2018年度診療報酬改定後、500床以上の大病院や3次救急病院で「収入増」の度合いが大きい―全自病調査



Pocket

 2018年度診療報酬改定の前後で、自治体病院では患者数が入院・外来ともに減少したが、診療単価が入院・外来ともに上昇したため、収入は入院・外来・全体のすべてで増加した。とくに「500床以上の大規模病院」「3次救急病院」では収入増の度合いが大きいが、一方で「医療資源の少ない地域」では増加の度合いが小さい―。

 全国自治体病院協議会が3月14日に公表した2018年度診療報酬改定影響率調査結果(第2報)から、こういった状況が明らかになりました(全自病のサイトはこちら)。

2018年度改定の前後で、自治体病院の収入は全体では増加

 この調査は、2018年度診療報酬改定前後(2017年10月と2018年10月)において自治体病院の経営状況がどう変化したかを調べるもので、有効回答は411病院(全自病加盟病院の47%)となりました。

 まず、全体について「改定前後で各種の経営指標がどう変化したか」を見ると、平均在院日数の短縮(前年に比べて2.5%減)に比べて、病床利用率の低下(同1.4%減)は小さく抑えられ、「在院日数の短縮(医療の質の向上)」と「新規患者の獲得」とを相当程度両立できているように見えます。また、患者数は入院(1.7%減)・外来(0.7%減)ともに減少しましたが、診療単価の向上(入院3.8%増、外来2.2%増)により入院収入(1.8%増)・外来収入(6.8%増)・総収入(3.1%増)がすべて前年に比べて増加しています。なお、今回の調査分析では費用(コスト)については調べられておらず、「利益の状況」などは今後を待つ必要があります。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)1 190314
 
 病床規模別に見ると、500床以上の大病院で収入増(対前年比)の度合いが大きいようです。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)2 190314
 
 救急体制別に見ると3次救急・2次救急で収入増の度合いが大きく、地域別に見ると、逆に医療資源の少ない地域で収入増の度合いが小さいことなども分かりました。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)3 190314
 

2018年度改定の影響、入院単価1.22%、外来単価0.7%程度、総収入1.05%程度

 次に、全体の「入院単価」の動向を見ると、▼2017年3月:4万9929円 → ▼2017年10月:5万817円 → ▼2018年3月:5万460円 → ▼2018年10月:5万1974円―となっています。

 「2017年3月と2018年3月」、「2017年10月と2018年10月」を比較すると、いずれも1.22%の増加となっており、全自病では「2018年度改定が入院単価に与えた影響は1.22%である」と分析しています。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)4 190314
 
 
 また、全体の「外来単価」の動向を見ると、▼2017年3月:1万2762円 → ▼2017年10月:1万2652円 → ▼2018年3月:1万2967円 → ▼2018年10月:1万2946円―となっています。

 「2017年3月と2018年3月」を比較すると0.71%増、「2017年10月と2018年10月」を比較すると0.70%増となっており、全自病では「2018年度改定が外来単価に与えた影響は0.70-0.71%の範囲である」と分析しています。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)5 190314
 
 
 さらに、全体の「総収入」の動向を見ると、▼2017年3月:5億4921万801円 → ▼2017年10月:5億3517万7783円 → ▼2018年3月:5億6580万3950円 → ▼2018年10月:5億5706万7692円―となっています。

 「2017年3月と2018年3月」を比較すると1.02%増、「2017年10月と2018年10月」を比較すると1.07%増となっており、全自病では「2018年度改定が総収入に与えた影響は1.02-1.07%の範囲である」と分析しています。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)6 190314
 
 
 これら全体の数字と自院の数字とを比較し、例えば「単価が全体より低い」場合には、「軽症の患者が多い」可能性が高く、「より重症の患者を獲得するために、近隣中小病院や介護事業所・施設との連携強化や、救急搬送患者の積極的な受け入れなどを行う」などの対応策を検討することが重要です。

 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

急性白血病等の治療法選択するNUDT15遺伝子検査、例外的に治療開始後にも算定可能―疑義解釈12【2018年度診療報酬改定】
ベンゾジアゼピンの1年処方、全日病研修修了者も通常の処方料・処方箋料を算定可能―疑義解釈11【2018年度診療報酬改定】
【看護夜間体制加算】、夜間の看護補助4時間以上配置は「週3日以上」でよい―疑義解釈9【2018年度診療報酬改定】
看護必要度II、「一覧に記載された薬剤」の後発品も評価対象―疑義解釈8【2018年度診療報酬改定】
看護必要度II、3月・9月中に切り替える場合は実績期間も前倒し可能―疑義解釈7【2018年度診療報酬改定】
一般の病床が満床で差額ベッドのみ空床の場合、懇切丁寧な説明と同意あれば差額ベッド代徴収は従前通り可能―疑義解釈6【2018年度診療報酬改定】
看護必要度II、一覧に記載された薬剤の「類似薬」も評価対象に―疑義解釈5【2018年度診療報酬改定】
看護必要度II、投薬・注射・手術・麻酔の薬剤のみ評価対象―疑義解釈4【2018年度診療報酬改定】
自院で介護保険訪問看護を実施していれば、地域包括1・3の選択基準満たす―疑義解釈3【2018年度診療報酬改定】
7対1病院が急性期一般1を算定する場合、9月までは特段の届け出不要―疑義解釈2【2018年度診療報酬改定】
保険診療上の【オンライン診療料】、実施指針よりも厳格に運用―疑義解釈1【2018年度診療報酬改定】(3)
医療安全のピアレビュー、抗菌薬の適正使用推進を評価する加算を新設―疑義解釈1【2018年度診療報酬改定】(2)
看護必要度IIの詳細、入院時支援加算における専従・専任看護師の規定など解説―疑義解釈1【2018年度診療報酬改定】(1)

外来から入院、退院後の在宅医療までをマネジメントするPFM、さまざまなメリットが!
鈴木医務技監・迫井医療課長がGHC改定セミナーに登壇!「重症患者受け入れ」に軸足を置いた入院報酬に!

200床以上で看護必要度II要件を満たさない場合、急性期一般入院料2・3は届出可能か―厚労省
DPCのEF統合ファイル用いる看護必要度II、選択可能な病院の条件を提示―厚労省

2018年度診療報酬改定、答申内容を一部訂正―厚労省
【2018年度診療報酬改定答申・速報6】がん治療と仕事の両立目指し、治療医と産業医の連携を診療報酬で評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報5】在総管と施設総管、通院困難患者への医学管理を上乗せ評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報4】医療従事者の負担軽減に向け、医師事務作業補助体制加算を50点引き上げ
【2018年度診療報酬改定答申・速報3】かかりつけ機能持つ医療機関、初診時に80点を加算
【2018年度診療報酬改定答申・速報2】入院サポートセンター等による支援、200点の【入院時支援加算】で評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報1】7対1と10対1の中間の入院料、1561点と1491点に設定

 
地域包括ケア病棟の導入で、2016年度改定による収入減を小さく抑えられた―全自病調査

Pocket