インフルエンザ治療薬、異常行動に十分注意した処方を!タミフルは未成年者に解禁―厚労省



Pocket

 インフルエンザウイルス感染症治療薬については、因果関係は明らかでないが、種類に関わらず「小児・未成年者では異常行動が生じる可能性がある」点に留意し、患者家族に「転落等の防止」措置を講じることなどを十分に説明した上で処方することが求められる。これまで未成年者には原則として処方を控えることとしていたタミフル(オセルタミビルリン酸塩)についても、こうした留意点を踏まえて未成年者に処方することを認める(警告を削除)—。

厚生労働省は8月21日に、こうした内容を盛り込んだ通知「抗インフルエンザウイルス薬の『使用上の注意』の改訂について」を発出。医療現場においては、リスクを十分に踏まえた処方を行うとともに、患児の家族に適切に情報提供を行うことが求められます(厚労省のサイトはこちら)。

 今般、使用上の注意が改訂されたのは次の6成分です。

(1)アマンタジン塩酸塩」(販売名:アテネジン錠、シンメトレル錠、ほか後発品多数)[A型インフルエンザ感染症治療のほか、パーキンソン症候群の治療、脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善にも用いる]
(2)オセルタミビルリン酸塩(販売名:タミフルカプセル、タミフルドライシロップほか、後発品のオセルタミビル)[A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療、およびその予防に用いる]
(3)ザナミビル水和物(販売名:リレンザ)ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(販売名:イナビル吸入粉末剤)[A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療、およびその予防に用いる]
(4)バロキサビル マルボキシル(販売名:ゾフルーザ)[A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療に用いる]
(5)ファビピラビル(販売名:アビガン錠)[他の抗インフルエンザウイルス薬が無効・効果不十分な新型または再興型インフルエンザウイルス感染症の治療に用いる]
(6)ペラミビル水和物(販売名:ラピアクタ点滴静注液)[A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療に用いる]

 
 これらインフルエンザウイルス感染症治療薬については、とくに小児・未成年男性で「因果関係は不明であるものの、異常行動が報告されている」ことを踏まえ、【使用上の注意】の[重要な基本的注意]の項(アマンタジン塩酸塩では「『A型インフルエンザウイルス感染症』に本剤を用いる場合」の記載について、次のような内容に改められます。

抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無・種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている

▼異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、(1)異常行動発現のおそれがある(2)自宅で療養する行う場合、少なくとも発熱から2日間、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じる―ことについて患者・家族に説明する

▼転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、「就学以降の小児・未成年者の男性」で報告が多く、「発熱から2日間以内の発現」が多い

 
 また新たな[重大な副作用]として、「異常行動」を追記し、「因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時には、転落等に至るおそれのある異常行動(急に走り出す、徘徊する等)が現れることがある」旨を注意喚起しています。

 
このうち(2)のオセルタミビルリン酸塩(タミフル等)では、これまで「警告」として「10歳以上の未成年患者で、因果関係は不明であるが、異常行動を発現し、転落等の事故に至った例があるため、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除き『原則として本剤の使用を差し控える』」旨が記載されていますが、今般、削除されており、当該患者においても、上記の注意事項等に十分留意した上でタミフルを処方することが可能となります。

 
なお、医療現場におかれては、患者の家族等に対し、事故防止のため、発熱から少なくとも2日間は、就寝中を含めて患者が容易に住居外へ飛び出さないよう、次のような対策をとるよう適切に説明することが求められます。

▼玄関や全ての部屋の窓を確実に施錠する(内鍵、チェーンロック、補助鍵がある場合は、その活用を含む)
▼ベランダに面していない部屋で寝かせる
▼窓に格子のある部屋がある場合は、その部屋で寝かせる
▼一戸建ての場合は、できる限り1階で寝かせる

 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

肺炎治療等に用いるロセフィンに痙攣等の、乾癬治療薬のオテズラに重度下痢の副作用―厚労省
アトピー治療剤のプロトピックや免疫抑制剤のプログラフ、妊婦には催奇形性リスク考慮した使用を―厚労省
ピロリ菌感染の治療等に用いるボノピオン等、肝機能障害が現れることがある―厚労省
キイトルーダ、「硬化性胆管炎」が現れることがあるため、十分な観察を―厚労省
統合失調症治療薬やアドレナリン、【禁忌】事項などを見直し―厚労省
ウプトラビ錠とプラビックス錠等は併用禁忌、サムスカ錠に急性肝不全の副作用―厚労省
造影剤のイオヘキソールとイオメプロールに「急性汎発性発疹性膿疱症」の副作用—厚労省
MRI造影剤の「脳への残存」を危惧、検査の必要性を慎重に判断せよ—厚労省
輸血には感染症伝播のリスク、患者観察などを徹底せよ―厚労省
サワシリンに血小板減少、病院で広く使われる消毒薬にアナフィラキシーの副作用—厚労省
RSウイルスによる新生児下気道疾患治療薬「シナジス筋注液」に血小板減少症の副作用―厚労省
アデムパス投与で有害事象・死亡が多く、ワーファリンに難治性皮膚疾患の副作用―厚労省
画期的抗がん剤のオプジーボ、硬化性胆管炎の副反応―厚労省
肺炎球菌ワクチンのニューモバックス、注射部位壊死・潰瘍の重大な副反応―厚労省
悪性黒色腫・非小細胞肺がん治療に用いるキイトルーダ、心筋炎の副作用―厚労省
精神神経用剤のデパス、抗不安剤のソラナックス、メイラックスなど、薬物依存に注意―厚労省
神経症における不安・緊張などを和らげるアタラックス、急性汎発性発疹性膿疱症の副作用―厚労省
多発性骨髄腫治療に用いるレブラミド、B型肝炎ウイルスの再活性化を促す副作用―厚労省
うつ病治療に用いるデュロキセチン塩酸塩など、自動車運転などの際には十分な注意を―厚労省
胃潰瘍治療などに用いるポラプレジンク、銅欠乏症による汎血球減少や貧血の副作用―厚労省
ワルファリンとミコナゾールは併用禁忌、オプジーボに心筋炎などの副作用―厚労省
多発性硬化症治療薬のタイサブリに急性網膜壊死などの副作用―厚労省
ボルタレンに消化管狭窄・閉塞、ハーボニー錠に高血圧・脳血管障害の副作用―厚労省
てんかんの部分発作治療に用いるオクスカルバゼピン、重篤な皮膚障害に留意を―厚労省
抗てんかん剤レベチラセタなど7医薬品、新たに「重大な副作用」-厚労省
ハーボニー錠などC型肝炎治療薬、B型肝炎ウイルスを活性化させる恐れあり慎重投与を―厚労省
タミフルに「虚血性大腸炎」、ラピアクタに「アナフィラキシー」の副作用判明―厚労省
ロキソニン錠に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」の副作用判明―厚労省
乳がん治療薬のエリブリンメシル酸塩、スティーブンス・ジョンソン症候群の副作用判明―厚労省
皮膚T細胞リンパ腫治療薬のベキサロテン製剤、脂質異常や膵炎などの副作用に留意―厚労省
血圧降下剤のアジルサルタン、横紋筋融解症などの重大な副作用が判明―厚労省
新たに保険収載されたC型慢性肝炎治療薬の「ヴィキラックス配合錠」、肝不全の副作用―厚労省
画期的な抗悪性腫瘍剤のニボルマブ、重症筋無力症や大腸炎の副作用―厚労省、PMDA
大腸がん治療薬のパニツムマブ、中毒性表皮壊死融解症の重大な副作用―厚労省

Pocket