2017年も、抗がん剤の生産・輸入が大幅に増加、生産額順位は第4位に—薬事工業生産動態統計



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 2017年の医薬品の国内生産額は6兆7213億円、輸入額は3兆4382億円となった。薬効別に見ると、「腫瘍用薬」の生産金額増加が依然として著しく、前年に比べて35.4%の大幅増加となった―。

 こういった状況が、厚生労働省が4月17日に発表した2017年の「薬事工業生産動態統計年報の概要」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(前年の関連記事はこちら)。

医薬品の国内生産は6兆7213億円、抗がん剤の生産金額拡大が2017年も目立つ

 薬事工業生産動態統計は、医薬品や医療機器の生産・輸入の実態を明らかにするために毎年行われている調査です。

 まず医薬品の生産・輸入状況を見てみましょう。

 2017年の国内生産金額は6兆7213億円で、前年に比べて975億円・1.5%の減少となりました。また、外国からの輸入金額は3兆4382億円で、前年に比べて5063億円・12.8%減少しています。生産額と輸入額の合計は10兆15965693億円で、前年に比べて4097億円・3.9%の減少となっています。

 
 国内生産金額のうち、医療用医薬品は6兆74億円(前年に比べて2.3%増)、一般用医薬品は6996億円(同4.8%減)となりました。医療医薬品が89.4%を占め、前年より0.8ポイント、シェアが低下しました。
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 国内生産金額を薬効大分類別に見ると、最も多いのは「循環器官用薬」で9344億円(前年から生産金額が7.3%減少し、医薬品生産金額全体に占めるシェアは15.2%→13.9%で1.3ポイント低下)となりました。以下、次のような状況で、「その他の代謝性医薬品」、「腫瘍用薬」の大幅増により順位が入れ替わっています。

▼その他の代謝性医薬品:7904億円(同14.6%増、同10.4%→11.8%で1.4ポイント上昇)
▼中枢神経系用薬:7577億円(同5.4%減、同12.1%→11.3%で0.8ポイント低下)
▼腫瘍用薬:4421億円(同35.4%増、同4.9%→6.6%で1.7ポイント上昇)
▼血液・体液用薬:4209億円(同1.1%減、同6.4%→6.3%で0.4ポイント低下)
▼消化器官用薬:4035億円(同0.8%増、同6.0%→6.0%で増減なし)
▼外皮用薬:3815億円(同2.9%減、同5.6%→5.7%で0.1ポイント上昇)
▼生物学的製剤:3513億円(同7.7%減、同4.9%→5.2%で0.3ポイント上昇)
▼感覚器官用薬:2831億円(同7.7%減、同4.6%→4.2%で0.4ポイント低下)
▼体外診断用医薬品:2240億円(同8.1%減、同3.7%→3.3%で0.4ポイント低下)
 
 構成割合の大きな医薬品を見ると、(1)循環器用薬:13.9%(2)その他の代謝性医薬品:11.8%(3)中枢神経系用薬:11.3%(4)腫瘍用薬:6.6%(5)血液・体液用薬:6.3%―となっており、上位5分類で49.9%を占めています。前年と同じく、集中度が低下傾向(分散傾向)にあります。

 
 さらに各大分類項目の内訳を見てみると、次のようになっています。

●循環器官用薬:「血圧降下剤」4261億円(前年に比べて生産金額が11.6%減)、「高脂血症用剤」1624億円(同4.1%減)、「血管拡張剤」1320億円(同8.1%減)ほか

●その他の代謝性医薬品:「他に分類されない代謝性医薬品」4787億円(同15.0%増)、「糖尿病用剤」2117億円(同24.5%増)、「痛風治療剤」451億円(同0.8%減)ほか

●中枢神経系用薬:「その他の中枢神経系用薬」1813億円(同9.3%増)「精神神経用剤」1719億円(同20.7%減)、「解熱鎮痛消炎剤」1557億円(同15.5%減)、ほか

●腫瘍用薬:「その他の腫瘍用薬」3690億円(同40.5%増)、「代謝拮抗剤」423億円(同19.5%増)、「抗腫瘍性植物成分製剤」198億円(同2.9%増)ほか

●血液・体液用薬:「その他の血液・体液用薬」1961億円(同8.0%減)、「血液凝固阻止剤」1473億円(同10.8%増)、「血液代用剤」670億円(同2.0%減)ほか

