40-64歳でも、末期がんや脳血管疾患等で要介護状態になった場合「介護保険」の利用が可能―厚労省



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 40-64歳の方は、介護保険制度の第2号被保険者として制度を支える(保険料を負担する)とともに、末期がんや脳血管疾患などの特定疾病で要介護状態になった場合には、介護保険給付が受給できる―。

 厚生労働省は10月26日に、事務連絡「介護保険の第2号被保険者に対する介護保険制度周知について」を示し、こうした点を周知するよう都道府県の担当者に依頼しました(厚労省の制度周知向けリーフレットはこちら)。

40歳以上が介護保険の支え手、末期がん等で要介護状態になればサービス利用可

 介護保険制度は、要介護状態になった方に必要な介護サービスを提供し、自立を支援することを目的に2000年からスタートしました。

 医療保険と同様に、皆でお金(保険料、税)を出し合い、保険事故が生じた場合(要介護状態になった場合)に、公的な介護サービスを現物給付で受けられる(サービスそのものが提供される仕組み、利用サービスの費用を給付される「現金給付」とは異なる)というものです。

 お金を出し合う人、つまり介護保険の被保険者(加入者)は、▼65歳以上の第1号被保険者▼40-64歳の第2号被保険者―に分けられます。介護保険の仕組み(法案)を検討する際には「被保険者を何歳以上とすべきか」が大きな議論となりました。

まず、「介護が必要となる確率の高い65歳以上の高齢者に限定する」ことが考えられました。サービス受給と費用負担の関係が理解しやすいというメリットがありますが、「介護が必要となる人が多い=費用が多くかかる」ことに加え、多くの高齢者は収入の水準が低いことから、公的保険制度としての維持が難しい(保険料などが極めて高額になるが、それを65歳以上の高齢者だけで負担しきれない)という大きなデメリットがありました。

一方、医療保険などと同じく、「20歳以上」「働いている人すべて」に広げることも考えられました。被保険者の範囲を広くすれば、「1人当たりの負担」は少なくて済むため、制度の安定性が確保できるというメリットがあります。しかし、例えば働き始めた20代前半の若者に「高齢者の介護費用を支えてほしい」との理解を求めることは、当時は難しいと考えられたのです。

そこで、両者の中間として「40歳以上を被保険者とする」案が採用されました。保険制度の支え手を広めるとともに、「40歳以上になれば、親が要介護状態になることも少なくなく、制度への理解を得られる」と判断されたのです。

介護保険の財源構成は、▼保険料(第1号+第2号):50%▼公費(税金):50%―となっており、第1号被保険者と第2号被保険者の負担割合は、人口比に基づいて設定されています。現在の第7期介護保険事業計画(2018-2020年度)では、第1号が23%(第6期は22%)、第2号が27%(同28%)となっており、非常に重要な制度の支え手であることが分かります。

 しかし、第2号被保険者の介護保険料は、医療保険料と一体的に徴収されるため、自分が介護保険の被保険者であることを知らない方も決して少なくありません。

自分が介護保険の被保険者と知らない方は、「要介護状態になった際に介護サービスを受けられる」ことも知らない可能性が高いでしょう。介護保険は、前述のように「自立」を支援する仕組みであり、ケアマネジャー(介護支援専門員)が、個々人の状態を評価し、適切なサービスを選択したケアプランを立て、これに沿ったサービスを受けられます。ただし、介護サービスを受けられるのは「16の特定疾病によって要介護状態になった」ケースに限定されることには留意が必要です。

例えば、「末期がん」「脳血管疾患(脳梗塞など)」「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」などが特定疾病であり、これらによって要介護状態になった場合には、ケアマネジャーや市区町村に相談することが重要です。

40-64歳の介護保険第2号被保険者は、末期がんや脳血管疾患などで要介護状態になった場合に、公的介護保険サービスが利用できる
40-64歳の介護保険第2号被保険者は、末期がんや脳血管疾患などで要介護状態になった場合に、公的介護保険サービスが利用できる
 

介護保険の存在そのものを知らない方は、ケアマネに相談すらできない

さらに、介護保険制度そのものの存在を知らない方も決して少なくはありません。前述のとおり、40歳になれば、両親等が要介護状態になるケースも多くなってきます。その際、介護保険制度を活用できることを知らなければ、「仕事を辞めて介護に専念する」といった選択をせざるを得ないでしょう。もちろん、「介護保険を活用すれば、絶対に仕事を続けられる」というものでもありませんが、家族介護の負担が大きく軽減されることは確実です。

 
2000年の介護保険スタートから20年近くが経ち、高齢化が進む中では、介護保険の重要性がますます増していきます。制度の詳細は、担当のケアマネジャーさんなどに任せることもできますが、まず「介護保険制度という仕組みが存在すること」「40-64歳の方も、介護保険の被保険者(加入者)であること」を知らなければ、ケアマネジャーさん等に相談することもできません。例えば急性期病院において、特定疾病に罹患した若年(40-64歳)の患者がいた場合、「介護保険は知っていますか」などと一声かけるなど、さまざまな機会を通じて、この2点を広く国民に周知することが期待されます。
介護保険リーフレット抜粋2 181026
   
 

 

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