がんの「3年生存率」を初公表、病期・部位により3年・5年・10年の生存率推移に特徴―国がん



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 お伝えしているとおり、国立がん研究センター(国がん)は9日12日に「がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2011年3年生存率、2008から09年5年生存率」を公表。初めて「3年生存率」「施設別の病期別5年生存率」を明らかにしました(国がんのサイトはこちら(概要)こちら(集計表)こちら(報告書))(2008・09年5年生存率の記事はこちら)。

より迅速に「がん治療等を選択できる」体制を整備するため、3年生存率を公表

がん治療の成果を表す代表的な指標の1つとして「5年生存率」があります。多くのがんでは、「5年後の生存状況」が治癒の1つの目安とされているためです。

しかし、例えば今年(2018年)がんと診断された患者の5年生存率は、当たり前のことですが、5年後の「2023年」データを集計し、分析する必要があり、結果が明らかになるまでには一定の時間がかかります(2018年9月に示された5年生存率は、2008年・09年診断例)。がん医療の進歩はめまぐるしく、よりスピーディな情報提供が求められており、第3期がん対策推進基本計画(2017年10月、2018年3月に閣議決定)でも「国民が必要な時に、自分に合った正しい情報を入手し、適切に治療や生活等に関する選択ができるよう、科学的根拠に基づく情報を迅速に提供するための体制を整備する」とされています。こうした背景から、国がんが今般、「3年生存率」を示したものです。

今般の集計は、全国のがん診療連携拠点病院(2016年7月末で427施設)のうち、2011年診断例の生存状況把握割合が90%以上の268施設を対象に、30万6381症例を対象に行われました。

がん全体の3年生存率を見ると、相対生存率は71.3%(比較することに意味があるかどうか疑問もあるが、今般の5年生存率に比べて5.5ポイント高い)、実測生存率は66.3%(同7.8ポイント高い)となりました。
 
 部位別(全臨床病期)に見てみると、5大がんでは、次のような状況です。3年経過時点で、すでに部位別に大きなバラつきがあることが分かります。

▼胃がん:相対・74.3%、実測・68.1%
▼大腸がん:相対・78.1%、実測・72.2%
▼肝臓がん:相対・53.6%、実測・49.3%
▼肺がん:相対・49.4%、実測・45.7%
▼乳がん:相対・95.2%、実測・92.6%

 また、その他の部位を見ると、次のようになっています。膵臓がんでは、3年経過時点で相対生存率が15.1%にまで落ちてしまっています。
▼食道がん:相対・52.0%、実測・48.4%
▼膵臓がん:相対・15.1%、実測・14.1%
▼子宮頸部がん:相対・78.8%、実測・77.19%
▼子宮体部がん:相対・85.5%、実測・83.7%
▼前立腺がん:相対・99.0%、実測・89.7%
▼膀胱がん:相対・73.5%、実測・65.0%

 
 さらに5大がんについて、病期(UICC TNM総合ステージ)別に3年生存率(相対)を見てみると、次のように「進行するにつれ、生存率が低下する」状況が再確認されました。早期診断・早期治療の重要性を改めて認識できます

【胃がん】
▼ステージI:96.1%▼ステージII:74.7%▼ステージIII:55.3%▼ステージIV:14.1%
【大腸がん】
▼ステージI:96.7%▼ステージII:92.9%▼ステージIII:83.6%▼ステージIV:30.3%
【肝臓がん】
▼ステージI:76.4%▼ステージII:62.8%▼ステージIII:22.7%▼ステージIV:5.9%
【肺がん】
▼ステージI:88.0%▼ステージII:59.4%▼ステージIII:33.6%▼ステージIV:11.8%
【乳がん】
▼ステージI:100.0%▼ステージII:98.0%▼ステージIII:88.3%▼ステージIV:54.4%
2011年がん3年生存率 180912の図表
 

3年から10年経過まで生存率が変わらないがんもあれば、漸減するがんもある

 ここで、病期ごとに、5大がんの生存率を「3年」「5年」「10年」と眺めてみましょう。対象年が異なるため「比較することに意味があるのか」との疑問もありますが、何らかの傾向がつかめるかもしれません。

