居宅療養管理指導における「単一建物居住者」、より詳しい考え方を提示―介護報酬改定疑義解釈(4)の2



Pocket

 お伝えしているように厚生労働省は5月29日に、2018年度介護報酬改定に関するQ&AのVol.4(疑義解釈その4)を公表しました(vol.1の記事はこちら、vol.2の記事はこちら、vol.3の記事はこちら、vol.4の1の記事はこちら)。居宅療養管理指導に新たに導入された「単一建物居住者」について、詳しい考え方が示されています。

単一建物居住者、月途中で患者が死亡などした場合の取扱いは?

従前、居宅療養管理指導(医療従事者が患者の居宅等を訪問し、療養上に必要な指導等を行うことを介護報酬で評価している)については、「同一日に、同一の建物に居住する複数の利用者に指導を行った場合に報酬を減額する仕組み」(同一建物居住者)が設けられていました。しかし「高い報酬を算定するために、わざわざ訪問日を変える」という歪みが生じていたことなどを受け、2018年度改定では「同じ暦月に、同一の建物に居住する利用者が何人であったか」に応じて報酬を設定する「単一建物居住者」の仕組みに変更することとなりました(医療保険の在宅時医学総合管理料などと同じ考え方、利用者が▼1人▼2-9人▼10人以上―の3区分)(関連記事はこちら)。

居宅療養管理指導において、報酬設定の考え方を「同一建物居住者」から「単一建物居住者」に見直した(診療報酬の在宅時医学総合管理料などと同じ考え方)
居宅療養管理指導において、報酬設定の考え方を「同一建物居住者」から「単一建物居住者」に見直した(診療報酬の在宅時医学総合管理料などと同じ考え方)
 
今般の疑義解釈(その4)では、この「単一建物居住者」について、より具体的に、次のような考え方を示しています。

▽利用者の死亡・退去などで「月の途中で単一建物居住者の人数が減少する」場合は、当月に居宅療養管理指導を実施する「当初の予定人数」に応じた区分で算定する(死亡等の事由については診療録等に記載)

▽利用者が転居してきたなどで「月の途中で単一建物居住者の人数が増加する」場合は、▼もともとの居予定利用者については、「当初の予定人数」に応じた区分▼新たに転居してきた利用者については、「当該転居してきた利用者を含めた、転居時点における居宅療養管理指導の全利用者数」に応じた区分—で算定する(転居等の事由を診療録等に記載)

▽同一の建築物で「ユニット数3以下の認知症対応型共同生活介護事業所」(グループホーム)と「集合住宅」が併存する場合には、次のように「グループホーム」と「それ以外」で区別して考える
 ▼グループホームについては、各ユニットにおいて居宅療養管理指導費を算定する人数を、単一建物居住者の人数とみなす。ただし、1ユニットで1つの同一世帯の利用者のみに居宅療養管理指導を実施する場合は、利用者ごとに「単一建物居者が1人の場合」の区分で算定する
 ▼グループホーム以外については、グループホームで居宅療養管理指導を実施する人数を含め、当該建築物で居宅療養管理指導を実施する人数を単一建物居住者の人数とする。ただし、当該建築物で1つの同一世帯の利用者のみに居宅療養管理指導を実施する場合は、利用者ごとに「単一建物居者が1人の場合」の区分で算定する
 ▼「当該建築物で居宅療養管理指導を行う利用者数が、当該建築物の戸数の10%以下」または「当該建築物の戸数が20戸未満で、居宅療養管理指導を行う利用者が2人以下」の場合は、利用者ごとに「単一建物居住者1人に対して行う場合」の区分で算定する

▽「同一の集合住宅に、複数の『同居する同一世帯に居宅療養管理指導費の利用者が2人以上いる世帯」がある場合、「同一の集合住宅に、『同居する同一世帯に居宅療養管理指導費の利用者が2人以上いる世帯』と『それ以外の利用者』がいる」場合の、いずれにおいても「居宅療養管理指導を実施する予定の合計数に応じた区分」により算定する。
 ▼例えば、同一の集合住宅に、居宅療養管理指導費を利用する「同居する夫婦の世帯」が2世帯ある場合は、「単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合の区分」で算定する
 ▼例えば、同一の集合住宅に、居宅療養管理指導費を利用する「同居する夫婦の世帯」が1世帯と居宅療養管理指導費を利用する者が「1人の世帯」が8世帯ある場合は、「単一建物居住者10人以上に対して行う場合の区分」で算定する

