病院の働き方改革等に向け、多職種の行為を診療報酬で評価し、入院基本料を引き上げよ―日病協



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 医師をはじめとする医療従事者の働き方改革が求められている。これを実現するには「スタッフの増員」などが不可欠となり、全病院の収入のベースとなる【入院基本料】の引き上げが必要となる。また、メディカル・スタッフが主役となる行為の診療報酬での評価を充実させることで、タスク・シフティングなども円滑に進むと考えられる。さらに、救急医療患者の増加・状態の多様化に対応できる「新たな評価体系・報酬体系の構築」が必要である―。

 日本精神科病院協会や日本病院会、全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」は5月24日に、厚生労働省保険局の樽見英樹局長に宛てて、こういった内容を盛り込んだ2020年度診療報酬改定に関する要望書を提出しました(日本病院会のサイトはこちら)。

メディカル・スタッフの行為を診療報酬で評価することで、モチベーションアップも

 日病協の2020年度改定に向けた要望項目は、次の5項目。▼地域医療構想や地域包括ケアシステムの推進▼医師の働き方改革▼医師偏在の解消―など、医療を取り巻く課題が山積する一方で、病院経営はさらに厳しい状況になっていることを訴え、我が国の医療の「さらなる向上」と「持続可能性」を追求するための診療報酬改定が必要と強調しています。

(1)医師をはじめとする医療従事者の働き方改革推進支援
(2)医療機関の機能分化・連携強化
(3)多職種協働・チームアプローチとタスクシフティング・タスクシェアリングの推進
(4)救急医療体制評価の充実
(5)医療版 ICT 推進と診療報酬体系や基準届出・保険請求業務の簡素化

 2020年度診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会・総会では「総論」論議を行っている最中であり(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)、個別具体的な点数項目の要望ではなく、大きな「2020年度改定方針」に向けた要望と言えるでしょう。

 
 まず(1)の「働き方改革」については、もっぱら「病院における医療従事者(勤務医、看護師など)」の労働時間短縮、業務改善(生産性の向上やタスク・シフティングなど)が重要である点を確認したうえで、▼病院の医療従事者の人件費のベースとなる【入院基本料】の増額▼専従・専任要件をはじめとする各種施設基準・関連加算要件等の抜本的な緩和措置―を求めています。

 例えば医師の働き方改革では、2024年4月からの年間時間外労働の上限を▼原則960時間▼救急病院などの地域医療確保に欠かせない場合の暫定的特例として1860時間―とすることが決まり、今後、5年間で全医療機関(特に病院)において労務管理を徹底するとともに、労働時間短縮に、強力に取り組んでいくことが求められます。

 この点、例えば救急科や外科などで医師の労働時間を短縮するためには、▼医師の増員を図る▼他職種への業務移管(タスク・シフティングを進める)▼不要な業務の整理を行う―ことなどが考えられますが、医師の増員はもちろん、他職種への業務移管をする場合でも、その他職種の確保が必要となり、「人件費増」が予想されます。日病協では、この人件費増を賄うために、全病院に共通の収入源となる【入院基本料】の増点を求めていると考えられます(【手術】などの特定診療料の増点では、必ずしも収入増とならない病院が出てくる)。

 
 また(2)の機能分化・連携強化は、2025年度に向けた「地域医療構想の実現」において不可欠です。2025年度には、いわゆる団塊の世代が、すべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増大すると見込まれ、現在の医療・介護提供体制ではこれを賄えないと目されるためです。

 この点、日病協では、【特定入院料】算定病棟で高額薬剤等を含む包括評価などが「機能分化を阻害する要因の1つ」になっていると分析。▼特定入院料の包括範囲見直し▼同一医療機関の複数科受診時の算定要件緩和―などを行うよう求めています。

 
 一方、(3)の「多職種協働」などは、昨今の医療提供体制において最重要テーマの1つとされています。またこれらは、(1)の「医師の働き方改革」の実現においても不可欠の要素となります。

 日病協では、▼「医師・看護師中心の病棟配置基準」から「薬剤師・管理栄養士・リハビリ専門職などの多職種を加味した配置基準」への抜本的な見直し▼各種加算などの見直しによるタスク・シフティング、タスク・シェアリングの推進―を要望しています。

後者については、より多くの専門職の「行為」を診療報酬で評価することを求めるものと言えるでしょう。例えば、A244【病棟薬剤業務実施加算】は、病棟薬剤師が「入院患者の過去の投薬・注射、副作用発現状況などの情報収集」などを行うことで、医療安全が高まり、医師の負担が軽減されることなどを評価する、「メディカル・スタッフ(薬剤師)が主役」の診療報酬項目です。しかし、診療報酬項目を見ると、こうした「メディカル・スタッフが主役」の加算は、ごくごく少数派にとどまっているのが実際です(A242【呼吸ケアチーム加算】、A233-2【栄養サポートチーム加算】などなど)。診療報酬での評価は、病院における「メディカル・スタッフ配置への経済的インセンティブ」になるにとどまらず、メディカル・スタッフが「自らの行為が経済的に評価され、病院経営に役立っている」と自覚できる極めて重要な機会となります。メディカル・スタッフがこうした意識を持てば、チーム医療がより積極的に組織され、円滑に稼働することが期待され、これは確実に「医療の質向上」につながります。非常に重要な要望項目と言えるでしょう。

 
また(4)では、A205【救急医療管理加算】で主に評価されてきた救急医療体制について、救急患者の増加・多様化を踏まえた「新たな評価体系・報酬体系」を求めています。

A205【救急医療管理加算】は、重症の救急患者を受け入れる医療機関を評価する点数項目ですが、従前より「対象患者が曖昧である」「軽症患者でも算定しているケースがある」と指摘され、さまざまな見直しが行われてきています(加算の区分化と、症状が明確でない患者の点数引き下げなど)。日病協では、こうした見直しが、必ずしも救急医療の現場にマッチしておらず、抜本的な見直しを行い、「新たな評価体系」を構築せよと要望しています。日病協の描く「新たな救急医療の評価体系・報酬体系」がどのようなものか、注目を集めそうです

 
さらに(5)では、▼電子カルテ等のシステム導入・維持・更新、システム平準化に対する診療報酬上の評価▼年々複雑化する診療報酬体系の簡素化―を求めています。

 
 

 

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