2016年度の前回診療報酬改定後、旧7対1の算定回数は全国で37.8%減少―厚労省



Pocket

 2016年度の前回診療報酬改定前の1年間(2015年4月から2016年3月)と、改定後の1年間(2016年4月から2017年3月)とで、旧7対1一般病棟入院料基本料の算定回数(出来高のみ)は全国で37.8%減少し、青森県、茨城県、長野県では算定回数が50%未満となった―。

 厚生労働省がこのほど公開した第3回NDBオープンデータから、こういった状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら(第3回)こちら(第2回)こちら(第1回))。

青森、茨城、長野では算定回数が半減したが、徳島や佐賀では減少幅は小さい

 NDB(National Data Base)は、▼医療レセプト▼特定健康診査—のデータを格納した公的データベースです。もともとは都道府県の医療費適正化計画作成のために構築されましたが、現在では、国の医療政策論議(診療報酬改定を含め)はもちろん、研究者の諸研究にも活用されています。この点、データ格納時・データ提供時に「個人が特定できないような匿名化」が施されますが、機微性の高いデータゆえ、データ提供先は限定されています。

 もっとも、非常に重要かつ有用なデータであることから、一昨年(2016年)より、厚労省はデータの一部を定式化し、公開(NDBオープンデータ)。さらに、「こういったデータが入手できないか。こういった切り口での集計はできないか」といった研究機関や企業からの要望を踏まえて、最新のNDBオープンデータに、いわば「更新」しています。今般、第3回のNDBオープンデータが公開されました。

第3回NDBオープンデータは、▼2016年4⽉-2017年3月診療分のレセプトデータ▼2015年度実施の特定健診データ―をもとに、各種診療報酬項目の算定状況や、特定保険医療材料、健診結果などを明らかにしています。

データ量は極めて膨大であるため、本稿では2016年度の前回診療報酬改定で大きな見直しが行われた旧【7対1一般病棟入院基本料】の算定状況を見てみましょう。2016年度改定では、旧【7対1入院基本料】について「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の見直しが行われ、手術状況をみるC項目を新設するとともに、看護必要度を満たす患者割合の基準値(いわゆる看護必要度割合)の引き上げ(15%→25%)などが行われました。
2016改定関係 看護必要度1
2016改定関係 看護必要度2
2016改定関係 看護必要度3

 
この旧【7対1】の算定回数について、都道府県別に「2015年4-2016年3月」(2015年度、第2回NDBオープンデータより)と「2016年4-2017年3月」(2016年度、第3回NDBオープンデータより)を比較すると、次のようになりました。

