16年度から、紹介状なしの大病院受診に定額負担を導入―医療保険改革案



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 今通常国会に提出される予定の医療保険改革案の概要が、20日に開かれた社会保障審議会・医療保険部会に提示されました。「患者申出療養」の創設や、大病院を紹介状なしに受診した場合の特別負担の導入、さらに入院時食事療養費の見直しなどのほか、国民健康保険の運営を都道府県化するなど、大きな見直しが行われます。

2月20日に開催された、「第86回 社会保障審議会・医療保険部会」
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大病院受診、紹介状なしの定額負担など16年度から-医療保険部会で改革案まとまる

16年4月から「患者申出療養」を創設

 医療保険改革については、厚生労働省案が1月9日の医療保険部会に提示されました。その後の2015年度予算案編成や、与党との調整などを経て、今回の改革案報告となったものです。

 改革の柱は、次の7本。

(1)国民健康保険(国保)の安定化

(2)高齢者医療における後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入

(3)全国健康保険協会(協会けんぽ)の国庫補助率の安定化と財政特例措置

(4)医療費適正化計画の見直し

(5)個人や保険者による予防・健康づくりの促進

(6)負担の公平化

(7)患者申出療養の創設

2015年医療保険改革案、(1)国保の安定化(2)負担の公平化-などが柱に
2015年医療保険改革案、(1)国保の安定化(2)負担の公平化-などが柱に

 (7)の患者申出療養は、「患者の申出に基づき厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養を保険外併用療養費の支給の対象とする」もので、16年4月1日から施行される予定です。

患者起点の新たな保険外併用療養「患者申出療養」を2016年度から実施
患者起点の新たな保険外併用療養「患者申出療養」を2016年度から実施

16年4月から大病院を紹介状なしに受診する患者に特別負担

 (6)の負担の公平化では、特定機能病院などの大規模病院を紹介状なしに受診した場合の特別負担が創設されます。これも16年4月1日から施行される予定です。法律案には、大規模病院に対して「患者の病状その他の事情に応じた適切なほかの保険医療機関を当該患者に紹介することその他の保険医療機関相互間の機能の分担および業務の連携のための措置を講じる」義務を課すことが記載されます。

 大規模病院の範囲は、措置の内容(特別の負担)などについては「療養担当規則」で規定されます。厚労省保険局の大島一博・総務課長は「16年度診療報酬改定に合わせて療養担当規則を改正することになるだろう」と見通しており、詳細は今後、中央社会保険医療協議会で議論されるもようです。

2016年度から、紹介状なしに大病院外来を受診した場合の定額負担を創設。詳細は療養担当規則で規定
2016年度から、紹介状なしに大病院外来を受診した場合の定額負担を創設。詳細は療養担当規則で規定

 また、入院時食事療養費については、住民税が課税される一般所得者の負担額を、現在の1食当たり260円から、16年度に360円、20年度に460円へと引き上げていきます。現在は「食材費」のみを患者が負担していますが、「調理費」の負担が追加されることになります。

入院時食事療養費、2016年度から1食当たり360円、2018年度から1食当たり460円に引き上げ
入院時食事療養費、2016年度から1食当たり360円、2018年度から1食当たり460円に引き上げ

後発薬使用割合など、医療費適正化に新指標を導入

(4)の医療費適正化計画については、▽地域医療構想などと整合的な目標を設定する▽適正化の指標に後発医薬品の使用割合などを追加する▽計画期間を現行の5年から、医療計画に合わせて6年とする▽計画終了前に評価し、それを次期計画に反映させる-などの見直しが行われます。見直しは16年4月から施行される予定です。

都道府県の作成する医療費適正化計画、地域医療構想と整合的な目標などを設定
都道府県の作成する医療費適正化計画、地域医療構想と整合的な目標などを設定

 また(5)は、医療費の伸びを鈍化させるために、疾病予防や健康づくりに力を入れる個人や保険者を支援するものです。

医療費の伸びの鈍化を狙い、予防や健康づくりに取り組む個人や保険者にインセンティブを付与
医療費の伸びの鈍化を狙い、予防や健康づくりに取り組む個人や保険者にインセンティブを付与

国保財政責任を都道府県に移管、保険者の努力を評価

 (1)の国保改革は、国民皆保険制度の最後の砦である国保について、財政支援を強化(17年度から3400億円増)するとともに、財政責任の主体を18年度から都道府県に移管するものです。

 ここで注目されるのが、医療費適正化に向けた取り組みなど、保険者としての努力を行う自治体に財政支援を行う「保険者努力支援制度」の創設です。具体的には、▽後発薬使用割合▽前期高齢者一人当たり医療費▽保険料収納率-などが指標として例示されていますが、この日の部会では委員から「慎重な検討が必要だ」との意見が相次ぎました。

国保財政の安定化を狙い、2017年度から3400億円の国費支援を追加
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国保の財政責任主体を都道府県に移管、実務面では市町村と都道府県で分担
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