●消化器官用薬:「消化性潰瘍用剤」1974億円(同0.4%減)、「その他の消化器官用薬」701億円(同14.2%増)、「下剤、浣腸剤」369億円(同1.8%増)ほか

●外皮用薬:「鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤」2688億円(同5.5%増)、「外皮用殺菌消毒剤」311億円(同0.6%減)、「その他の外皮用薬」241億円(同17.5%増)ほか

●生物学的製剤:「血液製剤類」2017億円(同0.7%減)、「ワクチン類」844億円(同27.9%増)、「その他の生物学的製剤」363億円(同24.9%増)ほか

●感覚器官用薬:「眼科用剤」2353億円(同8.5%減)、「耳鼻科用剤」396億円(同0.6%減)、「鎮暈剤」81億円(同16.2%減)ほか

●体外診断用医薬品:「免疫血清学的検査用剤」1020億円(同9.0%増)、「生化学的検査用剤」837億円(同26.2%減)、「血液学的検査用試薬」206億円(同3.6%増)ほか
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 また薬効中分類別では、多いほうから次のようになっています。
▼他に分類されない代謝性医薬品:4787億円(同15.0%増)、シェア7.1%(同0.8ポイント増)
▼血圧降下剤:4261億円(同11.6%減)、シェア6.3%(同1.06ポイント減)
▼その他の腫瘍用薬:3690億円(同40.5%増)、シェア5.5%(同1.5ポイント増)
▼鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤:2688億円(同5.5%増)、シェア4.0%(同0.2ポイント増)
▼眼科用剤:2353億円(同8.5%減)、シェア3.5%(同0.4ポイント減)

輸入薬に関しても、抗がん剤がシェアトップを維持し、さらに増加

 医薬品の輸入金額が多い医薬品を見てみると、▼その他の腫瘍用薬:6904億円(同5.2%増)▼他に分類されない代謝性医薬品:2621億円(同0.3%減)▼糖尿病用剤:1780億円(同19.9%減)▼血液凝固阻止剤:1504億円(同4.4%増)▼抗ウイルス剤:1501億円(同74.2%減)―などが多くなっています。生産だけでなく、輸入においても「腫瘍用薬」(抗がん剤)の増加が目立ちます。
 
 輸入元としては、▼米国:7269億円(前年に比べて6.0%増、輸入金額の21.1%を占める)▼ドイツ:5890億円(同5.5%減、同17.1%)▼スイス:4557億円(同26.3%減、同13.3%)▼フランス:2687億円(同9.0%増、同7.8%)―が多く、この4か国で輸入金額の59.3%を占めています。前年4位であったアイルランドは、69.3%減少し、第9位になっています。

医療機器、国内生産が55%、輸入が45%

 医療機器の国内での生産金額は1兆9903億円(前年に比べて4.0%増)、輸入金額は1兆6492億円(同6.0%増)で、合計3兆6395億円(同4.9%増)となりました。全体に占める輸入金額の割合は、医薬品では3割強(33.8%)、医療機器では4割強(45.3%)となり、両者の差は前年よりもさらに拡大しました。
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 国内生産金額を大分類別に見ると、「処置用機器」が最も多く5291億円(前年比1.1%増)・シェア26.6%(同0.7ポイント減)でした。次いで、▼画像診断システム:2963億円(同11.1%増)・シェア14.9%(同1.0ポイント増)▼生体機能補助・代行機器:2678億円(同3.1%減)・シェア13.5%(同0.9ポイント減)▼生体現象計測・監視システム:2104億円(同25.4%増)・シェア10.6%(同1.8ポイント増)▼医用検体検査機器:1729億円(同13.9%減)・シェア8.7%(同1.8ポイント減)―となっています。

 また輸入金額を大分類別に見ると、▼処置用機器:4453億円(同11.9%増)▼生体機能補助・代行機器:4403億円(同8.7%増)▼眼科用品および関連製品:2202億円(同10.9%増)▼治療用または手術用機器:1439億円(同17.0%増)▼画像診断システム:976億円(同4.9%減)―などが多いことが分かります。

 輸入元としては、▼米国:8479億円(輸入金額の51.4%を占める)▼アイルランド:1448億円(同8.8%)▼ドイツ:1095億円(同6.6%)▼中国:1078億円(同6.5%)となっており、上位について前年からの順位の変動はありません。

 
 

 

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