キイトルーダ、遺伝子変異などの要件満たせば標準治療困難な「すべての固形がん」に使用可―厚労省



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 画期的な抗がん剤(免疫チェックポイント阻害剤)である「キイトルーダ点滴静注20mg・同100mg」(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))について、適応を拡大し、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」にも使用を認める―。

 厚生労働省は12月21日に通知「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)製剤の使用に当たっての留意事項について」を発出し、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

「手術の補助療法」「他の抗がん剤との併用」は有効性が未確認である点に留意

 医療用医薬品については、薬事・食品衛生審議会で「効能・効果」が認められた傷病の治療にのみ使用することが原則です。安全性・有効性を担保するためです。この範囲を越える傷病治療に用いる場合、原則として「保険診療」が認められないことになります(例外もある)。

 今般、薬事・食品衛生審議会において、画期的な抗がん剤(免疫チェックポイント阻害剤)である「キイトルーダ点滴静注20mg・同100mg」(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))について、次のように効能・効果を拡大(追加)することが認められました。

【従前】
▼根治切除不能な悪性黒色腫
▼PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
▼再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫
▼がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん

【新たな効能・効果】
▼悪性黒色腫(根治切除不能でない場合も使用可能)
▼切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(PD-L1陽性(遺伝子の変異)でなくても使用可能)
▼再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫(変更なし)
▼がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん(変更なし)
▼がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)

 新たな効能・効果の4つ目は、「一定の要件(マイクロサテライト不安定性という遺伝子変異や、標準治療困難)を満たせば、すべての固形がんにキイトルーダを用いた治療が行える」こととなり、がん患者にとって「大きな朗報」と言えるでしょう。

 この効能・効果の拡大(追加)に伴って、用法用量の見直しも行われました。従前の用法用量で投与がなされないよう、再確認が必要です。

 
また、併せて厚労省は、「最適使用推進ガイドライン」も見直しています。患者要件などは効能・効果の拡大(追加)によって変更されていますが、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」では使用不可、▼間質性肺疾患の合併・既往がある患者▼胸部画像検査で間質影を認める患者、および活動性の放射線肺臓炎や感染性肺炎等の肺に炎症性変化がみられる患者▼自己免疫疾患の合併、または慢性的、もしくは再発性の自己免疫疾患の既往歴のある患者▼臓器移植歴(造血幹細胞移植を含む)のある患者▼ECOG Performance Status 3-4の患者―では慎重投与が求められます(関連記事はこちら)。

広範囲のがん治療に用いることが認められますが、▼手術の補助療法▼他の抗悪性腫瘍剤との併用—については「有効性が確認されていない」点に留意が必要です。

なお、本剤の使用は、がん診療連携拠点病院などにおいて、初期臨床研修後に▼「5年以上のがん治療の臨床研修」を持つ(うち2年以上は、がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修)▼「4年以上の臨床経験」のある(うち3年以上は、対象となるがん腫領域でのがん薬物療法を含むがん治療の臨床研修)―医師が治療責任者となることなどが求められる点は従前と変わっていません(関連記事はこちら)。

●がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)における、キイトルーダの最適使用推進ガイドラインは→こちら

 
 

 

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