看護師の「特定行為研修」受講のハードル下げるため、研修費用への助成を―日看協



Pocket

 看護師が特定行為研修を受講するにあたり、受講料負担がハードルの1つになっている。「特定行為研修を修了した看護師」のさらなる育成に向けて、費用助成等を行うよう求める―。

 日本看護協会は4月15日に、厚生労働省と文部科学省に宛てて、こうした内容の「2020 年度予算・ 政策に関する要望書」を提出しました(日看協のサイトはこちら)。

特定行為研修を修了した看護師、10万人の養成目標に対し、実績は1205名

 一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を修了した看護師は、医師または歯科医師の包括的指示の下で、手順書(プロトコル)に基づいて38の診療上の補助(特定行為)を実施することが可能になります(関連記事はこちらこちら)。

看護・医療の質向上や、看護師のキャリアアップに資することは当然ですが、さらに、医師の働き方改革の中で「看護師など他職種へのタスク・シフティング(業務移管)」が求められる中で、いわば業務移管先として「特定行為研修を修了した看護師」の存在が大きな注目を集めています(関連記事はこちら)。

今年(2019年)2月時点では、特定行為研修を実施する研修施設は39都道府県113機関が指定され(関連記事はこちら)、2018年9月末時点で「特定行為研修を修了した看護師」数は1205名となりました。日本病院会や特定機能病院では、特定行為研修を実施する施設への指定に向けて積極的に動く方針を固めています(関連記事はこちらこちら)。

また、2020年4月からは、研修科目を精査し「研修の質を担保しながら、研修時間の短縮を行う」とともに、▼在宅・慢性期領域▼外科術後病棟管理領域▼術中麻酔管理領域—の3領域において特定行為研修をパッケージ化するなどの見直しが行われます(関連記事はこちらこちら)。より多くの研修修了者が誕生すると期待されます。

しかし、厚生労働省の「2025年度までに研修修了者を10万人とする」との目標までには大きな隔たりがあります。

こうした状況の中で日看協は、研修受講に向けたハードルの1つとして「受講料の負担」があると分析(1区分当たりの受講料は30-70万円程度で、日看協の調査では「受講料負担」をハードルとして挙げる声が25.6%と2番目に多い)。厚労省に対し、人材開発支援助成金「労働生産性向上訓練」(特定訓練コースで生産性の向上に資する訓練)の基本要件に「看護師の特定行為研修」を明記すべきと強く要望しました。

現在、人材開発支援助成金「労働生産性向上訓練」(特定訓練コースで生産性の向上に資する訓練)には、「労働生産性の向上に必要不可欠な専門・特殊性が認められる技能に関する訓練」として「喀痰吸引研修」が支給対象となっていますが、さらに「看護師の特定行為研修」を対象に追加するよう求めるものです。

 
あわせて文科省に対して、学校での安全な医療的ケア実施体制を整備するため、▼医療的ケアを提供する看護師が、安定・継続して働き続けられるような看護師数の確保▼特別支援学校等において安全に医療的ケア実施のためのガイドライン作成の予算措置―を行うよう求めています。

 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

日病が「特定行為研修を修了した看護師」の育成拡大をサポート―日病・相澤会長(2)
医師の働き方改革に向け、特定行為研修修了看護師の拡充や、症例の集約など進めよ―外保連

 
相澤病院など26機関を「看護師に特定行為研修を実施する機関」に追加、39都道府県で113機関が指定済―厚労省
看護師特定行為研修、▼在宅・慢性期▼外科術後病棟管理▼術中麻酔―の3領域でパッケージ化―看護師特定行為・研修部会
看護師の特定行為研修、「在宅」や「周術期管理」等のパッケージ化を進め、より分かりやすく―看護師特定行為・研修部会
感染管理など、特定看護師配置を診療報酬算定の要件にできないか検討を—神野・全日病副会長

 
医師働き方の改革内容まとまる、ただちに全医療機関で労務管理・労働時間短縮進めよ―医師働き方改革検討会
医師の時間外労働上限、医療現場が「遵守できる」と感じる基準でなければ実効性なし―医師働き方改革検討会
研修医等の労働上限特例(C水準)、根拠に基づき見直すが、A水準(960時間)目指すわけではない―医師働き方改革検討会(2)
「特定医師の長時間労働が常態化」している過疎地の救急病院など、優先的に医師派遣―医師働き方改革検討会(1)

