画期的抗がん剤のオプジーボやキイトルーダに「血球貪食症候群」の副作用―厚労省



Pocket

 優れた抗がん剤に新たな重大な副作用が判明しており、投与に当たっては患者の状態を十分に把握する必要がある。オプジーボ(ニボルマブ)とキイトルーダ(ペムブロリズマ)には「血球貪食症候群」、イブランスカプセル(パルボシクリブ)には「間質性肺疾患」ハーセプチン(トラスツズマブ)には「腫瘍崩壊症候群」の、副作用が判明している―。

厚生労働省は2月12日に通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出し、こうした情報提供を行いました(厚労省のサイトはこちら)。

 
 今般、新たに重大な副作用などが判明したのは次の6医薬品です。厚労省は製薬メーカーに対して速やかに「使用上の注意」を改訂するよう指示しました。薬剤部から院内各部門へ、迅速かつ適切な情報提供・共有が求められます。

(1)ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫、骨症状)改善に用いる「エリグルスタット酒石酸塩」(販売名:サデルガカプセル100mg)

▽【禁忌】の項における「次に掲げる患者[本剤の血中濃度が大幅に上昇するおそれ]」を、以下のように改める

「本剤の血中濃度が大幅に上昇するおそれがある以下の患者」
(1)チトクロームP450(CYP)2D6の活性が通常(Extensive Metabolizer、EM)で、以下に該当する患者
・中等度以上の肝機能障害(Child-pugh分類BまたはC)がある
・軽度肝機能障害(Child-pugh分類A)があり、「中程度以上のCYP2D6阻害作用を有する薬剤」を使用中
・軽度肝機能障害(Child-pugh分類A)があり、「弱いCYP2D6阻害作用を有する薬剤」と「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」の両方を使用中
・肝機能が正常で、「中程度以上のCYP2D6阻害作用を有する薬剤」と「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」の両方を使用中

(2)CYP2D6の活性が低く(Intermediate Metabolizer、IM)、以下に該当する患者
・肝機能障害(Child-pugh分類A、BまたはC)がある
・肝機能が正常で、「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」を使用中

(3)CYP2D6の活性が欠損し(Poor Metabolizer、PM)、以下に該当する患者
・肝機能障害(Child-pugh分類A、BまたはC)がある
・肝機能が正常で、「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」を使用中

 
▽【用法・用量に関連する使用上の注意】の項の「CYP2D6遺伝子型の確認」に関する記載について、「本剤投与開始前にCYP2D6遺伝子型、肝機能および併用薬剤を確認する。また、本剤投与中も肝機能および併用薬剤の状況に注意する」旨と改める

 
▽「用法・用量の調整」に関する記載を、次のように改める
・CYP2D6の活性が通常の患者(EM)では、下表を参考に、1回投与量を100mgとして用法・用量の調整を行う。なお、中等度以上の肝機能障害(Child-pugh分類BまたはC)がある患者には投与しない
使用上の注意改訂1 190212
 
・CYP2D6の活性が低い患者(IM)では、下表を参考に、1回投与量を100mgとして用法・用量の調整を行う。なお、肝機能障害(Child-pugh分類A、BまたはC)がある患者には投与しない
使用上の注意改訂2 190212
 
・CYP2D6の活性が欠損している患者(PM)には、本剤の血中濃度が上昇するため投与を避けることが望ましいが、投与する場合は「1回100mg・1日・1回」投与を目安とし、慎重に投与する。ただし、肝機能障害(Child-pugh分類A、BまたはC)がある場合、または「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」を併用する場合は投与しない

・(注)CYP2D6阻害作用を有する薬剤とCYP3A阻害作用を有する薬剤については「相互作用」の項を参照し、禁忌または用法・用量の調整が必要な薬剤に該当するかを確認する

 
▽[相互作用]の「併用禁忌」の項に、<CYP2D6の活性が通常の患者(EM)で軽度肝機能障害(Child-pugh分類A)がある患者>において、▼中程度以上のCYP2D6阻害作用を有する薬剤▼弱いCYP2D6阻害作用を有する薬剤と中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤の両方を併用▼クラスIa抗不整脈薬(キニジン、プロカインアミド等)、クラスIII不整脈薬(アミオダロン、ソタロール等)、ベプリジル塩酸塩―を追記する

 
(2)HER2過剰発現が確認された乳がん・HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん癌治療に用いる「トラスツズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ハーセプチン注射用60、同150)、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]」(販売名:トラスツズマブBS点滴静注用60mg「NK」ほか)、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]」(販売名:トラスツズマブBS点滴静注用60mg「第一三共」ほか)、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続3]」(販売名:トラスツズマブBS点滴静注用60mg「ファイザー」ほか)

▽新たな【重大な副作用】:腫瘍崩壊症候群(血清中電解質濃度および腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析など)を行うとともに、症状回復まで患者の状態を十分に観察する)

 
(3)▼悪性黒色腫▼切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▼根治切除不能または転移性の腎細胞がん―などの治療に用いる「ニボルマブ(遺伝子組換え)」(販売名:オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg)

▽新たな【重大な副作用】:血球貪食症候群

▽既存の【重大な副作用】である「重篤な血液障害」について、「免疫性血小板減少性紫斑病」のほかに、新たに▼溶血性貧血▼無顆粒球症―などの重篤な血液障害を追記する

 
(4)手術不能または再発乳がんの治療に用いる「パルボシクリブ」(販売名:イブランスカプセル25mg、同125mg)

▽【重要な基本的注意】の項に、「間質性肺疾患が現れることがあるので、本剤投与にあたっては、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認および胸部X線検査の実施などを行い、患者の状態を十分に観察する。必要に応じて胸部CT、血清マーカー等の検査を実施する」旨を追記する

