被保険者証に個人単位番号を付記し、2021年からオンラインでの医療保険資格確認を実施―医療保険部会



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 企業(X健康保険組合に加入)に勤めるAさんが、退職して、自営業を開始したにもかかわらず「X健保組合の被保険者証を返還しない」ことがありえます。自営業になったAさんは本来、国民健康保険に加入することになりますが、加入せずに、「手元に残したX健保組合の被保険者証で医療機関を受診する」という不適切なケースが生じることがあるのです。こうした事例を防止するために、医療機関受診時に、提示された被保険者証が有効か否かを確認する「オンライン資格確認」が2021年から順次開始されます。

 12月6日に開催された社会保障審議会・医療保険部会において、厚生労働省から、このオンライン資格確認の準備状況などが報告されました(関連記事はこちら)。

12月6日に開催された、「第116回 社会保障審議会 医療保険部会」
12月6日に開催された、「第116回 社会保障審議会 医療保険部会」
 

医療機関側は、当面は「個人単位番号」なしでのレセプト請求も可能に

オンライン資格確認は冒頭に述べたような事例を防ぐほか、医療保険者(健保組合や協会けんぽなど)による「高額療養費の限度額適用認定証の発行」などに関する事務を大幅に効率化することができると期待されます。

患者は、医療機関を受診する際に「マイナンバーカード」または「個人単位の被保険者番号が記載された被保険者証」を提示。医療機関の窓口で、社会保険診療報酬支払基金(支払基金)・国民健康保険団体連合会(国保連)のシステムに「この被保険者証が有効かどうか(企業等を退職し、資格喪失していないか)」を照会することになります。
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マイナンバーカードによるオンライン資格確認は2021年3月頃から、被保険者証によるオンライン資格確認は2021年5月頃から実施される予定です。

ところで、現在、被保険者証に記載される被保険者番号は基本的に「世帯単位」で付番されています。ここに「2桁の個人単位の番号」を付記することで、「個人単位の被保険者資格管理」が可能となり、「医療・介護・保健に関するデータの突合・分析」を可能とする環境の整備も行えるのです。

例えば、冒頭のAさんに「1」という被保険者番号が付番されていたとしましょう。しかし、Aさんの被扶養者(子どもや無職の配偶者など)の被保険者番号も「1」となっています。ここで、Aさんの疾病履歴を確認しようと思っても、「1」という被保険者番号には複数人が該当するため、それだけで追いかけることは困難です。このため「カナの氏名」「生年月日」「性別」などを併せてAさんの疾病履歴を追いかけていかなければならないのです。

これが、「2桁の個人単位の番号」が付番されると、例えばAさんは「101」、Aさんの配偶者は「102」、Aさんの子どもは「103」として識別することが可能になります。

厚労省は従前「発行済の被保険者証についても、一度回収し、『2桁の個人単位の番号』を付記して、再発行する」考えを示していました。しかし、医療保険者の負担を考慮して▼「新規」発行の被保険者証について、順次「2桁の個人単位の番号」を追加していく▼「発行済」の被保険者証は、2桁番号がなくても使用可能とする―ことに方針を転換しました。
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ここで医療機関サイドでは、「後者の『2桁の個人単位の番号』がない被保険者証で、どのようにオンライン資格確認をするのか」が気になるところでしょう。この点について厚労省は、支払基金・国保連のシステムにおいて、▼記号・番号(現状と同じ被保険者番号)▼生年月日—により資格情報を特定して表示できるようにする考えを示しました。Aさんについては、「1」(19●●年●月●日生まれ)、Aさんの子どもについては「1」(200◆年◆月◆日生まれ)などとして、区別を可能とするものです。
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さらに、医療機関サイドは、レセプト請求を行う際に「2桁の個人単位の番号」を付して行うことになります。厚労省は「2021年10月請求分」(9月診療分)から、「2桁の個人単位の番号」を付したレセプト請求を求める考えです。ただし、レセプトコンピューターの改修等が間に合わないことも考えられ、また「発行済の被保険者証」には「2桁の個人単位の番号」が付記されていません。このため、厚労省は「当分の間、『2桁の個人単位の番号』を付記しないレセプト請求も認める」考えも示しています(経過措置)。

厚労省は「個人単位の被保険者番号」(既存の被保険者番号+2桁の個人単位の番号)を用いて、保健・医療・介護に関するデータ(レセプトや特定健診データなど)の連結を進める考えですが、こうした経過措置を置かざるを得ない状況に鑑みれば、例えば「連結したデータを活用した研究」などが本格的に行われるまでには、まだ時間がかかりそうです(もちろん、準備を進めなければ、さらに本格運用が遅れていく)。

 
なお、厚労省は、オンライン資格確認を導入した成果を「国民にも還元する必要がある」と考え、まず2020年度後半から、自分自身の▼特定健診データ▼医療費情報▼薬剤情報—を閲覧可能とするサービスも開始します(総務省のマイナポータルを活用)。こうしたデータを活用して、自身の健康管理や生活習慣の見直しに結びつけることで、「健康の確保・疾病予防」→「QOLの向上」や「医療費適正化」につながると期待されます。
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「資格喪失者の医療費、支払いルール整備が必要」と保険者が強く要望

こうした仕組みの構築・体制の整備に向けて、医療保険部会の委員からは「着実な実施」を求める声が相次ぎましたが、保険者を代表する委員からは「資格喪失者の医療費支払い」に関するルール設定を検討すべきとの注文も出されました。

例えば、冒頭に例示したAさんについて、「X健保組合」からは脱退しているため、本来であればX健保組合がAさんの医療費を支払う必要はありません。しかし、現在は、こうした場合には「加入していた医療保険者(例ではX健保組合)が建て替え払いをする」という運用が行われています。この点、安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)や原勝則委員(国民健康保険中央会理事長)は、「不合理である。保険者など、現場の意見を踏まえた法的整備を行うべき」と強く要望しています。オンライン資格確認の稼働とは別の問題であり、早期の検討が予想されます(実務上は別として、最終的には本人(ここではAさん)が全額自己負担しなければならないという点では同じ)。

NDB・介護DB連結、高齢者の保健事業・介護予防一体化を推進

 12月6日の医療保険部会には、「NDB・介護DBの連結解析を含めた利活用推進」(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら
と「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」(関連記事はこちらこちらこちら)の2点についても報告が行われました。

 このうち後者の保健事業・介護予防の一体化については、実施主体となる市町村サイドから▼市町村と後期高齢者広域連合の役割を明確にすべき▼市町村への人材・財源双方面からの支援を十分に行うべき―といった要望が相次ぎました。とくに、今後、一体的な保健事業・介護予防を行うために、市町村には保健師や管理栄養士などの医療専門職種を配置することになりますが、「人件費を賄う財源の確保が難しい」「財源が手当てされても、地域によっては医療専門職種が少ない」といった課題もあります。国や都道府県などによる重層的な支援が必要でしょう。

 いずれも、高齢者医療確保法や介護保険法等の改正が行われる見込みで、今後、厚労省内で改正法案等の作成に向けた検討が進められることになります。

 
 

 

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