団塊の世代が後期高齢者となりはじめる2022年度までに社会保障改革を実行せよ―経済財政諮問会議



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 団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度までに我が国の基礎的財政収支(PB、プライマリバランス)を黒字化させることを目指し、団塊の世代が75歳以上に入り始めるまでに「持続可能な社会保障制度」を構築し、財政健全化の道筋を確かなものとする必要がある。このため、▼社会保障の自然増の抑制▼医療・介護のサービス供給体制の適正化・効率化▼生産性向上▼給付と負担の適正化—などに取り組みことが不可欠である―。

 5月28日に開催された経済財政諮問会議において、民間議員からこういった提言が行われました(関連記事はこちらこちらこちら)。

2025年度のPB黒字化のため、2022年度までに「持続可能な社会保障」を構築せよ

 経済財政諮問会議は、我が国の財政を健全化し、同時に、経済を再生するために、毎年度「経済財政運営と改革の基本方針」(いわゆる骨太の方針)を策定します。そこでは、高齢化の進展や医療技術の高度化などにより膨張を続ける社会保障費を、我々国民が負担しきれる範囲に抑えるための方策も積極的に議論され、現在、「骨太の方針2018」策定に向けた検討に進められています(関連記事はこちらとこちら)。

5月28日の会合では、民間議員(伊藤元重議員:学習院大学国際社会科学部教授、榊原定征議員:東レ株式会社相談役、高橋進議員:日本総合研究所理事長、新浪剛史議員:サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長)から提言「PB黒字化目標年とその実現に向けた考え方について」が示されました。

財政健全化のためには、まず国の基礎的財政収支(PB、「歳入から国債等の借金収入を差し引いた金額」と「歳出から国債費等を差し引いた金額」とのバランス)を安定的に黒字化することが必要です。政府は「2020年度までにPBを黒字化させる」との目標を立てましたが、消費増税の遅れなどのために、目標達成は極めて困難な状況です。

民間議員は、新たな目標として「2025年度のPB黒字化」を打ち立てるべきと提案。このためには、財政を圧迫する社会保障費の伸びを抑制する必要があるとし、「団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に入り始めるまで(つまり、2022年度まで)に、『持続可能な社会保障制度』を構築し、すべての団塊世代が75歳以上になるまでに財政健全化の道筋を確かなものとする必要がある」と訴えています。

さらに、社会保障改革においては、▼社会保障の自然増の抑制▼医療・介護のサービス供給体制の適正化・効率化▼生産性向上▼給付と負担の適正化—などに取り組むことが不可欠とし、団塊の世代が後期高齢者となりはじめる前の2019-2021年度を「基盤強化期間」(仮称)と位置づけ、(1)高齢化・人口減少や医療の高度化を踏まえ総合的かつ重点的に取り組むべき政策をまとめ、基盤強化期間の内から実行に移す▼一般会計における社会保障関係費の伸びを「財政健全化目標と毎年度の予算編成を結び付けるための仕組み」に沿ったものとする―よう求めています。

後者の「財政健全化目標と毎年度の予算編成を結び付けるための仕組み」については、基盤強化期間(2019-2021年度)の予算において、社会保障については「効率化、予防や制度改革に引き続き取り組み、今後の経済・物価動向等を踏まえつつ、『高齢化による増加分に相当する水準』に収める」ことを目指すよう求めています。

なお、『高齢化による増加分に相当する水準』に関しては、2016-18年度の集中改革期間においては「3年間で1兆5000億円」との目安が示されましたが、2019-21年度の基盤強化期間においては「高齢化による増加分が年によって異なる」点を考慮し、「各年度の歳出については一律ではなく柔軟に対応すべき」とされています。毎年度、具体的な数値の目安が示される可能性もありそうです。

ただし、消費税率引上げに伴う社会保障の充実等、消費税率引上げによる増収分を財源として実施される「新しい政策パッケージ」の施策に要する経費については、「これらの枠外」とすべきとも付言されています。

 
さらに、2022年度以降には、団塊の世代が後期高齢者となりはじめ、社会保障関係費の急増が見込まれるため、▼高齢化要因▼人口減少要因▼経済・物価動向—など、社会の状況等を総合的に勘案して検討すべきとされています。

なお、社会保障改革については、徹底した効率化を進めるとともに、我が国の活力を高めるために▼医療・介護・子育てサービスの生産性向上▼健康増進・予防と生涯現役の推進▼認知症予防など「社会的課題解決に資する研究開発」—などの経済成長に寄与する施策を重点的に推進すべき、とも指摘しています。

このほか、▼PB黒字化に向けて、中間年の2021年度に「PB赤字の対GDP比1.5%程度」「債務残高のGDP比180%台前半」といった中間指標を設定し、進捗管理のためのメルクマールとする▼2019年10月の消費増税に伴う需要変動に機動的に対応するため、歳出改革の継続方針とは別に、「臨時・特別の措置」を2019・2020年度当初予算に講ずる(具体的には各年度の予算編成過程で検討する)—ことも求めています。
 
 

 

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