公的介護が必要な65歳未満の「がん」患者、主治医意見書の診断名は「がん」のみでも可―厚労省



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 40歳65歳未満のがん患者から要介護認定申請があった場合、主治医意見書の特定疾病の記載が、▼がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)▼末期がん▼がん末期―などの記載のほかに、単に「がん」とされたものでも受理してよい―。

 厚生労働省は2月19日に事務連絡「がん患者に係る要介護認定等の申請に当たっての特定疾病の記載等について」を示し、こうした点の周知を都道府県に依頼しました(厚労省のサイトはこちら)。

がん患者、迅速に要介護認定が行われるような配慮

 2000年にスタートした公的介護保険制度では、65歳以上(第1号被保険者)の要支援者・要介護者においては要介護状態などの原因を問わず自立支援に向けたサービスを受けられます。一方、40歳以上65歳未満(第2号被保険者)の要支援者・要介護者に対しては、以下の「特定疾病」によって要支援・要介護状態になった場合に限りサービスを受けられます。

【特定疾病】(16種類)
▼がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)▼関節リウマチ▼筋萎縮性側索硬化症▼後縦靱帯骨化症▼骨折を伴う骨粗鬆症▼初老期における認知症▼進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】▼脊髄小脳変性症▼脊柱管狭窄症▼早老症▼多系統萎縮症▼糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症▼脳血管疾患▼閉塞性動脈硬化症▼慢性閉塞性肺疾患▼両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症―

 公的介護サービスを受けるためには、市町村で「要支援状態・要介護状態」と判定されることが必要ですが(要介護認定)、利用者による申請から判定結果が出るまでに一定の時間がかかります(通常1か月程度)。

この点、「末期がん」患者においては状態が急速に悪化するケースもあることから、迅速なサービス提供に向けて、▼保険者(市町村)が必要と認めた場合、申請から認定までの段階でも「暫定ケアプラン」を作成して、介護サービス提供を開始できる▼サービス利用に急を要する場合には、迅速な要介護認定を実施する(申請日中に認定調査を実施し、直近の介護認定審査会で2次次判定を行うなど)▼入院段階から医療機関とケアマネジャーが連携し、退院後、切れ目のないサービス提供を行う―などの対応が図られています(2010年4月30日付の事務連絡「末期がん等の方への要介護認定等における留意事項について」)。

また、要介護認定には「主治医意見書」が必要となりますが、40歳以上65歳未満の第2号被保険者については、診断名欄に「介護を必要とさせている生活機能低下等の直接の原因となっている特定疾病名」を記入することになっています。特に、末期がんの場合には、保険者(市町村)等が「迅速な要介護認定が必要か」などを判断するために必要とされています。

一方で、医療現場では「予後を見通しにくく、主治医意見書に『末期がん』と明記しにくい」との声も出ています。がん対策推進基本計画(第3期)でも、「在宅緩和ケアにおける医療と介護との連携について、65歳未満のがん患者が要介護認定の申請をする際には、『末期がん』を特定疾病として申請書に記載する必要があるが、実際には記入しづらいため、利用が進まないとの指摘がある」「国は、要介護認定における『末期がん』の表記について、保険者が柔軟に対応できるような方策を検討する」こととされました。

こうした点を踏まえ、厚労省は今般、「特定疾病の名称記入に当たっては、▼がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)▼末期がん▼がん末期―などの記載に限らず、単に『がん』と記載されたもので申請を受理して差し支えない」ことを決定。都道府県を通じて、介護保険者(市町村)などに周知するよう依頼しています。主治意見書を記載する医療現場でも、特定疾病名を「がん」のみと記載することが可能となります。

なお、厚労省の特定疾病名について、従前は「がん【がん末期】(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったものに限る)」と記載されていましたが、【がん末期】の記載が削除され、上記のとおり「がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)」と変更されています。

介護が必要ながん患者について、より円滑・迅速に「要支援・介護の判定がなされ、公的介護サービスが提供される」ことが期待されます。

 
 
 

 

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