▽新たな【重大な副作用】:間質性肺疾患

 
(5)▼悪性黒色腫▼切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▼がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合)―などの治療に用いる「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:キイトルーダ点滴静注20mg、同100mg)

▽新たな【重大な副作用】:血球貪食症候群

▽既存の【重大な副作用】である「重篤な血液障害」について、「免疫性血小板減少性紫斑病」「溶血性貧血」「赤芽球癆」のほかに、新たに「無顆粒球症」を追記する

 
(6)C型慢性肝炎治療、またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に用いる「グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル」(販売名:マヴィレット配合錠)

▽【重要な基本的注意】の項に、「肝機能障害、黄疸が現れることがあり、定期的に肝機能検査を行うなど、観察を十分に行う」旨を追記する

▽新たな【重大な副作用】:肝機能障害、黄疸(AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがある)

 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤、二次性血栓性微小血管症の患者には有効性・安全性が未確立―厚労省
抗菌剤クラビット錠等に大動脈瘤や大動脈解離の、C型肝炎治療薬のスンベプラ等に急性腎障害などの副作用―厚労省
乾燥弱毒生水痘ワクチンに「無菌性髄膜炎」発症の可能性、接種から数年後に発症した事例も―厚労省
甲状腺がん等の治療に用いるレンビマカプセル、気胸に注意し、肺転移患者には慎重投与を―厚労省
メバロチンとリポクリンなど、やむを得ない場合、腎機能悪化に注意の上で併用投与認める―厚労省
抗菌剤のビクシリン注射用等において、「急性汎発性発疹性膿疱症」の副作用―厚労省
インフルエンザ治療薬、異常行動に十分注意した処方を!タミフルは未成年者に解禁―厚労省
肺炎治療等に用いるロセフィンに痙攣等の、乾癬治療薬のオテズラに重度下痢の副作用―厚労省
アトピー治療剤のプロトピックや免疫抑制剤のプログラフ、妊婦には催奇形性リスク考慮した使用を―厚労省
ピロリ菌感染の治療等に用いるボノピオン等、肝機能障害が現れることがある―厚労省
キイトルーダ、「硬化性胆管炎」が現れることがあるため、十分な観察を―厚労省
統合失調症治療薬やアドレナリン、【禁忌】事項などを見直し―厚労省
ウプトラビ錠とプラビックス錠等は併用禁忌、サムスカ錠に急性肝不全の副作用―厚労省
造影剤のイオヘキソールとイオメプロールに「急性汎発性発疹性膿疱症」の副作用—厚労省
MRI造影剤の「脳への残存」を危惧、検査の必要性を慎重に判断せよ—厚労省
輸血には感染症伝播のリスク、患者観察などを徹底せよ―厚労省
サワシリンに血小板減少、病院で広く使われる消毒薬にアナフィラキシーの副作用—厚労省
RSウイルスによる新生児下気道疾患治療薬「シナジス筋注液」に血小板減少症の副作用―厚労省
アデムパス投与で有害事象・死亡が多く、ワーファリンに難治性皮膚疾患の副作用―厚労省
画期的抗がん剤のオプジーボ、硬化性胆管炎の副反応―厚労省
肺炎球菌ワクチンのニューモバックス、注射部位壊死・潰瘍の重大な副反応―厚労省
悪性黒色腫・非小細胞肺がん治療に用いるキイトルーダ、心筋炎の副作用―厚労省
精神神経用剤のデパス、抗不安剤のソラナックス、メイラックスなど、薬物依存に注意―厚労省
神経症における不安・緊張などを和らげるアタラックス、急性汎発性発疹性膿疱症の副作用―厚労省
多発性骨髄腫治療に用いるレブラミド、B型肝炎ウイルスの再活性化を促す副作用―厚労省
うつ病治療に用いるデュロキセチン塩酸塩など、自動車運転などの際には十分な注意を―厚労省
胃潰瘍治療などに用いるポラプレジンク、銅欠乏症による汎血球減少や貧血の副作用―厚労省
ワルファリンとミコナゾールは併用禁忌、オプジーボに心筋炎などの副作用―厚労省
多発性硬化症治療薬のタイサブリに急性網膜壊死などの副作用―厚労省
ボルタレンに消化管狭窄・閉塞、ハーボニー錠に高血圧・脳血管障害の副作用―厚労省
てんかんの部分発作治療に用いるオクスカルバゼピン、重篤な皮膚障害に留意を―厚労省
抗てんかん剤レベチラセタなど7医薬品、新たに「重大な副作用」-厚労省
ハーボニー錠などC型肝炎治療薬、B型肝炎ウイルスを活性化させる恐れあり慎重投与を―厚労省
タミフルに「虚血性大腸炎」、ラピアクタに「アナフィラキシー」の副作用判明―厚労省
ロキソニン錠に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」の副作用判明―厚労省
乳がん治療薬のエリブリンメシル酸塩、スティーブンス・ジョンソン症候群の副作用判明―厚労省
皮膚T細胞リンパ腫治療薬のベキサロテン製剤、脂質異常や膵炎などの副作用に留意―厚労省
血圧降下剤のアジルサルタン、横紋筋融解症などの重大な副作用が判明―厚労省
新たに保険収載されたC型慢性肝炎治療薬の「ヴィキラックス配合錠」、肝不全の副作用―厚労省
画期的な抗悪性腫瘍剤のニボルマブ、重症筋無力症や大腸炎の副作用―厚労省、PMDA
大腸がん治療薬のパニツムマブ、中毒性表皮壊死融解症の重大な副作用―厚労省

キイトルーダ、遺伝子変異などの要件満たせば標準治療困難な「すべての固形がん」に使用可―厚労省

Pocket