画期的な肺がん治療薬「デュルバルマブ」、PD-L1発現率を確認し投与の必要性を判断せよ―中医協総会



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 画期的な非小細胞肺がんの治療薬「デュルバルマブ(遺伝仕組換え)」(販売名:イミフィンジ点滴静注120mg、同500mg)は、PD-L1発現率により有効性が異なる。発現率が1%未満の患者では、本剤投与の必要性を慎重に判断する必要がある―。

 11月14日に開かれた中央社会保険医療協議会・総会で、同剤の最適使用推進ガイドラインについて、こうした見直しを行うことが了承されました。

また、新薬・新規医療機器・新規臨床検査の保険収載等のほか、入院医療に関する調査内容の詳細についての了承もなされました。

11月14日に開催された、「第401回 中央社会保険医療協議会 総会」
11月14日に開催された、「第401回 中央社会保険医療協議会 総会」
 

デュルバルマブの最適使用推進ガイドラインを一部修正

オプジーボに代表される、極めて画期的であるが、その分、極めて高額である医薬品が相次いで登場しています。画期的な医薬品の開発は、我々国民にとって喜ばしいことですが、医療保険財政の面からは「財政を圧迫してしまう」という課題もあります。

そこで、厚生労働省は、超高額な薬剤は「適切な施設で(設備や技術など)、有効性の高い患者に限定して使用する」ことを求める『最適使用推進ガイドライン』を定め、これに即した使用を医療現場に促しています。有効性の低い患者への薬剤投与は、保険財政上はもちろん、安全性の面で大きな問題があるためです。

「デュルバルマブ(遺伝子組換え)」(販売名:イミフィンジ点滴静注120mg、同500mg)は、今年(2018年)8月29日に保険収載された新薬です。オプジーボなどと同じ「免疫チェックポイント阻害剤」で、非小細胞肺がんの治療で威力を発揮するとともに、高額な薬価(120mg・11万2938円、500mg・45万8750円)が設定され、最適使用推進ガイドラインが設定されました(関連記事はこちら)。

今般、最新の研究結果において「患者のPD-L1抗体発現率によって有効性が異なる」ことが明確となったことを踏まえ、中医協は次のように最適使用推進ガイドラインを見直すことを了承しました。同日(11月14日)から適用されています。

▼PD-L1発現率を確認した上で、本剤の投与可否を判断することが望ましく、発現率1%未満の患者には、本剤投与の必要性を慎重に判断すること

▼PD-L1発現率が確認できない場合には、本剤使用の適否を適切に判断して投与すること

▼PD-L1発現率は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」またはPD-L1 IHC 28-8 pharmDx「ダコ」により確認してもよい(研究ではVentana PD-L1(SP263)で発現率を測定したが、現時点で国内未承認のため)

 なお、保険診療において本剤を用いる場合の留意事項として、「最適使用推進ガイドラインを遵守する」「必要な施設要件等を満たすことを報告する」ことなどが定められていますが(厚労省保険局医療課長等による留意事項通知)、こちらに見直しはありません。

冠動脈疾患治療の必要性などの診断を支援するプログラム、医療機器として保険収載

11月14日の中医協総会では、新規医療機器(区分C1(新機能)1品目、区分C2(新機能・新技術)5品目)、新臨床検査(2件)、新薬(12成分・20品目)について保険収載が承認されました。

 新たな臨床検査は次の2件で、今年(2018年)12月に保険収載される予定です。

▼がん組織から抽出したゲノムDNA中の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を検出し、抗がん剤「ペムブロリズマブ(キイトルーダ)」の適用になるか否かの判定を補助する「マイクロサテライト不安定性検査」

▼骨髄液・末梢血に含まれる単核球から抽出したDNA内のFLT3遺伝子の縦列重複(ITD)変異またはチロシンキナーゼ領域(TKD)変異を判定し、急性骨髄性白血病治療薬「ギルテリチニブ・フマル酸塩(ゾスパタ錠)」の適用になるか否かの判断を補助する「FLT3遺伝子検査」

