2016年度のC項目創設受け、2017年は手術・麻酔の請求点数が大幅増―厚労省・社会医療統計



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 2017年6月審査分の医科レセプトを集計・分析すると、入院で【手術】【麻酔】の点数が大きく増加している。2016年度の前回診療報酬で「重症度、医療・看護必要度」に、手術等症例を評価する「C項目」が創設されたことが大きく影響していると考えられる―。

 このような状況が、6月21日に厚生労働省が発表した2017年の「社会医療診療行為別統計」の結果から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら(概要)こちら(統計表、e-Statサイト))(前年の状況はこちら)。

入院で【手術】【麻酔】の請求点数が増加、重症患者の受け入れ進んでいると考えられる

 社会医療診療行為別統計(社会医療統計)は、毎年6月審査分のレセプトをもとに、医療行為や傷病の状況を調べるもので、厚労省のナショナルデータベース(NDB)に蓄積されている全レセプトを集計対象にしています。従前は抽出調査でしたが、2015年から全レセプトを対象とするとともに名称変更(従前は社会医療診療行為別調査)がなされました。

 まず、医科の入院について見てみると、2017年における1件当たりの請求点数は5万1989.7点で、前年に比べ1024点・2.0%増加しました。

 診療行為別に点数のシェア見ると、当然とも思えますが【入院料等】が最も多く36.4%を占めています(1万8925.3点)。ほか、【DPC】30.1%(15657.6点)、【手術】17.2%(8949.8点)、【リハビリ】5.5%(2833.5点)、【麻酔】2.2%(1150点)などが大きくなっています。
2017社会医療診療行為別統計2 180621
 
前年からの増減を診療行為別に見ると、【手術】7.5%増、【麻酔】7.3%増、【リハビリ】4.3%増、【医学管理等】4.2%増などで増加が目立ちますが、【投薬】1.3%減、【放射線治療】0.4%減、【注射】0.3%減、【DPC】0.3%減の4行為は減少しています。1件当たり日数が0.26日短縮(15.55日→15.30日)しており、これがために【DPC】で減少していると推測されます。また、【手術】【麻酔】の増加は、2016年度診療報酬改定で「重症度、医療・看護必要度」が見直され、手術等を評価するC項目が導入されたことが大きく影響していると思われます(関連記事はこちらこちらこちら)。

一般病棟とその加算、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟では、重症患者の対象範囲が異なる
一般病棟とその加算、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟では、重症患者の対象範囲が異なる
一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に新設されたC項目の詳細
一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に新設されたC項目の詳細

 
 次に、入院の1日当たり請求点数(つまり単価)を見ると、2017年は3398.6点で、前年に比べ121.8点・3.7%の増加となりました。

 診療行為別に点数のシェアを見ると、やはり【入院料】36.4%(1237.2点)、【DPC】30.1%(1023.6点)、【手術】17.2%(585.1点)、【リハビリ】5.4%(185.2点)が大きくなっています。

 またすべての診療行為で前年からの増加が見られ、とくに【手術】9.3%増、【麻酔】9.1%増、【リハビリ】6.1%増、【医学管理等】5.9%増、【病理診断】5.6%などで増加が目立ちます。
2017社会医療診療行為別統計1 180621
 

入院外、【投薬】の請求点数が減少しており、種類数適正化施策の影響が伺える

 次に医科入院外を見てみましょう。2017年における1件当たり点数は1341.6点で、前年に比べ21.9点・1.7%増加しています。

診療行為別にシェアを見ると、【検査】18.1%、【投薬】16.3%、【初・再診】15.2%、【処置】10.0%、【注射】9.7%、【医学管理等】8.6%、【画像診断】7.7%などが大きくなっていますが、入院のような「圧倒的に大きなシェアを占める診療行為」はないことを再確認できます。
2017社会医療診療行為別統計4 180621
 
前年からの増減を見ると、【注射】9.0%増、【リハビリ】6.2%増、【手術】3.5%増、【処置】2.9%増など、ほとんどの行為で増加。減少したのは【投薬】1.5%減、【医学管理等】0.5%減の2行為のみです。2016年度改定では、「6種類以上の内服薬を投与している患者について2種類以上の減薬を行う」ことを評価する【薬剤総合評価調整管理料】等が創設されており、これが【投薬】のシェア減少に一役買っていると推測されます(関連記事はこちら)。

 
 また1日当たり点数(単価)を見ると、2017年は853.7点で、前年に比べ9.1点・1.1%の微増となりました。前年からの増減を見ると、1件当たりと同様に、【注射】8.4%増、【リハビリ】5.6%増、【手術】2.9%増、【処置】2.3%増などで増加し、【投薬】2.1%減、【医学管理等】1.0%減、【初・再診】0.1%減で減少しています。

なお、1件当たり日数は、1.57日で、前年に比べ0.01日増となりました。
2017社会医療診療行為別統計3 180621
 

特定機能病院は入院・入院外ともに大幅増点、重症患者の受け入れが進む

 次に病院の入院点数(医科)を見てみましょう。2017年における病院全体の1件当たり点数は5万3801.5点(前年に比べ1.8%増)、1日当たり点数(単価)は3441点(同3.7%増)となりました。「1件当たり」に比べ「1日当たり」の伸びが大きいことから、高機能化(より重症な患者の受け入れ)とともに在院日数等の短縮が進んでいることが伺えます(1件当たり日数は15.92日→15.64日で、0.28日の短縮)。