ユニットと非ユニットが併設する特養ホーム、加算算定の考え方を修正

 このほか、施設サービスについて、次のような点が明確にされています。

▽特養ホーム等で、一部ユニット型施設等が、「ユニット型部分」と「ユニット型以外の部分」のそれぞれについて別施設等として指定されることとなった場合には、次のように考える(短期入所生活介護事業所でも同様)。
▼常勤職員による専従が要件となっている加算(個別機能訓練加算や常勤医師配置加算など)については、従来「双方の施設で当該加算を算定することは認められない」としてきたが、(1)個別機能訓練加算については、「一体的な運営が行われていると認められる併設施設において、双方の入所者に対する機能訓練が適切に実施されている場合で、常勤のPT等が双方の施設において、専ら機能訓練指導員としての職務に従事している」のであれば、双方の施設で算定要件を満たす(2)常勤医師配置加算については、「同一建物内でユニット型施設と従来型施設を併設し、一体的に運営され、双方の施設で適切な健康管理・療養上の指導が実施されている」場合には、双方の施設で算定要件を満たす―と扱う(解釈の変更)
▼入所者数に基づいた必要職員数が要件となっている加算(看護体制加算、夜勤職員配置加算)については、従来「一部ユニット型については、ユニット部分・多床室部分それぞれで要件を満たす必要がある」としていたが、同一建物内にユニット型・ユニット型以外の施設(特養、地域密着型特養、介護老健)が併設されている場合には「双方の入所者・ユニット数の合計数に基づいて職員数を算出する」ものとして差し支えないこととする。この際、ユニット型施設と従来型施設のそれぞれについて、1日平均夜勤職員数を算出し、合計が施設全体で「1以上」上回っている場合には夜勤職員配置加算の算定を認める(ただし、夜勤職員配置の偏りに配慮を)

▽【再入所時栄養連携加算】(施設入所者が入院し、経管栄養や嚥下調整食の新規導入など、入所時と大きく異なる栄養管理が必要となった場合、施設の管理栄養士が医療機関の管理栄養士と連携して、再入所後の栄養管理に関する調整を行った場合の評価)について、「嚥下調整食の新規導入」により再入所時栄養連携加算を算定した後に再入院し、「経管栄養が新規導入」となり、その状態で再々入所(二次入所)となった場合、改めて再入所時栄養連携加算を算定できる

▽【褥瘡マネジメント加算】【排泄支援加算】について、厚労省が示した「褥瘡対策に関するケア計画書」、「排せつ支援計画書」はひな形であり、これと同様の内容が判断できる項目が網羅されていれば、その様式を代用することができる

 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

ICT活用した訪問介護と外部リハビリとの連携を生活機能向上連携加算(I)として評価―介護報酬改定疑義解釈(4)の1
居宅療養管理指導に導入された「単一建物居住者」、詳細を明示―介護報酬改定疑義解釈(3)
介護医療院、I・II型の併設可能だが、各々でサービス費の種類は揃えよ―介護報酬改定疑義解釈(2)
訪問看護の【看護体制強化加算】、介護施設の【排せつ支援加算】などの詳細を解説―介護報酬改定疑義解釈(1)

通所介護におけるアウトカム評価【ADL維持等加算】の詳細を通知―厚労省

【18年度介護報酬改定答申・速報8】グループホーム入居者の「入院・再入居」を円滑に
【18年度介護報酬改定答申・速報7】医療ニーズに対応できる特定施設を手厚く評価
【18年度介護報酬改定答申・速報6】特養配置医が活躍し、看取りまで対応できる体制に
【18年度介護報酬改定答申・速報5】老健の報酬体系再編、在宅復帰機能「超強化型」を創設
【18年度介護報酬改定答申・速報4】ケアマネに新加算設け、医療機関との連携を促進
【18年度介護報酬改定答申・速報3】介護医療院への早期転換を「1日93単位の加算」で促進
【18年度介護報酬改定答申・速報2】看護体制強化加算に上位区分―介護給付費分科会
【18年度介護報酬改定答申・速報1】長時間の通所リハなど、基本報酬引き下げ―介護給付費分科会
医療機関併設型の小規模な介護医療院、人員基準を緩く―介護給付費分科会 第157回(1)

