高収益病院は総じて増収傾向、低収益病院では大幅増益から大幅減益までバラつき―厚労省



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病院の1施設当たり医療費は、2017年度には平均は27億2000万円で、前年度に比べて8400万円・3.2%増加した。ただし、収益の多い病院では総じて増収傾向にあるが、収益の少ない病院では、大幅増収となるケースから大幅減収となるケースまでバラつきが大きい―。

厚生労働省が3月28日に公表した2017年度版の「施設単位でみる医療費等の分布の状況~医科病院、医科診療所、歯科診療所、保険薬局~」から、こうした状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

病院収益のバラつき度合いは年々拡大傾向

厚生労働省は、「医療費の動向」(MEDIAS)を毎月公表し、医療機関1施設当たりの医療費データなどを明らかにしています。しかし、このデータは医療費÷医療機関数」で1施設当たりの数値を算出しており、医療機関の規模や状況を勘案したものとはなっていません。そこで医療機関の規模(病床数ではなく、「1施設当たりの医療費階級」)別に医療費の状況を分析し、「施設単位でみる医療費等の分布の状況」を示しています(前年度の状況はこちら、前々年度の状況はこちら)。

医科病院について見てみると、2017年度の1施設当たり医療費は平均で27億2000万円となりました。2011年度からの変化を見ると、平均医療費は増加傾向にあり(▼11年度:23億4900万円→▼12年度:24億1600万円→▼13年度:24億6400万円→▼14年度:25億2200万円→▼15年度:26億円→▼16年度:26億3600万円▼→17年度:27億2000万円)、かつ、バラつき(標準偏差)も大きくなっています(▼11年度:37億3900万円→▼12年度:39億900万円→▼13年度:40億600万円→▼14年度:40億9800万円→▼15年度:42億8100万円→▼16年度:43億7100万円→▼17年度:45億3400億円)。

1施設当たり医療費は「病院の収入」と読み替えることができます。バラつきが大きくなっているということは、「収入の多い病院はより高収入となり、収入の少ない病院はより減少している」可能性が高い、つまり「地域における競争が激化している」と考えることができるでしょう。

平均在院日数の短縮が進み、その中で病床稼働率を維持するためには、新規患者をこれまで以上に獲得することが必要となります。そこで「より広範な地域からの新規患者獲得」を目指すことになりますが、すべての病院が同じ状況に置かれているため、地域での患者獲得競争が激化していくのです。

自院の等身大の姿を確認した上で、▼競合となる近隣の他院の状況▼全国における自院の状況▼地域での立ち位置(今後果たすべき機能)▼地域の患者動向―などを総合的に把握し、病床削減(ダウンサイジング)や統合・再編も視野に入れた経営戦略を練っていく必要があります。

 
また「1施設当たりの医療費階級」別に「1施設当たり医療費の伸び率」を見てみると、次のような傾向を伺うことができます。

▽1施設当たり医療費の少ない病院(つまり収益の少ない病院)では、医療費の伸び率に大きな幅がある

▽1施設当たり医療費の多い病院(つまり収益の多い病院)では、医療費伸び率の幅が小さく、かつ医療費伸び率が大きい
2017年度施設単位の医療費動向1 190328
 
ここから次のような点が推測できます。

▽収益の少ない病院(医療費の少ない病院)では、大幅増収となっている病院もあれば、大幅減収となっている病院もある(伸び率の幅が大きい)。例えば、1施設当たり医療費が2億円未満の病院では、上位25%は医療費伸び率が8%近い(つまり8%近い増収)が、下位25%では医療費伸び率がマイナス6%を超えている(つまり6%超の減収)

▽収益の多い病院(医療費の多い病院)では、安定的に増収となっている(伸び率が高く、幅が小さい)。とくに1施設当たり医療費が70億円以上の病院では、下位25%であっても、医療費伸び率がプラス(つまり増収)になっている。

 
 入院と入院外に分けてみても同様の傾向にあります。とりわけ収入の少ない、小規模な病院では、地域における、いわば「勝ち負け」がさらに明確になってきており、経営戦略の見直しを急ぐ必要があります。例えば▼機能転換(比較的競争力の強い分野への機能集中など)▼近隣医療機関との再編・統合―などを真剣に考える時期に来ていると言え、とくに「公立病院」「公的病院等」においては、地域医療構想調整会議の議論も踏まえた経営戦略の見直しを考えることが重要でしょう(関連記事はこちらこちらa>とこちらこちらこちら)。
2017年度施設単位の医療費動向2 190328
2017年度施設単位の医療費動向3 190328

 
さらに、機能別に病院の「1日当たり入院医療費」(患者単価)を見てみると、病院全体では2万6000円ですが、▼特定機能病院:7万4000円(前年度から4000円増)▼地域医療支援病院:5万9000円(同2000円増)▼DPC対象病院:5万円(同増減なし)▼それ以外の病院:2万3000円(同増減なし)—などとなっています。

また、▼特定機能病院では単価のバラつきが極めて小さい▼一般の非DPC病院でバラつきが大きい―などの特徴もあります。
2017年度施設単位の医療費動向4 190328
 
 

 

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