感冒やアレルギー性鼻炎では「健康教育」、インフルエンザでは「予防接種」の重要性を再確認―健保連



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 感冒(風邪)やアレルギー性鼻炎などでは、サラリーマン本人よりも家族の「1人当たり医療費」が高く、その背景には「受診率の高さ」があげられる。幼児・小児を含めて「本当に医療機関受診が必要なのか」という点も含めた健康教育が重要と考えられる―。

 健康保険組合連合会(健保連)が4月18日に公表した2017年度の「かぜ(感冒)・インフルエンザ等、季節性疾患(入院外)の動向に関するレポート」から、こういった状況が浮かび上がってきました(健保連のサイトはこちら)(前年度の分析に関連する記事はこちら)。

感冒、家族の受診率が高く「真に医療機関受診が必要か」といった健康教育が重要

 主に大企業で働くサラリーマンとその家族が加入する健康保険組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)では、データヘルスに積極的に取り組み、健保組合加入者のレセプトをもとにさまざまな調査分析を行っています(関連記事はこちらこちら こちらこちら)。

今般の調査では、2017年度のレセプトから(1)急性鼻咽頭炎(かぜ<感冒>)(2)インフルエンザ(3)血管運動性鼻炎・アレルギー性鼻炎<鼻アレルギー>(4)花粉によるアレルギー性鼻炎<鼻アレルギー>―4疾患について、有病者数や医療費の3要素などを分析しています。

 まず(1)の感冒について、本人・家族別に「年齢階級別の有病者数の構成割合」(有病者の最も多かった2018年1月)で、を見ると、「0-4歳の家族」(乳幼児)が特に多く、「0-9歳の家族」が有病者全体の半数を占めていることが再確認できます。

感冒における本人・家族別、年齢階級別の有病者数(2017年度)
感冒における本人・家族別、年齢階級別の有病者数(2017年度)
 
 1人当たり医療費を見ると、本人は100円(前年度から5円増)ですが、家族はその3.3倍となる330円(同10円減)となりました。年齢階級別に見ると、家族では、0-4歳の「1563円」(同87円減)が飛び抜けて高いほか、全般的に本人よりもやや高くなっています。

 1人当たり医療費を3要素(▼受診率(どのくらいの頻度で医療機関にかかるのか)▼1件当たり日数(医療機関に何日ほどかかるのか)▼1日当たり医療費(1日の医療費はいくから)—に分解して、本人と家族を比較してみると、▼受診率は家族で高い(本人の2.6倍)▼1件当たり日数は家族で若干高い(同1.2倍)▼1日当たり医療費はほぼ同じ(同1.03倍)―となりました。「家族の受診率」が感冒の医療費に大きく影響していることが分かり、医療費適正化のためには、例えば「医療機関を受診する必要が本当にあるのか」などの健康教育を充実していくことが重要と考えられそうです。

感冒における1人当たり医療費と、その3要素分析(2017年度)
感冒における1人当たり医療費と、その3要素分析(2017年度)
 

インフルエンザ、家族の受診率が高く「予防接種」などの重要性を再確認

 一方、(2)のインフルエンザについて、本人・家族別に「年齢階級別の有病者数の構成割合」(有病者の最も多かった2018年1月)を見ると、20-64歳では「本人の有病者数が家族よりも圧倒的に多い」ことが分かります。通勤等で「感染の機会が多い」ことなどが推測されますが、より詳しい調査分析が期待されます。

インフルエンザにおける本人・家族別、年齢階級別の有病者数(2017年度)
インフルエンザにおける本人・家族別、年齢階級別の有病者数(2017年度)
 
 1人当たり医療費を見ると、本人は1599円(前年度から348円増)、家族が3076円(同738円増)で、家族が本人の1.9倍強となりました。年齢階級別に見ると、0-14歳を除き「本人のほうが家族よりも高い」傾向がうかがえ、家族における1人当たり医療費の高さは「0-14歳の医療費」に起因すると考えられます。

