メトトレキサート、保険診療上、難治性の乾癬治療にも使用可能に―厚労省



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造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス血症等の治療薬「ホスカルネットナトリウム水和物」(販売名:点滴静注用ホスカビル注)を、新たに「造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎」治療に、また関節リウマチ等の治療薬「メトトレキサート」(販売名:リウマトレックスカプセル)を、新たに「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」治療に用いることを、保険診療上可能とする―。

 厚生労働省は11月8日に通知「公知申請に係る事前評価が終了した医薬品の保険上の取扱いについて」を発出し、こうした点を明確にしました。同日から保険診療でこれら薬剤を使用することが可能です(厚労省のサイトはこちら)。

新たな使用について、用法・用量などに留意を

 「欧米の先進諸国で使用できる医療用医薬品が、我が国で保険診療において使用できないケースがあり、最新の医療技術へのアクセスが阻害されているのではないか」という、いわゆるドラッグラグが従前より問題視されてきました。厚労省はラグの解消に向けた取り組みを積極的に実施しており、例えば「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、我が国では未承認・適応外となっている医薬品について製薬メーカーに開発要請を行う、などの対策をとっています。

さらに未承認・適応外薬の開発促進に向けて、2010年度の薬価制度改革で新薬創出・未承認薬解消等促進加算を創設し、2018年度の薬価制度抜本改革で制度化されました。また、医療保険サイドからドラッグラグ解消に向けて強力にアプローチするために、2010年8月25日の中央社会保険医療協議会・総会で「適応外使用とされている医薬品であっても、薬事・食品衛生審議会(薬食審)の事前審査で『公知申請を行っても差し支えない』と判断された場合には、翌日から自動的に保険収載する」という特例ルールが創設されました。

 保険診療では、医薬品は「効能・効果が認められた傷病の治療」以外に用いることはできません(仮に使用すれば自由診療となり、当該治療全体が全額患者負担となる)。「新たな傷病の治療に効果がある」と考えられる場合には、治験などを実施してエビデンスを揃え、薬食審で効能・効果追加の承認を得ることが原則です。安全性・有効性が確保されていない治療を、貴重な公的財源(保険料、税)で賄うことは好ましくないからです。

しかし、エビデンスの確保、審査などには相当の時間がかかるため、この原則をあまりに厳格に遵守すれば「今現在、疾病と闘っている患者」が最新の医療技術(医薬品)にアクセスするチャンスを大きく阻害してしまいます(重篤な疾患であるほど、酷な状況となる)。そこで中医協は、「医療保険の原則」と「最新の医療技術へのアクセス」とのバランスに配慮し、上記の特例ルールを創設したのです。過去の例に照らし、海外の論文など(公知)で一定の有効性・安全性が確保され、それをもとに薬食審の事前審査で「公知申請を認めて良い」と判断された場合には、必ず後に効能・効果追加が認められている、という実態に鑑みた結果といえます。本特例ルールにより「公知申請を認めてよいとの事前審査から、実際に効能・効果追加が行われるまでの期間」分(概ね6か月程度とされる)、保険収載を前倒しすることが可能となります。

 
 今般、この特例ルールにより次の2医薬品を、適応外の傷病治療に用いることが保険診療上、認められました。

(1)エイズ患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎、造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス血症・サイトメガロウイルス感染症の治療薬である「ホスカルネットナトリウム水和物」(販売名:点滴静注用ホスカビル注24mg/mL)を、新たに「造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎」治療に用いることを認める。

 その際には、通常「1回体重1kgあたり60mgを、1時間以上かけて8時間ごとに1日3回点滴静注する」こと、「本剤による腎障害を軽減するため、治療中には水分補給を十分に行い、利尿を確保する」ことが求められる。

 
(2)関節リウマチ・関節症状を伴う若年性特発性関節炎の治療薬である「メトトレキサート」(販売名:リウマトレックスカプセル2mg)を、新たに「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」治療に用いることを認める。

 具体的には、「ステロイド外用剤等で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ」あるいは「難治性の皮疹、関節症状または膿疱を有する」▼尋常性乾癬▼関節症性乾癬▼膿疱性乾癬▼乾癬性紅皮症—の患者が対象で、通常「1週間単位の投与量を6mgとし、1回または2-3回に分割して経口投与する。分割投与の場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回・2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬し、これを1週間ごとに繰り返す。患者の年齢、症状、忍容性・本剤への反応等に応じて適宜増減するが、1週間単位の投与量として16mgを超えないようにする」ことが求められます。

 また、4-8週間投与しても十分な効果が得られない場合には、1回2-4mgずつ増量するが、増量前に患者の状態を十分に確認し、増量の可否を慎重に判断することが必要となる。増量した場合、▼骨髄抑制▼感染症▼肝機能障害—等の副作用発現の可能性が増加することから、定期的に臨床検査値を確認するなど、患者の状態を十分に観察することが必要である。なお、「▼消化器症状▼肝機能障害等—の副作用の予防に葉酸投与が有効」との報告がある。

 
 

 

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