◆ステージI

【胃がん】
▼2011年の3年生存率:96.1%▼2008・09年の5年生存率:94.9%▼2001-04年の10年生存率:97.4%
【大腸がん】
▼2011年の3年生存率:96.7%▼2008・09年の5年生存率:95.5%▼2001-04年の10年生存率:97.6%
【肝臓がん】
▼2011年の3年生存率:76.4%▼2008・09年の5年生存率:59.8%▼2001-04年の10年生存率:59.6%
【肺がん】
▼2011年の3年生存率:88.0%▼2008・09年の5年生存率:81.3%▼2001-04年の10年生存率:81.8%
【乳がん】
▼2011年の3年生存率:100.0%▼2008・09年の5年生存率:100.0%▼2001-04年の10年生存率:100.0%

◆ステージII

【胃がん】
▼2011年の3年生存率:74.7%▼2008・09年の5年生存率:68.2%▼2001-04年の10年生存率:65.0%
【大腸がん】
▼2011年の3年生存率:92.9%▼2008・09年の5年生存率:88.4%▼2001-04年の10年生存率:90.0%
【肝臓がん】
▼2011年の3年生存率:62.8%▼2008・09年の5年生存率:41.7%▼2001-04年の10年生存率:35.6%
【肺がん】
▼2011年の3年生存率:59.4%▼2008・09年の5年生存率:47.9%▼2001-04年の10年生存率:48.4%
【乳がん】
▼2011年の3年生存率:98.0%▼2008・09年の5年生存率:95.7%▼2001-04年の10年生存率:96.0%

◆ステージIII

【胃がん】
▼2011年の3年生存率:55.3%▼2008・09年の5年生存率:43.4%▼2001-04年の10年生存率:47.1%
【大腸がん】
▼2011年の3年生存率:83.6%▼2008・09年の5年生存率:76.7%▼2001-04年の10年生存率:84.2%
【肝臓がん】
▼2011年の3年生存率:22.7%▼2008・09年の5年生存率:16.1%▼2001-04年の10年生存率:14.0%
【肺がん】
▼2011年の3年生存率:33.6%▼2008・09年の5年生存率:21.7%▼2001-04年の10年生存率:21.2%
【乳がん】
▼2011年の3年生存率:100.0%▼2008・09年の5年生存率:80.6%▼2001-04年の10年生存率:80.8%

◆ステージIV

【胃がん】
▼2011年の3年生存率:14.1%▼2008・09年の5年生存率:9.6%▼2001-04年の10年生存率:7.2%
【大腸がん】
▼2011年の3年生存率:30.3%▼2008・09年の5年生存率:18.5%▼2001-04年の10年生存率:20.2%
【肝臓がん】
▼2011年の3年生存率:5.9%▼2008・09年の5年生存率:3.9%▼2001-04年の10年生存率:1.9%
【肺がん】
▼2011年の3年生存率:11.8%▼2008・09年の5年生存率:4.8%▼2001-04年の10年生存率:4.5%
【乳がん】
▼2011年の3年生存率:54.4%▼2008・09年の5年生存率:37.8%▼2001-04年の10年生存率:37.1%

 例えば、「ステージIの胃がん、大腸がん、乳がんでは、3年、5年、10年の生存率は同じ程度の水準」ですが、「ステージIVの胃がんや肝臓がんでは、3年→5年→10年と生存率は漸減する」、一方で「ステージII・IIIの肺がんでは、3年から5年かけては生存率が落ちるが、5年と10年では同水準」などといった特徴が見出せそうです。そうした特徴に基づいて、患者に対して、例えば「Aさんのがんは、3年から10年の間で生存率が大きくことなりません。3年が経過したので、一応の安心が得られるのではないでしょうか」、「Bさんのがんは、3年・5年・10年と生存率が下がっていきます。5年が経過しましたが、まだ安心とは言えません。定期検査を欠かさないようにしましょう」といった説明が可能になるかもしれません。今後の分析・研究に期待が集まります。

 
 なお、全国100超のがん診療連携拠点病院等で構成される「CQI(Cancer Quality Initiative)研究会」(代表世話人:望月泉:八幡平市病院事業管理者・岩手県立病院名誉院長)では、実名でデータを持ち寄り、がん医療の水準向上に向けた研究を行っています。グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンが分析等を担当し、「DPCデータをもとにした各病院の治療内容・実績比較」「各病院のクリニカルパス比較」を可能とした会員サイトを設けています(CQI研究会のサイトはこちら)。

 
 

 

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