2018年度の個別DPC病院における機能評価係数II内訳など公表—中医協総会



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 厚生労働省は、6月20日の中央社会保険医療協議会・総会に、2018年度におけるDPC機能評価係数IIの内訳、地域医療係数(機能評価係数IIの1項目)の体制指数内訳を公表しました。

 例えば「近隣の競合病院と自院との比較」「全国の類似機能・同規模病院との比較」などを通じて、自院の姿を再確認することができます(厚労省のサイトはこちら(機能評価係数IIの内訳)こちら(体制評価指数の内訳))。

なお、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの開発した(関連記事は「病院ダッシュボードχ」では、より詳細にDPCデータに基づいたベンチマーク分析が可能です。

6月20日に開催された、「第396回 中央社会保険医療協議会 総会」
6月20日に開催された、「第396回 中央社会保険医療協議会 総会」
 

地域医療係数の「体制評価指数」に関する内訳も、全1730のDPC病院について公表

 2018年度のDPC制度改革(診療報酬改定)では、▼暫定調整係数の機能評価係数IIへの置き換え完了▼機能評価係数IIの項目見直し▼再入院7日ルール等の見直し―など、大きな見直しが行われています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

 このうち機能評価係数IIについては、▼後発医薬品係数・重症度係数の廃止(機能評価係数Iなどへの置き換え)▼地域医療係数の「体制評価指数」の項目整理▼保険診療係数における「未コード化傷病名」減算要件等の厳格化—など、さまざまな見直しが行われました。

保険診療係数見直しの大枠
保険診療係数見直しの大枠
地域医療係数見直しの大枠
地域医療係数見直しの大枠
 
 また暫定調整係数の機能評価係数IIへの置き換え完了により、医療機関別係数に占める機能評価係数IIのシェア、つまり機能評価係数IIの病院経営に与えるインパクトが大きくなっています。

 今般、2018年度における機能評価係数IIの内訳が示されたことで、まず「2017年度と2018年度の比較」が可能になります。暫定調整係数25%分が機能評価係数IIに置き換えられており、多くの病院では「機能評価係数IIがアップしている」はずです。増加の度合いが小さい場合、あるいは減少している場合には、機能評価係数IIへの取り組みが十分でない(相対評価であるため、他病院に比べて「取り組みが芳しくない」となれば、「取り組みが不十分」と判断されてしまいます)と捉え、例えば▼平均在院日数の短縮(効率性係数の向上につながる、また診療密度の向上にも関連する)▼重症患者の受け入れ(複雑性係数の向上に関連する)▼適切なコーディングの推進(未コード化症例などを減少することで保険診療係数の向上につながる)—などの対策を、個別病院の特性を踏まえて強化する必要があります。なお、例えば効率性係数などでは「疾患構成の補正」が行われるため、十分な制度への理解を前提に対策を図ることが重要です(闇雲に「在院日数を短縮」することは係数アップには必ずしも結びつかない)。

また機能評価係数IIの1項目「地域医療係数」の体制評価指数は、医療計画の5疾病5事業などへの取り組み状況を評価するものですが、2018年度改定では、従前の「がん地域連携」と「がん拠点病院」とを統合するなどの整理が行われました。体制評価指数の内訳から、5疾病5事業などへの取り組み状況を再確認することができます。

地域医療係数(体制評価指数)の見直し案(1/2)
地域医療係数(体制評価指数)の見直し案(1/2)
地域医療係数(体制評価指数)の見直し案(2/2)
地域医療係数(体制評価指数)の見直し案(2/2)

 
機能評価係数IIは、全DPC(4月1日時点で1730施設、その後、合併等で1病院減)のデータをもとに「相対評価」で決定されます。このため、極端に言えば、例えばA病院が「前年の2倍の努力」をしていたとしても、他病院が「前年の3倍の努力」をしていれば、相対的にA病院は「努力が十分ではない」と評価されてしまいます。

今般、1730病院の「機能評価係数II」「体制評価指数」の内訳が公表されているので、「自院と近隣の競合病院」「自院と同機能の全国の病院」「自院と同規模の全国の病院」など、ターゲットを絞って比較することで、「自院の機能評価係数II対策」を評価することもできます。

2020年度改定論議を円滑に進めるため、2018年改定の内容を整理・俯瞰

6月20日の中医協総会では、今般の2018年度診療報酬改定に関する「背景・課題」「議論の経過」「結論(改定内容)」の整理が行われました。初めての試みです。

診療報酬改定の項目・内容は膨大で、また答申後に示される解釈通知は多岐にわたります。このため、「○○点数は、算定要件・施設基準がこう変わった」という点は追いかけやすいのですが、「なぜこうした見直しが行われたのか」「中医協でどういった議論が行われたのか(反対意見は出なかったのか)」などは忘れ去られがちです。そこで、「改定論議を簡単に振り返ることができる一覧」などがあれば、都度、個別点数改定の経緯などを確認しやすくなります。厚労省保険局医療課の迫井正深課長は「2018年度改定論議の中で共有した背景(社会や医療現場における課題など)、中医協の論議などを整理し、俯瞰することで、これからの2020年度の次期診療報酬改定等に向けた議論が円滑に進むのではないか」と説明しています。

中医協委員からもこれを歓迎し、島弘志委員(日本病院会副会長)は「良い試みである。中医協の伝統となるよう、毎回の改定でこうした整理を行っていくべき」とコメントしています。

2019年10月の消費増税改定に向け、医薬品・医療材料の市場実勢価格を調査

 このほか6月20日の中医協総会では、2018年度に「医薬品価格調査」「特定保険医療材料価格調査」を実施することが了承されました。

2019年10月に消費増税(8%→10%)が予定されており、中医協では「特別の診療報酬・薬価・材料価格の改定」に向けた検討が進められています。薬価・材料価格については、市場実勢価格を踏まえたうえで、消費増税分の上乗せを行うことになるため、2018年度に市場実勢価格の調査(「医薬品価格調査」「特定保険医療材料価格調査」)を実施することになったものです(関連記事はこちら)。

今般の調査からは、医薬品・材料を購入する医療機関(約510診療所、約420病院、約950保険薬局)に対し、「医薬品購入先の卸売販売業者情報(卸売販売業者名、本店・営業所名)」に関する調査も行われます(関連記事はこちら)。販売側である卸業者の調査結果と、購入側である医療機関等の調査結果を付け合わせ、調査の精度を高めることが目的ですが、調査対象の医療機関等では負担が増加してしまいます。この点、中医協総会に先立って開催された薬価専門部会・保険医療材料専門部会では、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)や松本吉郎委員(日本医師会常任理事)、遠藤秀樹委員(日本歯科医師会常務理事)は「配慮」を行うよう要望がなされ、厚労省も負担軽減に向けた一定の配慮を行う考えを示しています。

6月20日に開催された、「第145回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」
6月20日に開催された、「第145回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」
6月20日に開催された、「第92回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」
6月20日に開催された、「第92回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」
 

放医研病院、直腸がん術後骨盤内再発患者に対する重粒子線治療を先進医療として実施

なお、次の技術が先進医療Bとして導入され、「保険診療と保険外診療との併用」を可能とすることも報告されています。

▼直腸がん術後骨盤内再発に対する「重粒子線治療」:放射線医学総合研究病院(千葉県千葉市)で実施、保険給付されない先進医療に係る費用は314万円(総費用は328万2660円)

5年間で、20歳以上の患者32例(予定)に対し当該技術を施し、▼3年生存率▼局所制御期間▼無増悪生存期間▼費用対効果▼有害事象―などを指標として安全性・有効性の確認を行います。
 
 

 

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