 病院の種類別に見てみると、やはり特定機能病院が最も高く、1件当たり7万1682.1点(前年に比べ1.1%増)・1日当たり6880.7点(同4.2%増)となりました。また、一般病院では1件当たり5万5187.5点(同1.8%増)・1日当たり4750.4点(同3.7%減)、療養病床を有する病院では、1件当たり5万1560.7点(同1.8%増)・1日当たり2455.1点(同2.9%増)、精神科病院では、1件当たり3万8223.8点(同1.0%増)・1日当たり1345.5点(同1.3%増)という状況です。

 
 また、病院の入院外点数(医科)は、全体では、1件当たり2258点(同3.5%増)、1日当たり1461.4点(同2.6%増)となりました。種類別に見ると、特定機能病院で1件当たり3450.3点(同6.4%増)・1日当たり2492点(同4.8%増)、一般病院で1件当たり2332.3点(同3.3%増)・1日当たり1563.5点(同2.5%増)、療養病床を有する病院で1件当たり1766.9点(同2.4%増)・1日当たり1046.1点(同1.7%増)などという状況です。特定機能病院などの高機能病院に軽症の外来患者が多くかかれば、本来の役割(重度者への診療)を果たせなくなってしまいます。2016年度改定では「特定機能病院や一般病床500床以上の大病院に、紹介状なしに受診した場合、初診時5000円以上・再診時2500円以上の特別負担を課す」こととなりました。こうした改定の効果を伺うことができそうです(関連記事はこちらこちらこちら)。

非DPC病院でも【手術】【麻酔】点数が増加、重症患者の受け入れ推進か

 さらに、DPC病院と非DPC病院での比較を行ってみましょう(当然、医科入院が対象)。

まず1件当たり点数を見ると、DPC病院では6万2039.7点(同1.8%増)、非DPC病院では4万4259.4点(同2.0%増)で、前年に比べて格差は縮小しました。

また1日当たり点数は、DPCで5862.2点(同3.9%増)、非DPCでは2338.9点(同3.3%増)となっています。

 診療行為の中でも【手術】に着目すると、1件当たり点数は▼DPC:1万6586.6点(全体に占めるシェアは26.7%)▼非DPC:3075.8点(同6.9%)—、1日当たり点数は▼DPC:1567.3点(同26.7%)▼非DPC:162.5点(同6.9%)—となっており、1件当たりで5.4倍、1日当たりで9.6倍の差があります。

 さらに、1件当たり日数は、DPCでは10.58日(前年から0.22日短縮)、非DPCでは18.92日(同0.24日短縮)となっており、DPC病院において急性期の度合いが高いことを再確認できます。

 なお、手術点数などの差は前年に比べて縮小しており、非DPC病院、つまり出来高病院でも「重症な患者の確保」に力を入れている状況が伺えます。
2017社会医療診療行為別統計6 180621
 

後期高齢者の1件当たり日数、一般よりも長いが、「短縮度合い」は大きい

 また0-74歳の一般医療と、75歳以上の後期高齢者医療を比較してみると、次のような違いが浮かび上がりました。
【1件当たり点数】
▽入院:一般5万11.5点(前年比1.9%増)、後期高齢者5万4000点(同1.9%増)
→後期高齢者が一般の1.08倍
▽入院外:一般1201.6点(同0.3%増)、後期高齢者1705.5点(同2.2%増)
→後期高齢者が一般の1.42倍
【1日当たり点数】
▽入院:一般3927.2点(同4.3%増)、後期高齢者3016.5点(同3.8%増)
→後期高齢者が一般の0.77倍
▽入院外:一般819.9点(同0.8%増)、後期高齢者929.1点(同1.4%増)
→後期高齢者が一般の1.13倍
【1件当たり日数】
▽入院:一般12.73日(同0.3日短縮)、後期高齢者17.90日(同0.33日短縮)
→後期高齢者が一般の1.41倍
▽入院外:一般1.48日(同0.01日延伸)、後期高齢者1.84日(同0.02日短縮)
→後期高齢者が一般の1.24倍

 高齢化の進展により、後期高齢者の医療費が増加。これに伴って医療保険財政(若人からの支援も含めて)が厳しくなっていますが、一般と後期高齢者でとくに格差の大きな「1件当たり日数」については、後期高齢者で適正化・短縮化が進んでいることなどが分かります。

 なお、入院について、診療行為別に一般と後期高齢者を比較すると、後期高齢者では一般に比べて▼【手術】【DPC】【麻酔】のシェアが小さい▼【リハビリ】【処置】【画像診断】のシェアが大きい―ことが伺えます。改めて疾病構造や医療内容が一般と後期高齢者で相当異なっている状況が確認でき、今後、高齢化が進行し、地域の患者構成が変化する中で、「注力すべき診療行為等」にも大きな変化が生じることが改めて浮き彫りになっていると言えるでしょう。
2017社会医療診療行為別統計5 180621
 
 最後に後発医薬品の使用状況を見ると、薬剤点数に占める後発品の点数割合は▼総数16.0%(前年に比べ1.5ポイント増)▼入院12.9%(同2.2ポイント増)▼院内処方(入院外・投薬)15.1%(同1.6ポイント増)▼院外処方16.2%(同1.5ポイント増)―となっており、後発品使用が進んでいる状況を確認できます。
2017社会医療診療行為別統計7 180621
 
 

 

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