研修医や専攻医、高度技能の取得希望医師、最長1860時間までの時間外労働を認めてはどうか―医師働き方改革検討会(2)
救急病院などの時間外労働上限、厚労省が「年間1860時間以内」の新提案―医師働き方改革検討会(1)
勤務員の健康確保に向け、勤務間インターバルや代償休息、産業医等による面接指導など実施―医師働き方改革検討会(2)
全医療機関で36協定・労働時間短縮を、例外的に救急病院等で別途の上限設定可能―医師働き方改革検討会(1)
勤務医の時間外労働上限「2000時間」案、基礎データを精査し「より短時間の再提案」可能性も―医師働き方改革検討会
地域医療構想・医師偏在対策・医師働き方改革は相互に「連環」している―厚労省・吉田医政局長
勤務医の年間時間外労働上限、一般病院では960時間、救急病院等では2000時間としてはどうか―医師働き方改革検討会
医師働き方改革論議が骨子案に向けて白熱、近く時間外労働上限の具体案も提示―医師働き方改革検討会
勤務医の働き方、連続28時間以内、インターバル9時間以上は現実的か―医師働き方改革検討会
勤務医の時間外労働の上限、健康確保策を講じた上で「一般則の特例」を設けてはどうか―医師働き方改革検討会
勤務医の時間外行為、「研鑽か、労働か」切り分け、外形的に判断できるようにしてはどうか―医師働き方改革検討会
医師の健康確保、「労働時間」よりも「6時間以上の睡眠時間」が重要―医師働き方改革検討会
「医師の自己研鑽が労働に該当するか」の基準案をどう作成し、運用するかが重要課題―医師働き方改革検討会(2)
医師は応召義務を厳しく捉え過ぎている、場面に応じた応召義務の在り方を整理―医師働き方改革検討会(1)
「時間外労働の上限」の超過は、応召義務を免れる「正当な理由」になるのか―医師働き方改革検討会(2)
勤務医の宿日直・自己研鑽の在り方、タスクシフトなども併せて検討を―医師働き方改革検討会(1)
民間生保の診断書様式、統一化・簡素化に向けて厚労省と金融庁が協議―医師働き方改革検討会(2)
医師の労働時間上限、過労死ライン等参考に「一般労働者と異なる特別条項」等設けよ―医師働き方改革検討会(1)

医師の働き方改革、「将来の医師の資質」なども勘案した議論を―社保審・医療部会(1)
勤務医の時間外労働上限、病院経営や地域医療確保とのバランスも考慮―医師働き方改革検討会 第7回(2)
服薬指導や診断書の代行入力、医師でなく他職種が行うべき―医師働き方改革検討会 第7回(1)
業務移管など「勤務医の労働時間短縮策」、実施に向けた検討に着手せよ―厚労省

【2018年度診療報酬改定答申・速報4】医療従事者の負担軽減に向け、医師事務作業補助体制加算を50点引き上げ
医師事務作業補助体制加算、より実効ある「負担軽減」策が要件に―中医協総会 第387回(2)
非常勤医師を組み合わせて「常勤」とみなす仕組みを拡大へ—中医協総会(2)

医師の労働時間規制、働き方を変える方向で議論深める―医師働き方改革検討会(2)
勤務医の負担軽減目指し、業務移管など緊急に進めよ―医師働き方改革検討会(1)
タスク・シフティングは段階的に進める方向で議論―医師働き方改革検討会
医師の勤務実態を精緻に調べ、業務効率化方策を検討―医師働き方改革検討会
罰則付き時間外労働規制、応召義務踏まえた「医師の特例」論議スタート—医師働き方改革検討会
医師への時間外労働規制適用に向けて検討開始、診療報酬での対応も視野に—厚労省
医師も「罰則付き時間外労働の上限規制」の対象とするが、医療の特殊性も検討―働き方改革

医療・介護従事者の意思なども反映した供給体制の整備を—働き方ビジョン検討会

 
看護職員への患者・家族等からのハラスメント対策を実施せよ―日看協
看護師・准看護師・看護補助者の業務内容や指示ルートを院内業務基準等に明示せよ―日看協
訪問看護ステーションや病院で看護師不足、看護師定着にはメンタルケアや働き方改革を―日看協
特定行為研修を包含した新認定看護師を2020年度から養成、「特定認定看護師」を名乗ることも可能―日看協
多職種連携の推進など踏まえ、非専門職等も理解できるような表現で看護記録の記載を―日看協
特定行為研修の指定研修機関充実、研修期間中の代替職員確保などを検討せよ―日看協
少子化対策の一環として、全妊産婦へ「産後に必要な支援」等を提供せよ―日看協
介護施設で働く勤続10年以上の看護職員、2019年度に処遇改善すべき―日看協
高度急性期から慢性期のいずれの機能でも、看護人材の育成・確保が大きな課題—日看協
看護職の夜勤、1回では24時間、2連続では48時間以上のインターバルが必要―日看協
社会人からの4年生看護師養成所への入学支援に向け、給付金の対象等拡充せよ―日看協
2019年度予算で、訪問看護レセプトの電子化を進めよ―日看協
求職中の看護職、大病院では「看護内容」重視―日看協
高度急性期・急性期の入院医療においては「7対1看護配置」をベースとせよ―日看協
看護必要度、2018年度に拙速な改変せず、中長期に在り方論議を―日病・全日病・日看協

機能強化型相当の訪問看護を実施する病院、介護報酬の訪問看護費を引き上げよ—日看協
2018年度同時改定で「5対1看護配置加算」など創設せよ—日看協
特養などの看護師に、認定・専門看護師が医療技術指導を行うモデル事業の実施を—日看協
措置入院患者への効果的な退院支援の推進と、精神保健福祉担当する自治体保健師の確保を—日看協
日看協が「看護師教育年限を4年に延長し、より質の高い看護を実現せよ」と改めて要望
看護師の夜勤負担軽減に向け、勤務時間インターバルや夜勤時間・回数の上限設定など実現せよ—日看協
看護職員の夜勤実態などを把握した上で、「深夜労働の回数上限」などを設定せよ―日看協が来年度予算で要望
看護師の教育年限を4年に延長し、特定行為研修を推進し、より質の高い看護の実現を―日看協が要望
多様化する医療・介護ニーズに応えるため、大学での質の高い看護教育推進を―日看協が文科省に要望

 
看護師の行う特定行為「気管挿管」「抜管」を除く38行為に―15年10月から研修開始、医道審部会
特定行為研修、厚労省が詳細を通知―10月施行に向け

Pocket