「4月分」データでも、在院日数短縮に新規患者獲得が追いつかない状況が伺える―病院報告、2018年4月分



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 「10月分」から「1月分」では、2015年以降「在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とが両立できていたが、「2月分」から「4月分」のデータを見ると、両立できていない―。

 こうした状況が、厚生労働省が8月6日に公表した2018年4月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

2018年3月から4月にかけて、入院・外来患者ともに減少

 厚労省は毎月、病院の(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として公表しています(2018年3月分の状況はこちら、2018年2月分の状況はこちら、2018年1月分の状況はこちら)。

 今年(2018年)4月における(1)「1日平均患者数」は、病院全体で入院124万5701人(前月比2万4210人・1.9%減)、外来129万6688人(同6万4811人・4.8%減)となりました。入院・外来ともに前月から減少しています。

医療法上の病床種別に入院患者数を見ると、▼一般病床:67万5110人(同2万1392人・3.1%減)▼療養病床:28万5207人(同2394人・0.8%減)▼精神病床:28万3724人(同444人・0.2%減)▼結核病床:1607人(同27人・1.7%増)―などという状況です。
病院報告(2018年4月)1 180806
  
 (2)「平均在院日数」に目を移すと、病院全体では28.4日で、前月と比べて0.3日延伸してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床:16.4日(前月から0.0日短縮)▼療養病床:141.8日(同4.9日延伸)▼介護療養病床:297.6日(同8.7日延伸)▼精神病床:269.5日(同11.5日延伸)▼結核病床:67.3日(同4.8日延伸)―という状況で、全体として前月から延伸しています。
病院報告(2018年4月)3 180806
 
 さらに(3)「月末病床利用率」を見てみると、病院全体では77.0%で、前月から0.6ポイントの低下となりました。病床種別に見ると、▼一般病床:70.5%(前月比0.9ポイント低下)▼療養病床:87.4%(同0.4ポイント低下)▼介護療養病床:91.3%(同1.3ポイント上昇)▼精神病床:85.6%(同0.4ポイント上昇)▼結核病床32.9%(同1.9ポイント上昇)―という状況です。
病院報告(2018年4月)2 180806
 

2・3・4月分からは「平均在院日数短縮と病床利用率向上との両立」が難しい状況が見える

 次に、一般病床における「4月分」の平均在院日数の推移を見てみると、次のように2016年で短縮傾向にストップがかかりましたが、その後、再び緩やかに減少モードに入っているようです。

▼2012年:17.9日(厚労省のサイトはこちら

(0.8日短縮)

▼2013年:17.1日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2014年:16.8日(厚労省のサイトはこちら

(0.4日短縮)

▼2015年:16.4日(厚労省のサイトはこちら

(0.2日短縮)

▼2016年:16.2日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日延伸)

▼2017年:16.5日(厚労省のサイトはこちら

(0.1日短縮)

▼2018年:16.4日(厚労省のサイトはこちら

  
 一方、月末病床利用率は、次のように上昇と低下を繰り返しています。

▼2012年:71.0%(厚労省のサイトはこちら

(1.7ポイント上昇)

▼2013年:72.7%(厚労省のサイトはこちら

(0.3ポイント低下)

▼2014年:72.4%(厚労省のサイトはこちら

(0.8ポイント上昇)

▼2015年:73.2%(厚労省のサイトはこちら

(4.6ポイント低下)

▼2016年:68.6%(厚労省のサイトはこちら

(2.7ポイント上昇)

▼2017年:71.3%(厚労省のサイトはこちら

(0.8ポイント低下)

▼2018年:70.5%(厚労省のサイトはこちら

 
メディ・ウォッチでは繰り返しお伝えしていますが、平均在院日数を短縮することで▼急性期病院における重症患者割合の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」のリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—が実現でき、経営の質・診療の質の双方の向上につながります(関連記事はこちら)。

もっとも単に「在院日数」を短縮させるだけでは「空床」の発生、つまり経営を悪化させてしまうため、▼かかりつけ医等と連携した重症紹介患者の確保▼救急搬送患者の積極的な受け入れ―といった新規入院患者の獲得策を同時に行うことが必要です。

 これまで「10月分」から「1月分」を見ると、2015年以降「在院日数の短縮」と「病床利用率の向上(つまり新規入院患者の獲得)」とを両立させた理想的な取り組みが進んでいることが伺えました。しかし、「2月分」から「4月分」を見ると、両立はできていません。「3月分」「4月分」データからは平均在院日数の短縮が進んでいることが分かり、「新規患者の獲得」に苦労していると考えられます。

我が国は人口減少社会に入っており、地方によっては、すでに患者数そのものが減少し始めています。さらに近い将来、都市部でも人口減少(=患者数減少)が始まることが確実で、各病院におかれては「ダウンサイジング」(病床の削減)や「近隣病院との再編・統合」なども視野に入れた検討を進めていくことが重要です(関連記事はこちらこちら)。

 
 

 

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