大腸がんの治療法選択等に重要なBRAF遺伝子検査、8月から保険収載—厚労省



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 D004-2【悪性腫瘍組織検査】に、新たに「BRAF遺伝子検査」を対象に加える。ただし、早期大腸がんにおけるリンチ症候群の除外を目的としたBRAF検査を実施した場合には、従前より対象となっているK-ras遺伝子検査・RAS遺伝子検査は併算定を認めない―。

厚生労働省は7月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました(中医協資料はこちら(厚労省サイト))。8月1日から適用されます。

 
 がん治療において、「A抗がん剤は、特定の遺伝子変異があるがんにはよく効くが、遺伝子変異がない場合にはA抗がん剤の効果は低い」といった知見が徐々に蓄積されてきています。厚労省では、こうした知見を踏まえて、適宜、新たな遺伝子検査を保険導入しており、医学・医療の進歩の恩恵を、我々国民が広く受けられるようになってきています。

 
今般、「切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんにおける治療法の選択」や「大腸がんにおけるリンチ症候群(大腸がんにとどまらず、子宮内膜がん、胃がん、卵巣がんなどの発症も高まる遺伝性疾患で、大腸がんの2-5%程度が該当すると考えられている)の診断」において、がん組織のBRAF遺伝子に変異があるか否かを検出することが有用と明らかになりました。

例えば、「切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」では、従前よりRAS遺伝子に着目した検査が行われ、(1)半数の患者では「RAS変異陽性」(RAS遺伝子に変異あり)(2)半数の患者は「RAS変異陰性」(RAS遺伝子に変異なし)—と診断され、両者で抗がん剤の選択方法が異なっています。

さらに新たにBRAF遺伝子に着目した検査を行うと、後者の(2)「RAS変異陰性」患者が、さらに(2-1)BRAF変異陽性・RAS変異陰性(全体の約6%)(2-2)BRAF変異陰性・RAS変異陰性(全体の約44%)—に2分でき、(2-1)のBRAF変異陽性・RAS変異陰性患者では「FOLFOXIRI+ベバシズマブ」という、より効果的な治療法を選択することができます。
検査料の点数の改定1 180731
 
また、大腸がん患者の中で「リンチ症候群」が疑われる(家族歴など)場合には、従来の検査(マイクロサテライト不安定性検査)に加えて、BRAF検査を併実施。そこでBRAF変異が陽性と分かれば、「リンチ症候群」から除外され、患者の負担(除外されなければ生涯にわたり、定期的に大腸内視鏡検査や上部消化管内視鏡検査、子宮内膜検査などを受ける必要がある)が軽減されます。
検査料の点数の改定2 180731
 
こうした状況を踏まえて、中央社会保険医療協議会は7月18日に、本検査を保険導入することを承認。今般、厚労省が通知を発出したものです。

具体的には、D004-2【悪性腫瘍組織検査】において、大腸がんの検査法として、従前よりある「EGFR遺伝子検査」「K-ras遺伝子検査」「RAS遺伝子検査」に加えて、「BRAF遺伝子」を追加するものです。PCR-rSSO法を用いてBRAF遺伝子検査を実施した場合、「K-ras遺伝子検査」の所定点数(2100点)を算定することができます。

ただし、前述した「早期大腸がんにおけるリンチ症候群の除外」を目的としてBRAF遺伝子検査を実施した場合には、「K-ras遺伝子検査」または「RAS遺伝子検査」の点数を併算定することはできません。また、その際、レセプトの摘要欄に「マイクロサテライト不安定性検査」(MSI検査、リンチ症候群の除外において、BRAF遺伝子検査と併せて実施する)の実施年月日を記載することが必要となります。
 
 

 

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