有床診の減少止まらず、すでに7000施設を割っている可能性も、療養病床も減少傾向―医療施設動態調査(2018年5月)



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 今年(2018年)4月末から5月末にかけて、有床診療所は21施設・276床減少し7074施設・9万6580床となった。すでに現時点で7000施設を割っている可能性もある。また、療養病床の減少も続いており、介護医療院への転換状況などと併せた分析が必要である―。

 こうした状況が、厚生労働省が8月20日に公表した医療施設動態調査(2018年5月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

病院全体でもベッド数減少が目立ちますが、ここには地域医療構想の実現に向けた「病院の再編・統合」が影響している可能性もあり、「減少の要因」に関する調査・分析も待たれます。なお、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンでは「病院の再編・統合」にあたって重要となるポイントを考えるセミナーを9月8日に都内で開催します。若干お席に余裕がございますので、是非、ご参加ください。

2018年4月末から5月末にかけて、病院の病床は999床も減少。とくに療養病床の減少が目立つ
2018年4月末から5月末にかけて、病院の病床は999床も減少。とくに療養病床の減少が目立つ
 

有床診の減少続く、すでに7000施設を割っている可能性あり

 厚生労働省は、毎月末における全国の病院・診療所数を「医療施設動態調査」として集計・公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。

 今年(2018年)5月末の状況を見ると、全国の医療施設は計17万9209施設で、前月末から124施設増加しています。主に無床の医科診療所の増加によるところが大きくなっています。病院の施設数は、前月末から6施設減少し、8378施設。病院の種類別に見ると、▼一般病院:7323施設(前月から7施設減)▼精神科病院:1055施設(同1施設増)—などとなりました。一般病院のうち「療養病床を有する病院」は3765施設で、前月末から9施設減少、「地域医療支援病院」は566施設で前月末から1施設増加しています。

 一方、医科診療所は10万2057施設で、前月から98施設の増加となりました。ただし、このうち有床診療所は、前月から21施設減少し、7074施設となりました。
 
 有床診療所は、2年前(2016年5月末)には7716施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2017年5月末)には7397施設(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2016年5月末から17年5月末までの1年間で319施設、さらに今年(2018年)5月末までの1年間で323施設減少しています。有床診療所の施設数は、2017年5月末以降、次のように推移しています。

▼2017年5月末:7397施設

 ↓(17施設減)

▼2017年6月末:7380施設

 ↓(17施設減)

▼2017年7月末:7363施設

 ↓(21施設減)

▼2017年8月末:7342施設

 ↓(25施設減)

▼2017年9月末:7317施設

 ↓(56施設減)

▼2017年10月末:7261施設

 ↓(25施設減)

▼2017年11月末:7236施設

 ↓(18施設減)

▼2017年12月末:7218施設

 ↓(24施設減)

▼2018年1月末:7194施設

 ↓(28施設減)

▼2018年2月末:7166施設

 ↓(21施設減)

▼2018年3月末:7145施設

↓(50施設減)

▼2018年4月末:7095施設

 ↓(21施設減)

▼2018年5月末:7074施設

 この1年間、1か月当たり27施設弱のペースで減少が続いています。このペースが続くと仮定すると、今年(2018年)8月末には7000施設を切ることになります。現時点で7000施設を割っている可能性もあります。

有床診のベッド数、2020年2月には9万床を切る可能性あり

 次に医療施設の病床数(ベッド数)を見てみましょう。

 医療施設全体のベッド数は、今年(2018年)5月末には164万8657床で、前月末から1275床の大幅減となりました。うち病院の病床数は155万2016床で、前月末から999床の減少となっています。病床種類別に見ると、▼一般病床:89万1434床(前月末から165床減)▼療養病床:32万3368床(同728床減)▼精神病床:33万469床(同112床減)—などという状況です。療養病床減少の背景には、新設された「介護医療院」(医療・介護・住まいの3機能を併せ持つ新たな介護保険施設)への転換なども関係していると予想されます。

 また、有床診療所の病床数は前月末から276床減少し、9万6580床となりました。2年前(2016年5月末)には10万4652床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2017年5月末)には10万466床(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2016年5月末から2017年5月末までの1年間で4186床、今年(2018年)5月末までの1年間で3886床減少しています。2017年5月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2017年5月末:10万466床

 ↓(226床減)

▼2017年6月末:10万240床

 ↓(221床減)

▼2017年7月末:10万19床

 ↓(282床減)

▼2017年8月末:9万9737床

 ↓(206床減)

▼2017年9月末:9万9531床

 ↓(688床減)

▼2017年10月末:9万8843床

 ↓(306床減)

▼2017年11月末:9万8537床

 ↓(149床減)

▼2017年12月末:9万8388床

 ↓(277床減)

▼2018年1月末:9万8111床

 ↓(380床減)

▼2018年2月末:9万7731床

 ↓(217床減)

▼2018年3月末:9万7514床

 ↓(658床減)

▼2018年4月末:9万6856床

 ↓(276床減)

▼2018年5月末:9万6580床

 この1年間、1か月当たり324床弱のペースで減少が続いています。仮にこのペースが継続したと考えると、今年(2018年)10月には9万5000床を切り、2020年2月には9万床を割る計算です。

  
 有床診療所には、大きく(1)専門特化型(2)地域包括ケア型―の2類型に分けられる、後者については「過疎地などで入院医療の重要な支え手であるものの、経営が厳しい」という課題があります。そこで2018年度の診療報酬・介護報酬改定では、(2)地域包括ケア型の有床診の経営を下支えするための見直しが行われています。

内科や外科を標榜する「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、主に入院料などで収益を上げることから、空床が経営状態に及ぼす影響が特に大きいと考えられた
内科や外科を標榜する「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、主に入院料などで収益を上げることから、空床が経営状態に及ぼす影響が特に大きいと考えられた
  
▽介護サービスを提供する有床診療所では、高い報酬である入院基本料1-3の要件を緩和するとともに、要介護者の受け入れを【介護連携加算】(新設、1日につき38点または192点)として評価する(診療報酬での対応、関連記事はこちら
2018年度診療報酬改定(有床診療所)
 
▽利用者専用病床を1床確保すれば、看護小規模多機能型居宅介護の「宿泊室」の設備基準を満たしているとみなす(介護報酬での対応、関連記事はこちら
2018年度介護報酬改定(有床診療所)
 
 今般のデータからも、こうした見直しの効果はまだ現れていないようです。今秋以降、徐々に効果が現れてくるのか、今後も医療施設動態で有床診の動向を注視していく必要があります。

 なお、有床診の維持が難しいもう一つの理由として「後継者」問題があります。これは診療報酬での対応は困難であり、有床診経営に関するより詳細な分析と、それに基づく対応が求められることになりそうです。

病院の病床数は減少スピードを増している
病院の病床数は減少スピードを増している
療養病床のベッド数減少が加速しているように見える
療養病床のベッド数減少が加速しているように見える

 
 

 

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