異状死体に関する医師の警察署への届け出義務、従来の医師法解釈を変えるものではない―厚労省



Pocket

 厚生労働省は4月24日に事務連絡「『医師による異状死体の届出の徹底について』(平成 31年2月8日付け医政医発0208第3号厚生労働省医政局医事課長通知)に関する質疑応答集(Q&A)について」を発出。

本年(2019年)2月8日付の通知で「死体外表面に異状所見が認められなくても、死体発見場所や発見までのいきさつなど諸般の事情から『異状を認める』場合には、医師法第21条に基づいて警察署に届け出を行ってほしい」旨を要請したが、これは従来の解釈を変えるものでも、医師に新たに「死体発見のいきさつ」などの把握を積極的に求めるものでもない、といった点を明確にしました(関連記事はこちら)。

医師に「死体外表の検査」のほか、死体発見のいきさつ等の把握を求めるものでない

 医師法第21条では、医師に対し「死体また妊娠4か月以上の死産児を検案し、異状ありと認めたときは24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」旨を規定しています。

この規定について近年、「死体の外表面に異状所見が認められない場合は、所轄警察署への届け出が不要である」と解釈する向きがあり、これが放置されれば、▼薬物中毒▼熱中症―などで死亡し、外表面に異常所見が認められない死体が所轄警察署への届け出が適切になされず、初動捜査などに支障を来す恐れ、さらには犯罪や事故などが明るみにでないおそれがあります。

そこで厚労省は今年(2019年)2月8日付で通知「医師による異状死体の届出の徹底について」(以下、2月8日付通知)を発出し、死体外表面に異状所見が認められなくても、死体発見場所や発見までのいきさつなど諸般の事情から「異状を認める」場合には、医師は医師法第21条に基づいて警察署に届け出を行ってほしい、との考えを明らかにしました(関連記事はこちら)。

  
 今般のQ&Aでは、さらに次のような点を明らかにしています。

▽2月8日付通知は医師法第21条の解釈を拡大するものではない

▽「警察署への届け出の要否は、個々の状況に応じて死体を検案した医師が個別に判断する」との従来の解釈を変えるものではない

▽いわゆる「広尾病院事件」に関する最高裁判決で示された解釈(▼医師法第21条にいう死体の「検案」は、医師が死因等を判定するために死体の外表を検査することをいい、当該死体が自己の診療していた患者のものであるか否かを問わないと解するのが相当▼「死体を検案して異状を認めた医師は,自己がその死因等につき診療行為における業務上過失致死等の罪責を問われるおそれがある場合にも、医師法第21条の届出義務を負う」とすることは、日本国憲法第38条第1項(何人も自己に不利益な供述を強要されない)に違反するものではない―)等を変更するものではない

▽医師法第21条は医師が検案をした場合を規定したもので、「検案」は「医師が死因等を判定するために死体の外表を検査すること」を意味し(上述の最高裁判決)、2月8日付通知はこの解釈を変えるものではない

▽医師に対し、「死体の外表の検査」のほかに、新たに▼死体が発見されるに至ったいきさつ▼死体発見場所▼状況―など諸般の事情を積極的に自ら把握することを含ませようとするものではない

▽2月8日付通知は、医師法第21条の「届出義務の範囲」を拡大するものではない

▽医療事故等の事案についての届け出についても、従来どおり、「死体を検案した医師が個々の状況に応じて個別に判断して異状があると認めるときに届出義務が発生する」ことに変わりない

 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

死体外表面に異状所見なくとも、諸般の事情から「異状を認める」場合、医師は警察署に届け出を―厚労省
医療事故調査制度、早ければ6月にも省令改正など行い、運用を改善―社保審・医療部会

Pocket