▼全国計 2015年度:20,640,239回 → 2016年度:12,834,049回(37.8%減)
▼北海道 2015年度:1,255,126回 → 2016年度:832,842回(33.6%減)
▼青森県 2015年度:267,110回 → 2016年度:132,295回(50.5%減)
▼岩手県 2015年度:50,360回 → 2016年度:27,700回(45.0%減)
▼宮城県 2015年度:491,802回 → 2016年度:291,977回(40.6%減)
▼秋田県 2015年度:214,373回 → 2016年度:111,335回(48.1%減)
▼山形県 2015年度:109,198回 → 2016年度:56,693回(48.1%減)
▼福島県 2015年度:333,802回 → 2016年度:213,202回(36.1%減)
▼茨城県 2015年度:641,033回 → 2016年度:314,298回(51.0%減)
▼栃木県 2015年度:361,810回 → 2016年度:237,860回(34.3%減)
▼群馬県 2015年度:602,894回 → 2016年度:445,280回(26.1%減)
▼埼玉県 2015年度:875,286回 → 2016年度:569,769回(34.9%減)
▼千葉県 2015年度:848,670回 → 2016年度:605,444回(28.7%減)
▼東京都 2015年度:2,005,401回 → 2016年度:1,169,385回(41.7%減)
▼神奈川県 2015年度:1,091,253回 → 2016年度:672,995回(38.3%減)
▼新潟県 2015年度:337,066回 → 2016年度:236,417回(29.9%減)
▼富山県 2015年度:109,112回 → 2016年度:58,996回(45.9%減)
▼石川県 2015年度:275,479回 → 2016年度:167,726回(39.1%減)
▼福井県 2015年度:91,539回 → 2016年度:60,756回(33.6%減)
▼山梨県 2015年度:211,164回 → 2016年度:120,245回(43.1%減)
▼長野県 2015年度:372,365回 → 2016年度:182,197回(51.1%減)
▼岐阜県 2015年度:299,763回 → 2016年度:193,469回(35.5%減)
▼静岡県 2015年度:479,849回 → 2016年度:297,380回(38.0%減)
▼愛知県 2015年度:1,069,214回 → 2016年度:606,407回(43.3%減)
▼三重県 2015年度:329,060回 → 2016年度:179,616回(45.4%減)
▼滋賀県 2015年度:182,771回 → 2016年度:118,992回(34.9%減)
▼京都府 2015年度:563,147回 → 2016年度:324,002回(42.5%減)
▼大阪府 2015年度:1,427,126回 → 2016年度:943,097回(33.9%減)
▼兵庫県 2015年度:711,637回 → 2016年度:444,141回(37.6%減)
▼奈良県 2015年度:190,786回 → 2016年度:127,965回(32.9%減)
▼和歌山県 2015年度:96,905回 → 2016年度:64,856回(33.1%減)
▼鳥取県 2015年度:92,575回 → 2016年度:53,260回(42.5%減)
▼島根県 2015年度:154,921回 → 2016年度:84,074回(45.7%減)
▼岡山県 2015年度:252,185回 → 2016年度:136,607回(45.8%減)
▼広島県 2015年度:466,885回 → 2016年度:305,406回(31.7%減)
▼山口県 2015年度:326,658回 → 2016年度:166,378回(49.1%減)
▼徳島県 2015年度:192,276回 → 2016年度:174,321回(9.6%減)
▼香川県 2015年度:159,226回 → 2016年度:100,784回(36.7%減)
▼愛媛県 2015年度:300,577回 → 2016年度:139,748回(53.5%減)
▼高知県 2015年度:118,220回 → 2016年度:60,110回(49.2%減)
▼福岡県 2015年度:838,737回 → 2016年度:545,508回(35.0%減)
▼佐賀県 2015年度:216,473回 → 2016年度:179,089回(17.3%減)
▼長崎県 2015年度:265,486回 → 2016年度:173,049回(34.8%減)
▼熊本県 2015年度:212,995回 → 2016年度:130,654回(38.7%減)
▼大分県 2015年度:358,660回 → 2016年度:258,268回(28.0%減)
▼宮崎県 2015年度:291,522回 → 2016年度:218,296回(25.1%減)
▼鹿児島県 2015年度:299,842回 → 2016年度:173,020回(42.3%減)
▼沖縄県 2015年度:197,900回 → 2016年度:128,140回(35.3%減)

 2015年度から16年度にかけて、旧【7対1】の算定回数が大幅に減少していることが再確認できました。とくに青森県、茨城県、長野県では算定回数が半数未満に減少。その一方で、徳島県や佐賀県では減少幅が他道府県に比べて小さく抑えられています。診療報酬改定以外の要因もありますが、C項目の新設により、対象手術症例以外を他病棟で受け入れたりするなどしたことが伺えます。さらに詳細な分析に期待したいところです。

今般の2018年度改定では、7対1・10対1一般病棟を再編・統合し、7種類の【急性期一般入院料】が創設されました。旧7対1は急性期一般入院料1に相当しますが、算定状況がどう動くのか、注目度は二重丸と言えます。

【更新履歴】
本稿のデータは出来高の旧7対1についてのものです(本文は修正済)。
 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

NDBオープンデータから何が見えてくるのか―GHC湯原が分析例を提示

Pocket