「9月分」データから、2015年以降、病院が新規患者獲得に苦労し病床利用率が低下傾向―病院報告、2018年9月分



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 「9月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では、2012年から15年にかけて「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」を両立できる理想的な動きをしていたが、2015年以降は「在院日数の短縮」に新規患者獲得が追いつかず、「病床利用率の低下」が進んでしまっている―。

 こうした状況が、厚生労働省が1月17日に公表した2018年9月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

2018年8月から9月にかけて、入院患者・外来患者ともに大きく減少

 厚労省は毎月、全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として公表しています(2018年8月分の状況はこちら、2018年7月分の状況はこちら、2018年6月分の状況はこちら)。

 昨年(2018年)9月における(1)「1日平均患者数」は、病院全体で入院123万2830人(前月比2万588人・1.6%増)、外来124万9302人(同10万7945人・8.0%減)となりました。入院・外来ともに前月から減少しています。

医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:66万6525人(同1万7121人・2.5%減)▼療養病床:27万8917人(同2600人・0.9%減)▼精神病床:28万5707人(同817人・0.3%減)▼結核病床:1614人(同19人・1.2%減)―など、すべて前月から減少しています。
病院報告(2018年9月)1 190117
  
 次に(2)「平均在院日数」を見てみると、病院全体では28.7日で、前月から1.9日延伸してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床:16.5日(前月から1.0日延伸)▼療養病床:150.5日(同8.2日延伸)▼介護療養病床:333.7日(同14.0日延伸)▼精神病床:278.6日(同18.2日延伸)▼結核病床:72.6日(同10.0日短縮)―という状況で、病院病床全体で延伸してしまっています。
病院報告(2018年9月)3 190117
  
 一方、(3)「月末病床利用率」に目を移してみると、病院全体では76.9%で、前月から2.7ポイント低下してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床:70.6%(前月比4.0ポイント低下)▼療養病床:86.3%(同1.4ポイント低下)▼介護療養病床:90.9%(同0.6ポイント低下)▼精神病床:85.9%(同0.5ポイント低下)▼結核病床33.3%(同0.6ポイント低下)―という状況です。病院病床全体で「低下」してしまっています。
病院報告(2018年9月)2 190117
 

9月分のデータから、2015年以降、多くの病院で新規患者獲得に苦戦

 ここで、一般病床における「9月分」の平均在院日数の推移を見てみましょう。2012年から17年にかけて一貫して短縮傾向にありましたが、2017年から18年にかけては延伸してしまいました。

▼2012年:17.8日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2013年:17.5日(厚労省のサイトはこちら

(1.0日短縮)

▼2014年:16.5日(厚労省のサイトはこちら

(増減なし)

▼2015年:16.5日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2016年:16.2日(厚労省のサイトはこちら

(0.2日短縮)

▼2017年:16.0日(厚労省のサイトはこちら

(0.5日延伸)

▼2018年:16.5日(厚労省のサイトはこちら

  
 一方、月末病床利用率は、次のように推移しています。2012年から15年にかけて向上しましたが、その後、低下し、2017年から18年にかけてわずかに向上しています。

▼2012年:70.9%(厚労省のサイトはこちら

(2.1ポイント向上)

▼2013年:73.0%(厚労省のサイトはこちら

(0.1ポイント向上)

▼2014年:73.1%(厚労省のサイトはこちら

(0.9ポイント向上)

▼2015年:74.0%(厚労省のサイトはこちら

(1.1ポイント低下)

▼2016年:72.9%(厚労省のサイトはこちら

(2.4ポイント低下)

▼2017年:70.5%(厚労省のサイトはこちら

(0.1ポイント向上)

▼2018年:70.6%(厚労省のサイトはこちら

 
 「9月分」の平均在院日数と病床利用率を組み合わせると、▼2012年から15年にかけて「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」を両立できていた▼2015年から17年にかけては、「平均在院日数の短縮」に新規患者獲得が追いつかず、「病床利用率は低下」してしまった▼2017年から18年にかけては、「平均在院日数の短縮」ができず、「病床利用率の向上」も十分にできなかった―ことが分かります。
  
メディ・ウォッチで繰り返しお伝えしているとおり、平均在院日数の短縮は、▼急性期病院においては「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」のリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった経営の質・診療の質の向上に直結します。

しかし、単に「在院日数」を短縮させるだけでは「空床」が発生し、また出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため経営を悪化させてしまいます。そこで、▼かかりつけ医等と連携した重症紹介患者の確保▼救急搬送患者の積極的な受け入れ―といった新規入院患者の獲得策を同時に採る必要があるのです。

 「9月分」の状況をみると、2015年以降、とくに新規入院患者の獲得に多くの病院が苦労している状況が伺えます。地方によっては、すでに人口減少によって「患者数そのもの」が減少し始め、また都市部でも人口減少(=患者数減少)が始まります。各病院におかれては、やはり「ダウンサイジング」(病床の削減)や共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども視野に入れた検討を早急に進める必要があります(関連記事はこちら)。

 
 

 

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