2018年度改定率、診療報酬本体プラス0.55%、介護報酬プラス0.54%で決着

2018年度介護報酬改定、医療との連携や自立支援を柱とする審議報告を了承―介護給付費分科会 第156回
200床未満の医療提供施設で勤務するリハ専門職との連携を、多様な介護サービスで評価―第155回介護給付費分科会(2)
利用者が「月50人以上」住む建物への訪問サービス、減算を厳しく―第155回介護給付費分科会(1)
介護サービス利用者の栄養管理を評価―第153回介護給付費分科会(4)
区分支給限度基準額の管理、集合住宅減算を適用せずに計算―第153回介護給付費分科会(3)
定期巡回型サービス提供の“不適切事例”に対策―第154回介護給付費分科会(2)
「有床診の介護参入」や「療養病床の転換」促す運営基準見直し案を了承―第154回介護給付費分科会(1)
要介護度の改善に向けて、「状態改善」に資するサービスの評価を新設―第153回介護給付費分科会(2)
処遇改善加算IVとVを廃止、介護ロボット導入で要件緩和―第153回介護給付費分科会(1)
ケアマネは入院3日以内に情報提供を、集中減算は3サービスに限定―介護給付費分科会(3)
老健の基本報酬、在宅機能に応じたメリハリ強く―介護給付費分科会(2)
介護医療院の方向性固まる、「1年限りの加算」で転換促す―介護給付費分科会(1)
多床室ショートステイの介護報酬、従来型個室並みに引き下げ―介護給付費分科会(2)
特養での医療ニーズ対応を強化すべく、配置医の夜間診療などを高く評価―介護給付費分科会(1)
居宅療養管理指導でも「単一建物居住者」の人数で評価へ―介護給付費分科会(3)
診療報酬でも、「同一・隣接建物に住む患者」への訪問で減算などを検討—中医協総会(1)
通所介護・リハの基本報酬を見直し、1時間刻みに細分化―介護給付費分科会(2)
介護保険の訪問看護、ターミナルケアの実績さらに評価へ―介護給付費分科会(1)
集合住宅への訪問介護など、減算対象を拡大へ―介護給付費分科会(2)
介護のエビデンス構築に向けたデータ提出、当面は事業所を限定―厚労省・科学的介護検討会
生活援助の介護人材育てるも、報酬下げの可能性―介護給付費分科会(1)
「ある状態の要介護者にどの介護サービスが効果的か」などのエビデンスを構築—厚労省・科学的介護検討会
2018年度同時改定、「対面診療と遠隔診療の組み合わせ」や「自立支援に効果ある介護」を評価—未来投資会議
2018年度診療報酬改定、効果的・効率的な「対面診療と遠隔診療の組み合わせ」を評価—安倍内閣が閣議決定
遠隔診療の取扱い明確化し、2018年度改定でICT活用した生活習慣病管理など評価せよ―規制改革会議
2018年度診療報酬改定で、オンライン診療を組み合わせた生活習慣病対策などを評価—未来投資会議

介護職員処遇改善加算のIVとV、2018年度改定で廃止に向け検討—介護給付費分科会(2)
自立支援に資する介護、「要介護度の改善」だけでない点で一致—介護給付費分科会(1)
介護老健の在宅復帰・リハビリ・医療提供の各機能をどう充実させるか—介護給付費分科会(2)
介護医療院、報酬設定論議始まる!医療療養からの転換を危惧する声も—介護給付費分科会(1)
特養ホーム、医療ニーズ勘案し「介護医療院」などとの役割分担をどう考えるか—介護給付費分科会(2)
ケアマネの特定事業所集中減算、廃止含めた見直し要望が多数—介護給付費分科会(1)
生活援助中心の訪問介護、給付切り下げに賛否両論—介護給付費分科会(2)
2018年度改定でも「訪問看護の大規模化」や「他職種との連携」が重要論点—介護給付費分科会(1)
通所介護の「質」をどのように考え、報酬に反映させるべきか—介護給付費分科会
介護報酬の居宅療養管理指導、在宅医療の診療報酬に合わせた体系としてはどうか—介護給付費分科会(2)
退院後2週間未満の訪問リハ開始が効果的だが、3割の要介護者では実現できず—介護給付費分科会(1)
認知症デイサービスはIIIa以上、一般デイではIIb以下が主に利用—介護給付費分科会
定期巡回や看多機の整備進まず、「ニーズの実態を精査すべき」との指摘も—介護給付費分科会(2)
一部有識者が提唱する「新型多機能」、小多機の理念に反すると猛反発—介護給付費分科会(1)
2018年度介護報酬改定に向けキックオフ、夏までに第1ラウンドの議論終える—介護給付費分科会

オンラインでのサービス担当者会議などを可能にし、医療・介護連携の推進を—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
要介護・維持期リハビリ、介護保険への移行を促すため、診療報酬での評価やめるべきか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
訪問看護、2018年度同時改定でも事業規模拡大などが論点に―中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
医療機関での看取り前の、関係者間の情報共有などを報酬で評価できないか―中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)

Pocket