であり(我が国の患者数は4760名と推定)、長期療養が必要となることなどから、一定の重症基準を満たした場合に医療費助成が行われる「指定難病」に指定されています(告示番号54)(難病情報センターの成人スチル病に関するサイトはこちら)(関連記事はこちら)。

副腎皮質ホルモン投与の効果が不十分な場合には、抗リウマチ生物学的製剤(主にアクテムラ点滴静注用)が用いられており、今般、効能・効果追加が認められ、保険診療上、使用することが可能となりました。成人スチル病患者には朗報となるでしょう。

今般の通知では、「成人スチル病」治療に本剤を使用する場合には、「過去に副腎皮質ステロイド薬による適切な治療を行っても、効果不十分な場合に投与する」ことを求めています。

 
 
ところで、画期的な▼B細胞性急性リンパ芽球性白血病▼びまん性大細胞型B細胞リンパ腫―治療薬の「「キムリア点滴静注」(成分名:チサゲンレクルユーセル)が5月22日に保険収載されました。

米国の臨床試験では「奏効率8割」という優れた治療成績が得られており、標準治療を終えた白血病等患者への治療法として大きな期待が集まっていますが、サイトカイン放出症候群(CRS:Cytokine release syndrome)などの有害事象も報告されています。このため厚労省と関係学会とで策定した最適使用推進ガイドラインでは、キムリアを使用する施設には「CRSへの対応体制を整えること」(具体的にはアクテムラ点滴静注用の備蓄等)などを求めています(関連記事はこちら)。

厚労省では、アクテムラ点滴静注用をCRS治療に用いる場合、▼腫瘍特異的T細胞輸注療法に関するガイドラインを含む最新の情報を参考に適応患者を選択する▼その他の対症療法の実施とともに使用する―ことを求めており(従前から変更なし)、この点に改めての留意が必要です。

 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

2020年1月に向け、難病対策・小児慢性特定疾患対策の見直しを検討―厚科審・疾病対策部会
膠様滴状角膜ジストロフィーとハッチンソン・ギルフォード症候群を2019年度から指定難病に追加—指定難病検討委員会
「MECP2重複症候群」や「青色ゴムまり様母斑症候群」など38難病、医療費助成すべきか検討開始—指定難病検討委員会

「患者申出を起点とする指定難病」の仕組み固まる、早ければ2019年度にもスタート―難病対策委員会(2)
まず指定難病と小児慢性特定疾患のデータベースを連結し、後にNDB等との連結可能性を検討―難病対策委員会(1)
患者申出を起点とする指定難病の検討、難病診療連携拠点病院の整備を待ってスタート―指定難病検討委員会

2018年度から医療費助成される指定難病は331疾患に、課題も浮上―指定難病検討委員会
特発性多中心性キャッスルマン病など6疾患、指定難病に追加へ―指定難病検討委員会
A20ハプロ不全症など61難病、新たな医療費助成対象への指定に向け検討開始—指定難病検討委員会
2017年4月から医療費助成の対象となる指定難病を24疾病追加を正式了承―疾病対策部会
2017年度から先天異常症候群や先天性肺静脈狭窄症など24疾病を指定難病に追加へ―指定難病検討委員会
先天異常症候群など24疾患を、2017年度から医療費助成の対象となる指定難病に追加―指定難病検討委員会
先天性僧帽弁狭窄症や前眼部形成異常など8疾患、指定難病として医療費助成対象に―指定難病検討委員会
先天性GPI欠損症やAADC欠損症など9疾患、医療費助成される指定難病の対象へ―指定難病検討委員会
神経系や血液系などの領域別に指定難病の追加検討を開始、年内告示を目指す―指定難病検討委員会
医療費助成の対象となる指定難病、早ければ年内にも対象疾病を再び拡大―指定難病検討委員会

7月から医療費助成となる196の指定難病を正式決定―厚科審の疾病対策部会
医療費助成の指定難病196を5月に告示へ―指定難病検討委員会
医療費助成の指定難病を概ね決定、胆道閉鎖症など7月から約200疾病
先天性ミオパチーや筋ジストロフィーなど41疾病、7月から指定難病へ―厚労省検討会

 
難病医療支援ネットワーク、都道府県の拠点病院と専門研究者との「橋渡し」機能も担う―難病対策委員会
難病診療連携の拠点病院を支援する「難病医療支援ネットワーク」に求められる機能は―難病対策委員会

小児慢性疾患患者の成人期医療への移行支援体制、都道府県ごとに柔軟に整備―難病対策委員会
患者や家族が指定難病の申請を可能とする仕組み、大枠固まる—難病対策委員会
患者起点で、医療費助成対象となる指定難病へ申請できる仕組みの整備へ―指定難病検討委員会
2017年4月から医療費助成の対象となる指定難病を24疾病追加を正式了承―疾病対策部会

4月から入院患者の食事負担が増額となるが、指定難病患者などでは据え置き―厚労省
指定難病患者の「高額療養費算定基準」とレセプトへの「特記事項」への記載を整理―厚労省
難病対策の基本方針、16年度中に代表的な疾病に対する医療提供体制モデル構築―厚労省

 
白血病等治療薬の「キムリア点滴静注」など、DPCの高額医薬品として出来高算定に―厚労省
キムリアによる白血病患者等へのCAR-T療法、細胞採取はK921【造血幹細胞採取】を、投与はK922【造血幹細胞移植】を準用―厚労省
画期的な白血病治療薬「キムリア」を保険収載、薬価は3349万円―中医協総会(1)

Pocket