居住形態でなく、社会的ネットワークの低さが身体機能低下や抑うつ等のリスク高める―都健康長寿医療センター



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健康状態に問題のない高齢者では、居住形態(独居か、家族と同居か)ではなく、「他者とのつながりが乏しい者」(社会的孤立者)ほど▼身体機能低下▼抑うつ▼要介護状態―などのリスクが高い―。
 
 こういった研究結果を、東京都健康長寿医療センター研究所・藤原佳典研究部長の研究グループ(以下、藤原研究グループ)が4月19日に公表しました(東京都健康長寿医療センター研究所のサイトはこちら)。

健康に問題のないうちは、独居であっても、友人との交流などを行える住環境が重要

藤原研究グループでは、昨年、日常生活が自立している健康な高齢者であっても、「社会的な孤立」および「閉じこもり傾向」が重積している場合には、どちらにも該当しない場合に比べて、6年後の死亡率が2.2倍高まるといった研究成果を発表しています(関連記事はこちら)。

高齢者における「社会的孤立と閉じこもりの重積」と聞くと「独居」が思い浮かびますが、藤原研究グループでは、「単純に独居が悪いのではなく、他者とのつながり(社会的ネットワーク)が乏しくなることが健康に悪影響を与えているのではないか」と推測。2015年に東京都板橋区で実施した健康調査「お達者健診」に参加した400名の高齢者を対象として調査を実施しました。

具体的には、健康上問題のない高齢者を、「居住形態」と「社会的ネットワークの多寡」(親族や友人を含めた交流範囲や困ったときに相談できる親族や友人の範囲)とで次の4グループに分類し、各グループについて2年後に▼要介護認定率▼知的能動性障害▼社会機能障害▼閉じこもり発生率―がどのように変化したのかを調べています。
(1a)非独居・高ネットワーク
(1b)非独居・低ネットワーク
(2a)独居・高ネットワーク
(2b)独居・低ネットワーク

 その結果、独居・非独居といった「居住形態」に関係なく、 「社会的ネットワークの低い」グループでは、さまざまな障害のリスクが高いことが分かりました。社会的機能に関しては、家族と同居していても(非独居)であっても、友人等の交流が少ない場合には、障害発生リスクが6倍にも高まります。
都健康長寿医療センター研究報告 190419の図表
 
 この研究結果を踏まえ、藤原研究グループでは「高齢期の独り暮らしでは、さまざまな問題が起こることが想定されるが、周囲のサポートを適切に受けることで、安心で健康な暮らしを維持できると考えられる」「最初から健康状態が悪い高齢者の一人暮らしは、その後の健康状態を悪化させるとの報告もあることから、▼健康なうちは他者との交流を楽しみながら健康を維持する▼健康状態が不安になってきたらサポートが得られる住環境を求める―必要がある」と提言しています。

 
 

 

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