 
 新規医療機器(今年(2018年)12月保険収載予定)のうち、「ハートフローFFR」は、冠動脈疾患が疑われる患者について、心臓CTデータをもとにした数値流体力学解析を行い、冠動脈造影検査や治療の必要性を判断する「診断支援プログラム」です。これまで、当該患者にはPET検査・SPECT検査を行って治療の必要性等を判断していましたが、より的確な判断が可能となり、PET検査等からの置き換えが生じると見込まれています。

 診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「今後、こうした診断支援プログラムの保険収載希望が増えてくると思われる。今後、中医協として考え方を整理する必要がある」と指摘しています。純粋な医療機器とは異なるとも考えられ、今後、「機能区分をどう考えるのか」などを検討していくことになるでしょう。

 
 また新薬12成分・20品目(今年(2018年)11月20日保険収載予定)のうち、次の医薬品は、高額ゆえに「DPCの包括対象から除外」(当該医薬品使った場合、治療全体が出来高となる)されます。

▼ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能・再発乳がんの治療薬「アベマシクリ
ブ」(販売名:ベージニオ錠50mg・同100mg・同150mg):乳房の悪性腫瘍(090010xx99x2xx、090010xx99x30x、090010xx99x31x)

▼再発・難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の治療薬「ブリナツモマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ビーリンサイト点滴静注用35μg):急性白血病(130010xx99x2xx、130010xx97x2xx)

 また新薬ではありませんが、先般、再発または難治性のユーイング肉腫にも適用拡大された「テモゾロミド」(販売名:テモダールカプセル20mg、同カプセル100mg、同点滴静注用100mg)についても、頭頸部悪性腫瘍において出来高となるDPCコードが発生していますので、ご留意ください(関連記事はこちら)。

 
 一方、次の医薬品については、DPCのツリー図に設けられている「医薬品に着目した分岐」に反映されます。

▼再発・難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病の治療薬「ギルテリチニブ・フマル酸塩」(販売名:ゾスパタ錠40mg):【130010 急性白血病】の「クロファラビン」による分岐に反映させる

▼ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性・不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がんの治療薬「ロルラチニブ」(販売名:ローブレナ錠25mg・同100mg):【040040 肺の悪性腫瘍】の「クリゾチニブ」による分岐に反映させる

▼遺伝性血管性浮腫の急性発作治療に用いる「イカチバント酢酸塩」(販売名:フィラジル皮下注30mgシリンジ):【130150 原発性免疫不全症候群】の「乾燥濃縮人C1-インアクチベーター」による分岐に反映させる(なお、本剤は緊急投与が必要な注射剤であり、【在宅自己注射指導管理料】の対象にも加えられた)

 
 ところで、2018年度の薬価制度抜本改革では、「市場拡大」や「用法用量変更」などに迅速に対応するために、年4回の新薬収載の機会を活用した再算定(四半期再算定)ルールが創設されました(関連記事はこちら)。

厚労省が、6月分のNDB(National Data Base)データをもとに医薬品の市場等を確認した結果、画期的なC型肝炎ウイルス治療薬の「マヴィレット配合錠」(成分名:グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル)について、市場拡大再算定の特例の要件(年間販売額1000億円超、かつ基準年間販売額の1.5倍超)に該当していることが分かりました。

同剤については、医療機関の在庫にも配慮して、来年(2019年)2月1日から薬価が1万8135.20円に引き下げられます(現在は2万4180.20円)。

この点、市場拡大再算定については、製薬メーカーから「市場での評価は、すなわち医薬品の価値が高いことが認められることを意味する。画期的な製品ゆえに価格引き下げが行われたのでは、開発意欲をそいでしまう」との批判が古くからあります。中医協では「医療保険財政の健全化」を理由に市場拡大再算定の特例などが設けられていますが、今後も、再算定のあり方については議論が続けられることでしょう。

 
なお、2020年度の次期診療報酬改定に向けた「入院医療に関する調査」の詳細も了承されました。来春(2019年)には、調査結果が診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」に報告されます(関連記事はこちらこちらこちら)。

 
 

 

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