全国の医療機関、2019年度から「かかりつけ医機能」や「医療被曝の管理」状況なども都道府県に報告を―医療情報提供内容検討会(2)



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 がんゲノム医療中核拠点病院や小児がん拠点病院など、新たな医療提供体制の分類を踏まえ、また「かかりつけ医機能」の推進などを踏まえ、より国民が医療機関を選択しやすくなるよう、来年度(2019年度)から「医療機能情報提供制度」の報告項目を見直す―。

 9月12日に開催された「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった方針が概ね了承されました。今年度(2018年度)内に省令・告示等の改正を進め、医療機関が新たな項目に沿った報告を行うのは、来年度(2019年度)からとなる見込みです。

9月12日に開催された、「第11回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」
9月12日に開催された、「第11回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」
 

国民の医療機関選択により資するよう、「医療機能情報提供制度」の報告項目を改正

 「医療機能情報提供制度」は、国民が医療機関を適切に選択できることを目指し、医療機関(▼病院▼診療所▼歯科診療所▼助産所―)に対し、自院の持つ機能を毎年度都道府県に報告することを義務付けるものです。
医療情報提供内容検討会(2)の1 180912
 
 9月12日の検討会で、厚生労働省は次のような項目の追加・修正・削除を行ってはどうかと提案し、了承されました。追加・修正は、▼がんゲノム医療中核拠点病院などの新設▼かかりつけ医機能に関する診療報酬上の対応(地域包括診療料などの創設)▼医療被曝線量の管理—を踏まえたものです。一方、削除は、報告者である医療機関の負担軽減を狙うものです。具体的には、次のように見直されます(見直し内容の詳細に関する厚労省のサイトはこちら(医療機能に関する項目)こちら(医療機能に関する項目の詳細)こちら(対応可能な疾患・治療内容))。

【追加・修正する主な項目】

▽診療所が、「かかりつけ医」の持つ4機能((1)日常的な医学管理と重症化予防(2)地域の医療機関等との連携(3)在宅療養支援、介護等との連携(4)適切かつ分かりやすい情報の提供―)を実施しているか、またその実施内容をホームページ等で情報提供しているか
医療情報提供内容検討会(2)の3 180912
 
▽診療所等が、「かかりつけ医」機能を評価する診療報酬である【地域包括診療加算】【地域包括診療料】【小児かかりつけ診療料】【機能強化加算】を算定しているか
医療情報提供内容検討会(2)の2 180912
 
 外来医療について「専門外来が大病院で、一般外来は診療所や中小病院で」という機能分化を進め、いわゆる「緩やかなゲートキーパー制」を構築することが求められています。そうした中で、最近の診療報酬改定では「かかりつけ医」機能を評価する【地域包括診療料】などが創設されましたが、患者・国民サイドからは「どの医療機関が、かかりつけ医機能を持っているのか、外からは分からない」のが実際です。そこで、「かかりつけ医」機能と、それを評価する診療報酬に着目した項目追加が行われます。「かかりつけ医」の持つ4機能は、2013年8月に日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成)が取りまとめた機能を踏襲したもので、2018年度診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会の議論でも妥当性が確認されているものです。

日医・四病協の提言をベースにした、かかりつけ医機能の具体的なイメージ(その1)
日医・四病協の提言をベースにした、かかりつけ医機能の具体的なイメージ(その1)
 
 
▽病院が、「がん診療連携拠点病院等」「がんゲノム医療中核拠点病院等」「小児がん拠点病院」「都道府県アレルギー疾患医療拠点病院」として指定されているか
医療情報提供内容検討会(2)の4 180912
 
▽病院が、「移動型デジタル式循環器用X線透視診断装置」「移動型アナログ式循環器用X線透視診断装置」「据置型デジタル式循環器用X線透視診断装置」「据置型アナログ式循環器用X線透視診断装置」「X線CT組合せ型循環器X線診断装置」「全身用X線CT診断装置」「X線CT組合せ型ポジトロンCT装置」「X線CT組合せ型SPECT装置」を何台保有しており、うち照射線量表示機能を持つものは何台か
医療情報提供内容検討会(2)の5 180912
 
▽病院が、「医療に関する相談窓口」を置き、そこに何人の相談員を配置しているか

▽病院、診療所ともに、医療法や関連ガイドラインに沿った「オンライン診療」を実施しているか

【削除する主な項目】

▽「臨床中核拠点病院の指定を受けた診療所」「特定機能病院の指定を受けた歯科診療所」など、ありえない項目

▽予防訪問・通所介護の実施など(介護保険法の改正に伴う総合事業への移行)

 
 報告された医療機能情報は都道府県が公表しますが、公表に当たって「暗号化対応」などのセキュリティ確保を行うことも新たに求められます。
医療情報提供内容検討会(2)の6 180912
 
 今後、社会保障審議会・医療部会での了承、パブリックコメントなどを経て、今年度(2018年度)中に関係省令・告示の整備を行い、医療機関が新項目で報告を行うのは、来年度(2019年度)からとなる見込みです。

 
 なお、検討会の構成員からは「情報を利用する患者、国民の視点に立ち、公表方法の工夫を検討すべき」との指摘が多数でています。山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「診療報酬の名称や、がんゲノム医療などの用語を見ても一般国民は理解できない。例えば、診療報酬とかかりつけ医機能との関係などを、分かりやすく解説する必要があるのではないか」と提案。

 また、木川和弘構成員(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁護士)は、「公表された情報の認知度は11%と低いようだ。その一因として、都道府県がバラバラな仕様で公表している点もあるのではないか。どこに、どういった情報・データがあるかを明確にし、全国単位で活用できるようにすべき」と提案しています。この点、厚労省は「都道府県がどのように公表しているのかを調べ、一元的な公表方法を今後検討していきたい」との考えを示しました。
 
 

 

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