アザチオプリン、自己免疫性肝炎の治療にも保険診療上使用可能に―厚労省



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臓器移植後の免疫抑制などに用いる「アザチオプリン」(販売名:イムラン錠50mg、アザニン錠50mg)を、【自己免疫性肝炎】の治療にも用いることを認める。ただし、6か月継続しても効果が現れない場合には「継続の要否」を検討し、また効果が現れた場合でも「効果を維持できる最低用量にまで減量する」ことの検討が必要である―。

 厚生労働省は7月27日に通知「公知申請に係る事前評価が終了した医薬品の保険上の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。同日から保険適用されています(厚労省のサイトはこちら)。

自己免疫性肝炎にアザチオプリンを用いる場合には、ステロイドとの併用を考慮せよ

 「先進諸国では使用できる医薬品が、我が国では保険診療において使用できない。最新の医療技術へのアクセスが阻害されている」という、いわゆるドラッグラグが従前より問題視されてきました。厚労省はラグの解消に向けて、例えば「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、我が国では未承認・適応外となっている医薬品について製薬メーカーに開発要請を行う、などの対策をとっています。

さらに未承認・適応外薬の開発促進に向けて、2010年度の薬価制度改革では新薬創出・未承認薬解消等促進加算を創設(当初は試行導入であったが、2018年度の今般の薬価制度改革で制度化)。さらに、ラグ解消に向けて、医療保険サイドから強力にアプローチするために、2010年8月25日の中央社会保険医療協議会総会で「適応外使用とされている医薬品であっても、薬事・食品衛生審議会(薬食審)の事前審査で『公知申請を行っても差し支えない』と判断された場合には、翌日から自動的に保険収載する」という特例ルールが創設されました。

 保険診療では、医薬品は「効能・効果が認められた傷病の治療」以外に用いることはできません(仮に使用すれば、それは自由診療となり、当該治療全体が全額患者負担となる)。「新たな傷病の治療に効果がある」と考えられる場合には、治験などを実施してエビデンスを揃え、薬食審で効能・効果追加の承認を得なければならないのが原則です。安全性・有効性が確保されていない治療を、貴重な公的財源(保険料、税)で賄うことは好ましくないからです。

しかし、エビデンスの確保、審査などには相当の時間がかかるため、この原則を厳格に遵守しなければならないとすれば「今現在、疾病と闘っている患者」が医薬品にアクセスするチャンスを大きく阻害してしまいます(重篤な疾患であるほど、酷な状況となる)。そこで中医協で、「医療保険の原則」と「最新の医療技術へのアクセス」とのバランスに配慮し、上記の特例ルールが創設されました。海外の論文など(公知)で一定の有効性・安全性が確保され、それをもとに薬食審の事前審査で「公知申請を認めて良い」と判断された場合、後に効能・効果追加が認められている、との実態に鑑みたものです。本特例ルールにより「公知申請を認めてよいとの事前審査から、実際に効能・効果追加が行われるまでの期間」分(概ね6か月程度とされる)、保険収載を前倒しすることが可能となるのです。

  
 今般、この特例ルールにより、臓器移植における拒絶反応の抑制や治療抵抗性リウマチ性疾患の治療に用いる「アザチオプリン」(販売名:イムラン錠50mg、アザニン錠50mg)を、【自己免疫性肝炎】の治療にも用いることが認められました(2018年7月27日以降)。

ただし、その際、▼副腎皮質ステロイドとの併用を考慮する▼治療効果が認められた場合には、「効果を維持できる最低用量まで減量する」ことを検討する▼6か月投与しても治療効果が現れない場合には、投与継続の要否を検討する―ことが求められます。
 
 

 

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