 1人当たり医療費を3要素に分解してみると、▼受診率は家族のほうが高い(本人の1.75倍)▼1件当たり日数は家族が若干高い(同1.15倍)▼1日当たり医療費は家族のほうが低い(同0.94倍)―となっており、家族の医療費の高さは「0-14歳の小児で、受診率が高い」ところにあるようです。医療費適正化のためには「予防接種」や「手洗い等の履行」などを進めることが重要でしょう。

インフルエンザにおける1人当たり医療費と、その3要素分析(2017年度)
インフルエンザにおける1人当たり医療費と、その3要素分析(2017年度)
 

アレルギー性鼻炎、感冒と同様に健康教育が医療費適正化に向けて重要

 また(3)の血管運動性鼻炎・アレルギー性鼻炎について、本人・家族別に「年齢階級別の有病者数の構成割合」(有病者の最も多かった2018年3月)を見ると、(2)のインフルエンザと同じく「本人の有病者数が家族よりも圧倒的に多い」ことが分かります。この点、背景に何があるのか詳しく分析する必要があるでしょう。

アレルギー性鼻炎における本人・家族別、年齢階級別の有病者数(2017年度)
アレルギー性鼻炎における本人・家族別、年齢階級別の有病者数(2017年度)
 
 1人当たり医療費を見ると、本人は3070円(前年度から329円増)、家族5348円(同383円増)で、家族が本人の1.74倍となりました。年齢階級別に見ると、0-14歳を除き「本人と家族とで同程度(若干、家族のほうが高め)」と言えそうです。

 1人当たり医療費を3要素に分けると、▼受診率は家族のほうが高い(本人の1.89倍)▼1件当たり日数は家族のほうがやや高い(同1.14倍)▼1日当たり医療費は家族のほうが低い(同0.80倍)―となっています。家族における1人当たり医療費の高さは、主に受診率に起因しており、感冒と同様に「本当に医療機関を受診する必要があるのか」といった点などに関する健康教育が医療費適正化に向けて重要と考えられそうです。

アレルギー性鼻炎における1人当たり医療費と、その3要素分析(2017年度)
アレルギー性鼻炎における1人当たり医療費と、その3要素分析(2017年度)
 

花粉症については、本人と家族で1人当たり医療費などに大きな差はない

 最後に(4)の花粉によるアレルギー性鼻炎について、本人・家族別に「年齢階級別の有病者数の構成割合」(有病者の最も多かった2018年3月)を見ると、(2)(3)よりも顕著に「本人の有病者数が家族よりも多い」ことが分かります。

花粉症における本人・家族別、年齢階級別の有病者数(2017年度)
花粉症における本人・家族別、年齢階級別の有病者数(2017年度)
 
 1人当たり医療費を見ると、本人は119円(前年度から17円増)、家族は113円(同16円増)で、本人が家族の1.05倍となりました。年齢階級別に見ると、0-14歳を除き「本人と家族とで同程度」と言えそうです。

 1人当たり医療費を3要素に分けると、▼受診率は同じ▼1件当たり日数もほぼ同じ(家族が本人の1.08倍)▼1日当たり医療費は家族のほうが低い(同0.90倍)―となっています。本人における1人当たり医療費の高さは、主に「1日当たり医療費」に起因しています。治療内容をより詳しく分析し、適正化できる部分がないのかを探っていくことが重要でしょう。

花粉症における1人当たり医療費と、その3要素分析(2017年度)
花粉症における1人当たり医療費と、その3要素分析(2017年度)
 
 ところで財務省は、これまでに「医療費の適正化に向けて、軽微疾病での少額外来受診者には、一定の定額負担(3割負担等とは別の負担)を求めてはどうか」としています。「軽微受診を抑制」を狙うものと推測されますが、「医療適正化の効果は小さい」との指摘もあります(医療費の大部分は高額医療が占めている)(関連記事はこちら)。

もっとも軽微疾病について自己負担増となれば、国民の健康管理意識が高まることも予想され、「医療費適正化」に限局しない、幅広い視点での検討も必要となってくるでしょう。

なお、その際、市町村が実施している「小児への医療費助成」とどう整理するかも重要課題になるでしょう。

【更新履歴】有病者数の構成割合について、「2017年度の中で有病者数の最も多かった暦月」のデータですが、1年度分のように読める記述となっておりました。お詫びして追記いたします。本文記事は追記済みです。

 
 

 

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